2016年10月30日

【空気を読んではいけない】青木真也



第1章 人間関係を始末する
第2章 欲望を整理する
第3章 怒り、妬み、苦しみ、恐れ。負の感情をコントロールする
第4章 一人で生きていくためのサバイバル能力の養い方
第5章 他人の「幸せ」に乗らない

著者は、総合格闘技のファイター。最近はほとんど観ることもないので知らなかったが、シンガポールに拠点を置く団体ONE FCのチャンピオンだそうである。もともと柔道からスタートし、大学生の時に修斗という団体に参加してチャンピオンになる。卒業して一旦は警察官になるが、すぐに退職してPRIDEに参加。以後、DREAM、ONE FCと所属を変え現在に至っているという。

そんな著者は、子供の頃から「右を向けと言われれば左を向く」ような子供だったという。それだけではないが、とにかく変わっていた様子。それは徹底していて、「大人になった今でも友達はいない」と語るところに現れている。「友達に合わせることで自分の個性がなくなってしまうのであれば誰とも仲良くしないのが一番」という言葉は、なかなかである。

早稲田大学では柔道部に所属する。強くなろうとクラブチームにも参加して練習していたというから徹底している。そして周りと合わせない妥協のなさで、柔道部をクビになる。柔道のスタイルも異質で、指導者から批判されていたらしい。だが、いくら難癖をつけられても「勝てなくなったら自分の価値はなくなる」と意に介さない。このスタイルも徹底している。

そのほかの拘りも独特だ。
・勝つならば負ける覚悟、刺すならば刺される覚悟、折るならば折られる覚悟、両極の覚悟をもたない選手は怖くない
・接待されることによって足元を見られてしまうのなら、その場に行かない
・借りを作らず、貸しを作ることを意識する
・利害が一致すればまた交わるのだから違和感を覚えたら躊躇なく縁を切ってしまえばいい
とかくこの世は人間関係であると思うが、それを極力排除しようとするスタンスは、格闘技という世界に生きるからこそ必要であり、通用するのかもしれない。

・ビックマッチに勝利しても、桁外れのファイトマネーが流れ込んできても、自分の生活を変えることはまったくない
・勝ってちやほやされても、負けてこき下ろされても、やるべきことを淡々とこなす自分でありたい
・格闘技界は恵まれていないが、食えない業界ではない。大勢の何も考えていないファイターが食えていないだけ
・もしも本当に強くなって格闘技一本で食べていきたいならばエネルギーを投下すべきところは格闘技だけ
ストイックなまでのスタンスは、どの業界であろうと必要なスタンスなのかもしれない。

大きな組織に所属していることが安定ではなく、「組織にぶら下がることなく、安定を捨ててこそ本物の強さが得られる」という著者の立場は、フリーランス。しかし、フリーランスであっても、「価格交渉はしない」というスタンスを維持しているとのこと。自分の価値を自分で作るという意識でいるそうである。こうしたスタンスは、サラリーマン根性にどっぷり浸っている人にはわからないかもしれない。

Youtubeで何試合か観てみたが、やはり強さは本物のようである。そして人気を集めるファイターというよりは、嫌うファンも多いのではないかと感じさせるところがある。それがたぶん本を読んで感じる「付き合いにくい人物」というイメージであろう。それを苦とせず、ひたすら己の信じるところを追求するのが、著者の強さの本質なのかもしれない。

それにしても、こういう人物によく本を書かせたものだと思う。さすがは『たった一人の熱狂』の社長さんだと改めて思う。自分とは異質で触れ合うことはない世界の人だと思うが、本を通じて知ることができるというのも、喜ばしいと思う一冊である・・・


posted by HH at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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