2016年11月17日

【USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?-V字回復をもたらしたヒットの法則】森岡毅



プロローグ 私は奇跡という言葉が好きではありません
第1章 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
第2章 金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ!
第3章 万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある
第4章 ターゲットを疑え!取りこぼしていた大きな客層
第5章 アイデアは必ずどこかに埋まっている
第6章 アイデアの神様を呼ぶ方法
第7章 新たな挑戦を恐れるな!ハリー・ポッターとUSJの未来
エピローグ ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?

 著者は、ユニバーサル・ジャパンのCMO。以前、『USJを劇的に変えた、たった一つの考え方』を読んでこの本の存在を知り、読んでみたくなって手に取った次第。この手の企業改革系の話は、個人的に大好きなのである。

 著者が転職してきた時、USJは一時1,100万人を集客していたのが700〜800万人に落ち込んでいたという。その理由を社内で聞いてみると、開業翌年に起こったいくつかの不祥事の影響だという。直感的に「違う」と判断した著者は、データを分析し、パーク内をくまなく歩き回り考える。そして方向性を間違えたこだわりを正し、限られた経営資源を消費者価値の向上に正しくシフトさせることにする。そして三段ロケット構想を立てる。

 三段ロケット構想とは、一段目でファミリー層を取り込み、二段目で関西依存の集客構造から脱却し、三段目で蓄えた会社のノウハウを複数展開するというもの。そして著者の苦闘が始まる。まず、「映画だけのテーマパーク」からの脱却を図る。社内には反対の声が渦巻いたらしいが、著者は「世界最高のエンターテイメントを集めた『セレクトショップ』」というコンセプトを推し進める。

 と言っても、とにかくお金がない。アイデアをひねりだし、フラッシュ・バンド・ビートというストリートパフォーマンスを取り入れ、ひっそりとやっていた「ONE PIECE」のショーにスポットライトを当て、とやり始める。しかし、震災による自粛ムードが出端を折る。普通なら「仕方がない」と諦めるかもしれないが、著者は考え抜き、大阪の橋下知事の言葉にヒントを得てキッズフリーを打ち出す。これが功を奏し、GWには客足が戻る。

 さらにお金のかからない「ハロウィーン・ホラー・ナイト」、続くクリスマスには「世界一の光のツリー」で集客をV字回復させる。さらにモンスター・ハンターを導入するが、これは自身でプレイしていたことがヒントになっていたという。著者は、「マーケティングをやる人間はなんでも自分自身でやってみることを習慣にすべき」と語るが、こういう「実践」が大事なのであろう。

・目的が正しいと判断したのなら、できない理由をあれこれ考えて目的自体を無理だと嘆くことに時間を使わない
・日本人は何でも自分でゼロから始めようとする悪い癖があるが、もっと外に目を向けて積極的にアイデアを盗みに行った方が良い
・答えは必ず現場にある
・絶対に我慢ならなかったのは、挑戦する前に、実際に全力を尽くす前に諦めること
要所要所で語られる言葉には説得力がある。

 タイトルにもなったハリウッド・ドリーム・ザ・ライドを後ろ向きに走らせるアイデアも、考えに考えていたら夜中の2:34に思い浮かんだという。ここまで考え続けろということなのだろう。普通はお客さんを勝たせるものだが、バイオ・ハザード・ザ・リアルはお客さんの生存率が極めて低いのだとか。これも自身のプレイ経験をヒントにしている。

 満を持して投入して大成功している「The Wizarding World of Harry Potter」であるが、最初はオーランドに出来た施設に対し、立派だが金をかけ過ぎてビジネス的に失敗するのではという空気の中で、一人導入を主張したという。渋る社長を数学的分析を交え熱い議論を交わし、説得して行ったという。単なるモノマネではなかったようである。

 「中小企業が生き残るには勝ち続けるしかない」(USJが中小企業だったらそれ以下の会社はどうなるんだと言いたいが)と著者は語るが、そのための著者の奮闘は並大抵ではない。ここまでやったからこその成功なのだろうし、ここまでやらなければダメなのであろう。お金がないからとか、人材がいないからとか、とかく中小企業は言い訳をして納得しがちである。だが、それではいけないと改めて思わされる。

 自分に何ができるか、そして夜中に夢見るほど悩んで考えているだろうか。自問自答してみたい。著者に負けないように自分も頑張ってみたいと思わせられる一冊である・・・

   
posted by HH at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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