2017年02月20日

【第四次産業革命−ダボス会議が予測する未来−】クラウス・シュワブ



原題:The Fourth Industrial Revolution
1章 第四次産業革命とは何か
2章 革命の推進力とメガトレンド
3章 経済、ビジネス、国家と世界、社会、個人への影響
付章 ディープシフト

著者は、世界経済フォーラムの創設者であり、会長である人物だとのこと。現在の世の中の動きから未来を予測する内容とあって、興味を持った一冊。

イギリスで蒸気機関の発明と鉄道建設とによってもたらされた産業革命を第一次とすると、電気と流れ作業の登場によってもたらされたのが、第二次産業革命。そして半導体、メインフレームコンピューター、パソコンの開発とインターネットにより推進されたのが、第三次産業革命であるとする。そう分類すると、これまでとは比較にならないほど遍在化しモバイル化したインターネット、小型化し強力になったセンサーの低価格化、AI、機械学習が特徴的な現在は「第四次産業革命」と言える状況であるとする。

第一次産業革命後、紡績機械がヨーロッパ外へ普及するのに120年かかったが、インターネットが世界に浸透するのにかかったのは10年、そして2007年に登場したスマホが8年で20億台売れているという。こうした状況を考えると、「産業革命」という言葉もまんざら大げさではない気がする。その第四次産業革命は、大きな利益がもたらされる一方、不平等も悪化している。

現代のタブレットは、30年前のデスクトップコンピューター5,000台分の処理能力があるという。そうした新たな変化やテクノロジーには、1つの重要な共通する特徴があって、それはデジタル化と情報テクノロジーの浸透力を利用した物理的なメガトレンドがみられるという。それは以下の通り。
1. 自動運転
2. 3Dプリンタ
3. 先進ロボット工学
4. 新素材
どれもこれも未来に向けて大きく話題になっているものである。

読んでいてやはり興味を抱かされるのは、今現在の状況説明より未来予測だろう。個人的に興味を惹かれたのは、「2025年までに起きると予想されるティッピングポイント」という項目のうちのいくつかである。
1. 米国で最初のロボット薬剤師が登場する
2. 体内埋め込み式携帯電話の販売開始
3. 人口5万人を超える都市で初めて信号機が廃止される
4. 企業の取締役会にAIマシンが登場
どれも「遠い未来には実現しているかもしれない」というものではなく、それゆえにそうした変化というのも念頭に置いておきたいと思う。

新たな技術は労働の性質を劇的に変えるという話は、ちょっと心底冷やすものがある。労働者は、「失業者になるかスキルの再配分を余儀無くされる」という。これまでも技術革新は一部の仕事を奪う一方、別種の新たな仕事を生み出してきており、仕方のないものであるが、自分としては淘汰されないようにしないといけないと改めて思う。

それは国家間でも言えることで、先進国向けの製造業において、低賃金労働が競争力とならなくなるとする。すでに「ウーバーのドライバーをしつつ、インスタカートのショッパーをしつつ、エアービアンドビーのホストをしつつ、タスクラビットでの請負仕事をする」ということもありうるわけで、労働の本質が劇的に変化している。

ショッキングなのは、やはり軍事面だろうか。軍用ロボット、AI制御の自動兵器の配備、海底や宇宙にも軍隊が配備され、人間が関与せずに目標を認識し攻撃開始を判断できる。まさに『ターミネーター』のスカイネットであり、『ターミネーター』の「ジャッジメントデイ」が本当に来るかもしれないと思わされる。

そういう危険性などを考えると、「結局、すべては人々や文化、価値観にかかっている」と著者が結論づけるのも当然だと思う。「人間を中心に据えた人間が優先される未来、人々に権限を委譲し、すべての新技術は何よりも人間のために作り上げたツールであることを絶えず自覚しよう」という呼びかけは、もっともである。

技術だけを追求するのではなく、人間性、公益性などとのバランスが大事だというのは、何事も同じかもしれない。これからの未来を考える上で参考になる一冊である・・・



posted by HH at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・経済・株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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