2016年12月08日

【空気のつくり方】池田純



第1章 最下位なのに満員なのはなぜ?
第2章 顧客の空気を知る
第3章 世の中の空気を知る
第4章 組織の中に戦う空気を作る
第5章 コミュニケーションのつくり方
第6章 センスの磨き方

著者は、横浜DeNAベイスターズの社長。DeNAが球団を買収したのを機に、2011年から就任しているとのことである。そのベイスターズは、今年とうとうクライマックスシリーズに進出。読売ジャイアンツを破ってファイナルステージに進出した。結果的に広島に負けたものの、これまで5位・6位を行き来していた事を考えると、大いなる飛躍である。

しかし実はそんな飛躍以前に、著者が社長に就任以来、観客数は65%増加し、年間の赤字は24億円から3億円へと減少し(今期とうとう黒字化したようである)、チケットは手に入りにくいプレミアムチケット化したらしい。ちなみにプレミアムチケット化しているのは、セ・リーグではジャイアンツと広島、パ・リーグではソフトバンクだけらしい。チームの戦績を考えると奇跡のようである。そんな奇跡を演出した内側を紹介した一冊である。

チームが勝てない中、集客を伸ばした原因は、以下であるという。
1. 顧客とのコミュニケーション
2. 経営の革新性・透明性
3. 横浜に密着したブランディング
特に2は、新しいことに挑戦し、その経緯を透明にしたとのこと。個人的にはこの部分は心惹かれるものがある。具体的にはハマスタ(横浜スタジアム)のTOBが挙げられている。詳しくはないのであるが、普通球団とスタジアムの運営は分かれているとのことであり、これは前代未聞の取り組みであったらしい。外から来た故に、「業界の常識」にとらわれない自由な発想ができたのであろう。

新しい取り組みに関しては、業界に馴染んだ人から反発が出るもの。しかし、過去の例、数字に囚われていてはビジネスはスケールしないと当然のごとく語る。大切なのは、今流れている空気だという。この「空気」こそが著者のキーワード。この空気を元気にし続けるには、KPI(Key Performance Indicators)が最も重要とする。(そういえば大前健一もKPIについて語っていたと思い出す)そしてクラスター分析の結果、ターゲットを「アクティブ・サラリーマン」と定義する。

野球といえば、ビール片手に男たちが観戦するものというイメージだが、野球の試合を観るためにスタジアムに訪れるのではなく、「野球をつまみに友人や家族と楽しい時間を過ごしてもらう」という風に変えたのだという。そうなると、競合は他球団ではなく、映画館や居酒屋やコンサートとなるわけで、こういう考え方が成功の要因なのだろうと思う。実に参考になる考え方である。

著者はまた読書家でもあるようである。その読書の幅は多岐にわたっていて、手当たり次第本を買っているそうである。これは、一見無関係でもどこにどんなヒントが隠されているかわからないというかららしいが、まさにここは我が意を得たりの感がある。私もかなりの乱読家だと自覚しているが、それはまさにそういう意図からである。

社員との対話を重視し、一人一人とたっぷり30分時間をとって面接。そして自分の考え、会社の方向性を的確に表現する方法を常に探し、過不足なく正しく伝える。そうした積み重ねが会社の空気を作っていくとの事で、まさにその通りなのだろうと思わせられる。

試合終了後は、なんとなく「蛍の光」を流すのではなく、いろいろ考えて「ホーム・スゥィート・ホーム」を流しているという。こういうささやかなところにも妥協がない。本当に無駄なことにはブレーキをかけつつ、有益な無駄な遊びには寛容でいいとする。ベイスターズラガー、ベイスターズエールというビールを作り、地元とともに繁栄を目指す。なんだか、ハマスタへ行って野球が見たくなってしまった。

こうした経営改革モノは個人的には大好きである。自分も目指しているところでもある。そんなサラリーマンとしての自分の力量を上げていくにも、いろいろとヒントにあふれた一冊である・・・




posted by HH at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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