2017年02月21日

【自分の時間を取り戻そう−ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方−】ちきりん



序 「忙しすぎる」人たち
1 高生産シフトの衝撃
2 よくある誤解
3 どんな仕事がなくなるの?
4 インプットを理解する 希少資源に敏感になろう
5 アウトプットを理解する 欲しいモノを明確にしよう
6 生産性の高め方@ まずは働く時間を減らそう
7 生産性の高め方A 全部やる必要はありません
8 高生産性社会に生きる意味
終 それぞれの新しい人生

 ブログを始めとして、この人の意見には傾聴する価値が大きいと思い、その著作には注意を払っているが、そんな中でまた手にした一冊。この本は、著者曰く、「今後の社会を生きていくために、そして人生を楽しむために私たち全員が身につけるべき根幹の能力とは何なのか」をテーマとするもので、『自分の頭で考えよう』『マーケット感覚を身につけよう』に続く第3弾なのだという。特に『マーケット感覚を身につけよう』は、私にとって衝撃的とも言える内容だったので、大いに期待して手にした次第。


 冒頭、4つのタイプの人物が登場する。
部下を持ったばかりの「デキる男正樹」、妻と母との両立に「頑張る女ケイコ」、何とか現状を変えようとして「休めない女陽子」、成功の裏で「焦る起業家勇二」。
それぞれが悪戦苦闘する姿が描かれるが、どのタイプも至る所にいそうなタイプである。そこから、「忙しすぎる」という問題について切り込んでいく。

 この背景には、
1 長い時間働くことによって問題を解決しようとしている
2 すべてのことを「やるべきこと」と考え、全部やろうとしている
3 何もかも完璧にやろうとしている
4 不安感が強すぎてNoと言えなくなっている
5 とにかく頑張るという思考停止モードに入ってしまっている
と分析する。そしてその本質的な問題として「生産性が低すぎる」ことを挙げる。この「生産性」がこの本のキーワードである。

 例えば著者は、タクシー業界を差し、「ものすごい数のタクシーが空のまま走っている」ことを、「何という生産性の低いビジネス」と語る。言われてみればその通りだが、そういう視点は持ったことがなかったので、実に刺激的である。最近登場したUberは、無駄な時間が発生しないとするが、これから社会の高生産性化は不可避で、生産性の高いものが残り低いものが淘汰されていくだろうとする。

 グーグルやアマゾンが税金を回避していて問題になっているが、「グーグルが1,000億円を自分たちで人工知能やゲノム解析や自動運転の研究開発に使うのと、アメリカ政府に納税して無人攻撃機や爆弾代として使われたり、日本政府に納めて地方再生の資金としてバラまかれたりすることを比べたら、お金という資源の生産性はどちらが高いか」という著者の問いには深く考えさせられる。

 江戸時代は国民の9割(数千万人)が農民だったが、しょっちゅう飢饉が発生していた。現代は農業従事者は200万人だが、米の自給率は100%を維持しているとして、それが「生産性の向上」だと説明する。将来はさらに20万人でまかなえるとするが、ドローンで農薬を散布してなどという説明をされると、さもありなんと思えてくる。

 さらに衝撃的なのは、「生産性がゼロ以下の人たちは働かないでベーシックインカムをもらって暮らせるようにする」という考え方。ベーシックインカムとは、生活保護みたいに支給される現金であるが、これを福祉としてではなく、「生産性向上への反対論者に邪魔をされたくないから」という考え方から著者は主張する。こういう考え方は、私には出てこない。

 さらに、一例としてあるガン患者に対しなかなか治療の成果が出ない中、IBMのAIであるワトソンに遺伝子情報を読ませたところ、ワトソンはわずか10分で診断を下し、抗がん剤の変更を提案し効果を得たことを挙げ、これからの社会の変化を示唆する。電子書籍の登場によって、「紙の本」という言葉が使われるようになってきたが、今後は「人間の医師」「人間の薬剤師」という風になっていくとする。

 高生産性社会になっていく中、我々は何をすべきだろうかと必然的に考える。「働く時間を増やすのは暴挙」とするが、この本を読めばそれはよくわかる。「一人で全部やれ」思想はすでに自分は脱している。「すべて完璧にやる」も同様。それにとどまらず、いろいろと考えてみようと自然と思う。すべての人が豊かな生活を手に入れるためにも、社会の高生産性シフトは福祉よりも重要とする著者の主張もその通りだと思う。そんな働き方を(すでに半分くらいはできているつもりだが)、さらに心掛けていこうと思う。

 またしても、刺激と学びの多い一冊である・・・

posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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