2016年12月31日

【日本の論点2017〜18】大前研一



01 セカンドライフは8万時間の自由時間がある。何をしますか?
02 巨大ビジネス創出!わが新・経済理論「アイドルエコノミー」
03 直伝!「アイドルエコノミー」実践法
04 日本を大好きになる外国人旅行者が日本経済を底上げする
05 ビールだけじゃない、日本企業のグローバル化が“周回遅れ”の実態
06 世界的な大企業で続発!データ偽装問題はなぜ起こるか?
07 怨念を残すような“選択と集中”が東芝の不正会計を生んだ
08 ゴーン社長が三菱自動車を買う真の狙い
09 東証一部上場するも、見えない郵政三社の未来絵図
10 アベノミクスの景気浮揚効果を阻む“低欲望社会”の現実
11 伊勢志摩サミットで“後味の悪さ”しか残せなかった安倍首相
12 ホンハイの買収申し出を受け入れたシャープの甘い認識
13 日本には核兵器を開発するだけの能力があるのか
14 なぜ老人ホームや介護施設で“虐待”が増加しているのか
15 世界を席巻するポピュリスト旋風はどこまで広がるのか?
16 ドナルド・トランプの過激発言はなぜ米国民に受けたのか?
17 「世界一」だけをつくるイタリアの地方創生法
18 中国バブル崩壊から「世界大恐慌」へ飛び火する可能性
19 パナマ文書は氷山の一角、今後も続く税逃れの手口
20 大国のリーダーが一目置くメルケル首相のリーダーシップ
21 蔡英文・新総統誕生、中台関係はどう変わるか
22 “アイドル”スー・チー氏はミャンマー国民を満足させられるか?
23 ロシアはなぜ、IS掃討を名目にシリアに軍事介入したのか?
24 “Change”“Yes We Can”-オバマはアメリカをどう変えた?

昨年、『日本の論点2015-2016』を読んだが、その続編というべきか最新版が登場。早速手にした次第である。世の中は当然ながら動いており、その時々において著者のような著名人の意見を知ることは自分の考えを養う上でとても参考になることである。

2016年の世界は、トランプ米大統領の誕生、イギリスのEU離脱、ヨーロッパにおける反EU・移民排斥運動の高まり、プーチン・ロシア大統領やエルドアン・トルコ大統領のような強権的指導者が国民から強く支持され、タイで軍事政権が正当化されるなどの動きが見られた。時代はG2からG1、そしてG0へと移行しており、今やグローバリズムの理念を指導する者がいなくなっているとする。

国内では、安倍総理が「同一労働、同一賃金」を唱えているが、これを国内でやれば地方は壊滅するとする。なぜなら、体力のある会社はマーケットの大きい東京へ集まってくるからであり、それは地方の衰退を意味するからであるとする。アベノミクスの矛盾が確実に顕在化するだろうと著者は予測する。

そうした中、他人任せでなく自ら人生設計をコントロールすることが必要であるとする。そのためには、例えば老後にやりたいことを20個書き出せと言う。一人でやることを10個、仲間と一緒にやることを10個という具合にである。リタイア後にやりたいことがあったら今すぐに始めるのが正解で、何の準備もしていなければ気力も体力もついてこないし、一緒に楽しむ仲間もすぐにはできないと言う。なるほど、これは真剣に試みてみる必要があると思う。

一転して、世の中の現状について著者がコメントをしていく。もっとも参考になったのは、「アイドルエコノミー」である。この「アイドル」とは、「働いていない」とか「使われていない」「空いている」と言ったアイドリングタイムのアイドルである。代表例として、タクシー業界のUberとAirbnbが挙げられる。いずれも需要と供給を結びつける仕組みであり、世の中に台頭してきているからわかりやすい。

上記の例以外にも、専門家の空き時間をマッチングするUpwork、住宅を改修したい人と住まいの専門家を橋渡しするHouzz、オフィスの賃貸会社(事務所のサブリース)WeWorkなど聞いたこともないサービスの紹介もあって参考になる。さらに高額な機械も、複数社でシェアできれば中小企業でも導入できるなど、そのアイデアはさすがである。今や中小企業と言う概念さえ有害で、「世界中のアイドルを使えば大企業!」と胸を張っていける時代だと言う。我が社の商売でも応用化できないか考えてみたいと早速思うところである。

また、フォルクスワーゲンや東芝など世界的大企業のデータ偽装(粉飾)事件が起こったが、これは選択と集中による内部抗争が原因だとする。選ばれるための利益水増し、粉飾の正当化であるとするが、このあたりは何とも言えない。ただ、選択と集中ではGEというお手本があり、@再生するAパートナーを見つけて合併B事業の売却のいずれかから適切に対処するべしと説く。

著者が常々主張している「低欲望社会」の話はここでも登場し、日銀がいくらバズーカをぶっ放しても効果はないとする。市場のマネタリーベースを増やすという100年前のケインズ経済学は今の日本では当てはまらず、個人金融資産の1%が市場に出てくる政策をひたすらやるべしとする。具体的には資産課税と付加価値税であり、税制はこの二本立てにし、それによって所得税・法人税・相続税も不要になるとする。これは個人的には興味のあるところである。

社会問題となりつつある介護問題は、抜本的解決には移民を認めるか施設を海外に持っていくしかないとする。従来の著者の主張であるが、移民は認めたくない私としては、施設を海外にという方が好ましい気がする。ただ、自分が海外に行きたいかと考えると、そうはしたくないと思うのであるが・・・

その賛否はともかく、著者の投げかける世の中の問題を受け止めるのは、知的好奇心が大きく刺激されるところである。知らないことを知る機会になるし、自ら考える材料にもなる。こうした本には積極的に目を通して行きたいと思うところである。大前研一の本に読んでハズレのものはないと考えているが、これは世の中の定点観測としてシリーズ化していってほしいと思う一冊である・・・


posted by HH at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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