2017年02月18日

【えんとつ町のプペル】にしのあきひろ



 キングコングという漫才コンビの芸人である西野亮廣の著書『魔法のコンパス』でその存在を知った絵本。絵本業界の常識を覆す分業で製作したということで、話題になりかつベストセラーにもなっているため、興味を持った絵本。小学生から「高くて買えない」と言われ、ネットで全部を公開するという大胆な行動とその心意気に、思わずアマゾンでオーダーしてしまったものである。

 クラウドファンディングで資金を集め、分業で絵のクオリティーにこだわったというだけあって、中の絵は豪華そのもの。『ブレード・ランナー』を観ているような感覚に陥ってしまう。1ページ1ページじっくりと隅々まで見たくなり、そんな読み方をしていると普通の絵本なら数分で読めてしまう厚さなのに、濃厚感を味わえる。

 物語は、タイトルにあるように、どこかにある煙突だらけの町。4,000メートルの崖に囲まれ、人々は外の世界を知らず、おまけに煙突からの煤煙が町を覆い、そこに住む人たちは青い空も輝く星も知らない。そんな町で、あるハロウィンの夜、配達屋さんが配達中の心臓を落としてしまう。心臓は町外れのゴミの山に落ち、ドクドクと動き続ける。

 動き続けた心臓は、やがて周りのゴミをくっつけてゴミ人間が生まれる。ゴミ人間は、ガスの臭い息を吐きながら町へとやってくる。汚いゴミ人間を町の子供達は嫌って近寄らない。しかし、そこへススだらけの少年がやってきて話しかける。少年は煙突掃除をしているルビッチ。ルビッチは、他の子供と違い、ゴミ人間を嫌わず、むしろ「プペル」と名付けて仲良くなる・・・

 こうして物語は、ルビッチとプペルの交流となる。出会いがあり、仲違いがあり、そして心が通じ合う瞬間がある。最後は、大人でもほろっとさせられるストーリー。1枚1枚の見事な絵とともに、ストーリーを味わえる。さすがに絵本ゆえに、大人としては物足りないところもあるかもしれない。しかし、物語は日本語と英語で表記されている。あえて英語で読むのも、物足りない感がある大人にはいいかもれない。絵本ならではのシンプルな英語は、ちょっとした英語トレーニングにもってこいである。

 絵本は絵本であるが、その制作の意図を『魔法のコンパス』で知っていたし、そういう背景を理解しながら読むと、大したものだと思わざるを得ない。小学生向けにネットですべて公開されているが、大人だったら買って読みたいところである。ベストセラーになっているということは、そんな風に思う大人が多いということだろう。アイデアと行動力が正しく評価されているわけで、いい世の中だと思う。

 そんな背景もすべて含め、じっくりと味わいたい大人の絵本である・・・



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