2017年04月10日

【伝えることから始めよう】田明



第1章 今を生きる
第2章 どんなこともつながっている
第3章 できる理由を考える
第4章 伝わるコミュニケーション
第5章 自己更新

 もともと何かを成し遂げた人の話は好きである。それもその人ご本人の言葉であればなおさらである。そんなわけで経営者の本は好きなジャンルの本と言える。この本は、ジャパネットたかたの創業者であり、今は引退してしまったがテレビショッピングの名物MCでもあった方の自叙伝でもあり、見た瞬間に読んでみたいと思った一冊。

 はじめに著者の信念でもある「今を生きる」という言葉が紹介される。「過去にとらわれず、未来に翻弄されないで今を生きる」という生き方が、全編を通して流れている。生まれは長崎県の平戸。大阪の大学を出て就職し、それを辞めて故郷に帰り、言われるまま稼業のカメラ店を手伝う。1974年の5月のこと。

 当時は観光地やホテルで、観光に来たお客さんの写真を撮って現像して売っていたという。カラー写真が普及し始めた頃で、著者の実家が平戸で初めてカラー現像所を作ったのだという。平戸のホテルすべてと契約していて、毎晩いくつもの宴会に出かけて行って撮影し、家族総出で現像して販売する。毎日2〜3時間の睡眠時間だったというが、例え手伝えと言われて始めたことでも目の前にあることに夢中になって全力投球できるところが自分のいいところと著者は語る。確かに、何であれこういうスタンスは大事である。

 そうして一生懸命取り組んでいると、課題が見えてくる。ホテルで宴会の翌朝写真を売りにいくが、売れ残りが出る。それを観光地に持って行って売るとまた売れる。朝は買う余裕のない人もいるわけで、課題が出ると不思議なことにそれを達成するためのアイデアが生まれてくると著者は語る。

 どんなことでも一生懸命にやっていれば、その時は何の役に立たなくてもいつか役に立つ時が来る。どんなことでもいつかどこかでつながっていると著者は語る。スティーブ・ジョブズも同じようなことを語っていたが、真実なのだろう。特に著者の生き方から伝わって来るのは「一生懸命」という姿勢。そして失敗してもめげない。「やらなかった失敗はあっても一生懸命にやった失敗はない」と語るが、胸に手を当ててみたくなる。

 結婚して支店を任され、建設現場を回ってフィルムを集め、団体旅行に写真添乗員として参加する。55万円の年商を1年で300万円にできたのは偶然ではないだろう。やがてラジオで宣伝を行い、ラジオショッピングにつながる。これが好評だったが、長崎では放送は年に2回。そこで九州を飛び出て鳥取や岡山でラジオショッピングをやる。佐世保のカメラ店がこんな取り組みをするなど誰も考えなかっただろうし、常識にとらわれず売れるものは何でも売るというスタンスが、今日の成功につながっているわけである。

 何かを人に伝えるときに大切なのは、スキルとマインドとミッションだという。マインドとはパッション(著者の場合は一生懸命だろう)である。大事なことは「伝えること」ではなく「伝わること」。伝えたつもりではダメ、上手くではなく分かりやすく。そして面白く。何を伝えたいのかを明確にし、最初の1分間がとにかく大事。そして伝える相手を意識する。

 ビデオを売る時、テレビにそれを写したという。○○画素だとか性能だとかを説明するよりも、テレビに映った孫の姿を見てみんな買ってくれたという。ボイスレコーダーはビジネスパーソンや学生向けと考えられていたのを、シニアに忘れ物メモと紹介する。ジャパネットたかたのテレビショッピングを見ていても、それは大きく感じるところである。

 逆境にあって守りに入らず、攻めの姿勢で今できる最高の努力をする。自社スタジオの建設など大胆な戦略もその結果なのだろう。社員の満足がなければ顧客満足は得られないと、社員旅行で海外に行ったりしているのは羨ましい限りである。
「夢や目標は途中で変えていい」
「人生何を始めるにも遅すぎることはない」
要所要所で語られる言葉は深い味わいがある。やはり手に取ったのは大正解であった。

 ビジネスパーソンであれば、生き方のヒントになることが大量に詰まっている。読み物としても面白いし、得られるものも多いし、是非とも読むべきだろう。
 ジャパネットたかたで何か買い物がしたくなってしまった一冊である。・・・


posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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