2016年11月27日

【丁寧を武器にする なぜ小山ロールは1日1600本売れるのか】小山進



第1章 「伝えたい」想いはあるか?
第2章 丁寧という力を武器にしよう
第3章 リサーチやマーケティングより大切なこと
第4章 人が集まる人になる
第5章 人を育てる
第6章 洗い物も世界一と思って洗う

 著者は、兵庫県三田でエスコヤマという洋菓子店を経営するパティシエ。なんでも名物小山ロールは一日1,600本売れるのだとか。堂島ロールという非常に美味しいロールケーキが大阪にはあるが、こちらの小山ロールも是非食べてみたいと思わされる。そんなパティシエが、自らの考え方を綴った一冊。

 タイトルにある「丁寧」というのは、著者の仕事におけるキーワードのようである。「目の前にあることをただただ一生懸命に取り組んできた」と語る著者であるが、「丁寧な力こそ仕事の基礎力になる」とする。「今の自分に自信がない人、今の仕事は自分に合ってないと思う人は、転職をしたり資格を身につけるより、今の仕事を丁寧にこなすところからスタートした方がいい」と語る。

 そんな著者は、世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で最高位を取得している。しかも海外での修行経験がないにも関わらずの受賞は、現地でも注目を浴びたらしい。著者は、今はなき「スイス菓子ハイジ」という洋菓子店から修行をスタートしているが、よくあるように海外へ行って修行するという経験がないそうなのである。しかし、「どこで修行をしても、生かすも殺すも自分自身」と当たり前のように語る。その通りなのだろう。

 著者はしばしば、「想い」について語る。「サロン・デュ・ショコラ」の受賞についても、
「どのような味にして、どのような順番で提供すれば自分の『想い』が伝わるか」
自店の商品についても、
「商品だけでは足りない、商品に『想い』を込める」
そんな『想い』を常に抱いているからだろう、著者の語る言葉には重みがある。

・受け身で仕事をしている限り、どんな仕事でもクリエイティブにならない
・大きな目標を目指すのであっても、まずは小さなこと
・地道なことを確実にできるようにならないといけない
・「足りている時代」は人と同じことをしていたらむしろ成功はしない
・心の利便性とは、これからの時代、人の心に足りないことや欲しがっているものを満たすこと

 エスコヤマの開業にあたっては、中心地から離れた郊外を選び、そこは立地診断会社がすべてダメ出しをしたところだという。「リサーチもマーケティングも過去のもので新たな可能性の芽を摘んでしまう」との考えで強行したらしいが、なかなかである。そして開業資金について、どの銀行も首を縦に振らなかったらしいが、但馬銀行の支店長だけが小山ロールを食べて、「これに貸しましょう」と言ってくれたらしい。こういう支店長も素晴らしい。

・人と競争して勝つ姿ではなく、自分自身と闘っている姿をスタッフに見せること
・「いい仕事」はまわりの人に評価されてはじめて「いい仕事」になる
・子どもたちにおもしろい親、楽しい親、あんな風になりたいと思われているか
・どのような境遇でも折れない心を持って腐らずにいられることが大切
・人を喜ばせるために、どこまで自分の人生を捧げられるのかという覚悟ができた時に、どんな困難な状況でも乗り越えられる

 読んでいるうちに、著者がパティシエであるということが頭から漏れてしまう。著者がここで語る言葉は、パティシエに限らずどんな仕事でも通じる真理であるからである。これを読むと、ますますエスコヤマに興味を持ち、小山ロールなるものを食べてみたくなる。機会を作って、是非現地に行ってみたいと思う。
 あらゆるビジネスパーソンに通じる一冊である・・・


 
posted by HH at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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