2016年10月02日

【ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代】アダム・グラント



原題:ORIGINALS
PART 1 変化を生み出す「創造的破壊」
PART 2 大胆に発想し、緻密に進める
PART 3 “無関心”を“情熱”に変える法
PART 4 賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ
PART 5 「誰と組むか」が勝敗を決める
PART 6 「はみ出す人」こそ時代をつくる
PART 7 ダメになる組織、飛躍する組織
PART 8 どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ

 もともと天邪鬼な性格でもあり、「人と違う」ことを良しとする性格でもある自分にとって、こういうタイトルの本はすぐに心に刺さってくる。ビジネスの世界でも、「差別化」という言葉で語られる理論がこれにあたると思う。そんなことからも手に取った一冊。

 まずは言葉の定義から。「オリジナル(オリジナリティ)」とは、「コンフォーミティ(同調性)」の反対の言葉。「未開発の方法をとり、流れに逆らう新しいアイデアを推し進めつつ、最終的により良い状況を生み出すもの」としている。そしてオリジナルな人とは、自らのビジョンを率先して実現していく人としている。

 はじめに、インターネットのブラウザと従業員の資質の関係が説明されていて面白い。ファイアフォックスかクロームを使う従業員は、インターネットエクスプローラーかサファリを使っている従業員よりも15%長く勤務し、顧客からの評価も高いとのこと。これはブラウザをどのように手に入れたかに起因し、前者は今あるものをそのまま使うのを良しとせず、自ら行動を起こして選択しており、そういう資質が影響していると分析するが、なるほどと思わせられる。そういう自分は「クローム」派だ。ちょっと安心する。

 必要なのは、好奇心。「ブ・ジャ・デ」という概念が当てはまり、これは「既知のものを目の前にしながら新たな視点でそれを見つめ、古い問題から新たな洞察を得る」としている。同じものを見ていても、人と違う風景をそこに見られるかということらしい。さらに「創造的破壊」。コンフォーミティな人たちは、失敗を恐れるあまり、目立つよりも周りに合わせることを選ぶ。大企業ではこういう人がほとんどである。

 オリジナルな人たちとは、成功した起業家のようにリスクに敢然と立ち向かう人ではなく、むしろずっと普通の人だとする。リスクを嫌い、アイデアの実現可能性に疑問を持ち、むしろリスク回避型と言える。フィル・ナイトもスティーブ・ウォズニアックもラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンもいきなり起業したわけではなく、最初は安定した身分での二足のわらじであった。

 オリジナリティを阻む最大の障害は、アイデアの「創出」ではなく、「選定」だという。自分のアイデアには、誰もが盲目になるもの。そして管理職は、新しいアイデアを実行して得られる利益ではなく、失敗する方に目を向けるもの。オリジナリティを正確に評価するには、自分自身で判断したり上司に意見を求めたりするのではなく、同じ分野の仲間に意見を求めるのが良いとする。これはなかなか示唆に富む意見である。

 上司についても、親しみやすい上司は何よりも対立を嫌うもので、気難しい上司の方がむしろ最高のサポーターになってくれるケースもあるとする。他者や慣習に立ち向かうことを厭わないのは、得てして「棘のある人」だとする。状況を変えるには、「離脱するか」「発言するか」のいずれかで、「声をあげつつリスクポートフォリオを安全に保ち、必要であれば立ち去る準備をしておく」とするが、このあたりはアメリカ的である。

 「先延ばしの効能」は、個人的には心にヒットした。レオナルド・ダ・ヴィンチが、「モナリザ」に16年、「最後の晩餐」に15年かけた例を引き合いに出し、「先延ばし」は「生産性の敵」かもしれないが、「創造性の源」であるとする。クリエイティブな仕事には特に有効で、様々な可能性を試し、改良することによって少しずつ進めていくことによって成功するという。思い当たるところもあり、勇気を与えられる。

 世界を「創造する者」は、自主的に考える人であり、「好奇心が強い」「周りに同調しない」「反抗的」という3つの特質があるとする。個人的には、自分には3つとも備わっていると思う。子供の頃の神童が、大人になってオリジナリティを発揮するのが稀なのには理由があり、それは神童ゆえに「既存のゲームのルール」に従うからだという。だから既存のシステムが否定できないとするが、これはよくよく考えたいところである。

 オリジナルになるには、とにかくリスクを取れというわけではなく、むしろそういうものではないとする。個人的には改めて確認したこと、勇気を持ったこといろいろである。自分としては、コンフォーミティの世界は合わないし、結果的に力を発揮できなかった。これからますますオリジナリティの世界を追求したいと思うが、その背中を後押ししてくれる一冊。思いが同じ人には必読の一冊である・・・


  
 
posted by HH at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/442459699
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック