2017年04月05日

【ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方−富裕層だけが知っているマネー戦略−】加谷珪一



序 章 アベノミクスとは何だったのか?
第1章 日本経済の新しい常識
第2章 世界経済の新しい常識
第3章 投資戦略の新しい常識
第4章 資産形成の新しい常識
第5章 情報整理の新しい常識
第6章 「働く」「生きる」の新しい常識

著者は、ジャーナリスト、投資ファンドを経てコンサルティング業を行なっている方だという。ご自身でも億単位の資産を運用する投資家であるとのことで、そんな著者がアベノミクス後にお金や経済とどう向き合えば良いのかについて分野ごとにまとめた一冊。

まずそもそもアベノミクスとは、金融政策でデフレからの脱却を試み、財政出動で当面の景気を維持し、その間に痛みを伴う構造改革を実施するという政策である。しかし、日銀が掲げてきた2%という物価目標を実現することは現時点では難しそうであり円安と物価上昇を基本としてきたアベノミクスは逆回転し始めているとする。このあたり、ずっとアベノミクスの効果を疑問視してきた中原圭介氏の指摘(『中原圭介の経済はこう動く 2016年版』など)が現実化してきていると感じる。

アベノミクスは、スタート時点では構造改革が経済成長を実現するための本丸という認識であったが、ほとんど進まず現在はほぼ消滅したという。だらだらとした現状維持の動きが続き、再び財政出動頼みへと逆戻りする可能性があるという。物価上昇がストップし、消費者心理も冷え込む傾向が当分続く可能性が大だとする。

安倍総理は何とか賃金を上げようと躍起になっているが、日本の労働人口はここ10年総数は変わらぬまま25〜35歳の労働人口が2割も減るという状況。現状の人手不足は好景気によるものではなく、若年労働力人口の減少(正社員として働く若者の減少分を低賃金の高齢者が補っている)だとする。

一つ一つ丁寧に解説されていて、なかなかわかりやすい。
1. 諸外国の格差は上方向への格差だが、日本の格差は下方向
2. 日本の消費はさらに引き締まる可能性が高く、節約より不必要な支出をなくすべき
3. 財政再建はほぼ実現不可能であり、金利上昇リスクはかなり高い
4. 英国のEU離脱によりむしろEU側の企業が打撃を受ける
5. 中国は内需中心経済へと転換し、人民元経済圏が出現する
6. アベノミクスの限界が見え、外国人投資家がほぼ撤退、株価下落を止める手立ては残されていない

一般の認識と異なる部分がいろいろとあり、その可否はわからないが、一つの見方として参考になる。我が不動産業界に関しては、「人口減少から優良物件以外の不動産は不利になる」とする。長期的にはインフレであり、住宅ローンは繰上げ返済すべきではなく、マイホームも収益性の高い物件に限り購入すべしとする。このあたりは頭の片隅に置いておきたいと思う。

日本の世論は労働市場改革には消極的で、生産性は今後も上昇しないため残業は無くならないと語る。介護施設は増えず、家族の負担は増えるということはあまり想像したくない。実際にどうなるか、ではなく、あくまでも一つの考え方として覚えておきたいところである。
正直言って、こうした考え方はなかなか自分だけでは困難であり、折に触れて触れていきたいところである。そういう意味で、為になる一冊である・・・


posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・経済・株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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