2017年01月14日

【オー・マイ・ガアッ!】浅田次郎




浅田次郎の作品は数多く読んでいるが、その作品は大雑把に分けて「時代物系」、「中国系」、「不思議系」、「コメディ系」となる。この本は、「コメディ系」に分類できる一冊である。

舞台はラスベガス。主人公は3人。友人に裏切られ大きな負債を押し付けられた大前剛、エリート会社員から娼婦に落ちた梶野理沙、そしてベトナムでシルバースター勲章をもらうも今や落ちぶれたジョン・キングスレイ。それぞれ人生の底辺を漂いながらラスベガスにやってくる。そしてたまたまスロットマシンで隣り合って座り、嘘のようなシチュエーションで史上最大のジャック・ポッド(大当たり)を出してしまう。その額、5,400万ドル(1ドル100円で54億円)。

一方、そのジャック・ポッドを出したのは、ホテル・バリ・ハイ・カジノ&リゾーツにあるプログレッシブ・マシン「ダイナマイト・ミリオン・・バックス」(通称DMB)。6年間溜まった当たりがいっきに出たものであり、支払いをするのは運営会社のPGT社。PGT社の社長は、マイケル・ペスカトーレ。元マフィアのドン・ビトーの息子であり、ペスカトーレ・ファミリーのトップである。

映画『ゴッド・ファーザーPARTII』でも描かれていたが、ラスベガスもかつてはマフィアが支配していた町。ドン・ビトーとその息子マイケルは、名前からして『ゴッド・ファーザーPARTII』のコルレオーネファミリーそのままであるが、5,400万ドルも払うお金がない。ラスベガスには「メガバックスの呪い」と言われる大当たりをしたものが不慮の事故で死んでしまうというジンクスがあり、きな臭さが漂う。

タイトルは英語ではお馴染みだが、主人公の一人の名前がこれにかけており、梶野という名も含めてダジャレ的である。それぞれ人生の底辺を歩んできたのに、いきなり人生がひっくり返るような大金が転がり込んでくる。しかし、受け取りのルールは一括で受け取ると39.6%の税金が引かれた上に6割に減額されるという。25年の分割だと満額もらえるが、死んだら遺族は受け取れない。ここから「メガバックスの呪い」がでてくるのであるが、この受け取りルールは実際にそうなのかどうか興味のあるところである。

大前剛にも梶野理沙にもジョン・キングスレイにもそれぞれの人生模様がある。そこにペスカトーレファミリーが絡み、ホテル・バリ・ハイのオーナーであるアラブの大富豪も登場する。面白おかしく絡み合って物語は進み、そして最後は3人ともお金以上のものを手にして大円団となる。コメディではあるものの、最後はしっかりと心にインパクトを与えるところは浅田次郎らしい。ラスベガスに行ったのは、もう18年も前になるが、あの町並みとカジノの絢爛たる様を思い浮かべて楽しく読めた。

ラスベガスに行ったことがある人なら、楽しめる一冊である・・・


posted by HH at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 浅田次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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