2017年04月24日

【運命をひらく】本田健



序 章 5分で理解する「松下幸之助」の生涯
第1章 人間関係の達人になれば、運命はひらける
第2章 衆知を集めて任せれば、運命はひらける
第3章 経営のコツを知れば、運命はひらける
第4章 素直な心で物事を見れば、運命はひらける
第5章 運と愛嬌があれば、運命はひらける
第6章 世界を愛し、与え続けた松下幸之助
終 章 感謝の心が、運命をひらく

 著者は、『ユダヤ人大富豪の教え』シリーズでおなじみの方。もともとお金の専門家として名が通っている方であるが、実は昔から松下幸之助のファンなのだそうである。そこからこの本の話があり、改めて資料を研究し記したという。何でも45巻に及ぶ『松下幸之助発言集』を3セット買い集め、自宅、オフィス、別荘に置いて聞いたそうである。ご本人の著作もいいが、こういう「研究本」も「知っているつもりで実はよく知らない」私の様な人間には良いと思う。

 著者は、基本的なスタンスとして、「松下幸之助が生きていたらどんな話を聞きたいだろうか」と考え、好きなエピソードを集めていったそうである。その松下幸之助であるが、没後間も無く30年だそうである。亡くなったのは、私の学生時代であるが、当時のニュースの記憶はあまりない。関心がなかった証拠で、ちょっと恥ずかしい気がする。

 松下幸之助が世界的な注目を集めた理由は、以下の通りだと著者は分析する。
1. ビジネスで成功し、億万長者となった
2. 思想家、哲学者としての顔も持ち、著作はベストセラーを連発
3. 雑誌、出版社(PHP研究所)のオーナー
4. 経営者だけでなく、一般の人からも広く尊敬されている
5. 学歴もなく貧乏だったところからスタートし大成功した
このあたりは、私の認識とも一致していてホッとするところである。

 松下幸之助は、1894年の生まれ。8人兄弟の末っ子だった。父は小地主であり資産家であったが、幸之助が4歳の時に米相場で失敗して破産。極貧生活となる中、父母兄弟姉妹と幸之助が26歳になるまでにみんな亡くなったという。「神も仏もない」と嘆いてもおかしくない状況である。そして本人は9歳で丁稚に出る。このため小学校しか出られずに終わる。朝5時から夜10時までの仕事。休みは年に2回。食事は一汁一菜、魚がつくのは月2回。今なら「ブラック」以外何者でもない。

 学歴もなく、さらに体も弱く病気がちで、貧乏の極みだった幸之助。それでも億万長者になった理由を著者は次の様に分析する。
1. 学歴がなかったから、誰からでも話を聞き学んだ
2. 病気がちだったので、自然と部下に仕事を任せるしかなかった
3. お金がなかったので、できる限りお金を使わずに物を作る工夫をした
すべてに恵まれているからといって、成功が約束されるわけではなく、何もないからダメだというわけでもないのである。

 丁稚時代に初めて自転車を売った時のエピソード、部下のお弁当を味の違いまで意識して手配したエピソード、出てくるエピソードはどれも唸らされるものである。トースターを開発して持って来た部下と取引先の社長が幸之助にそれを見せに来る。幸之助は重役会をキャンセルして話を聞く。その人柄に触れ、初めは松下電器に距離を置いていた取引先の社長がこれからは松下電器一筋になるとファンになる。「この人と一緒に仕事がしたいと相手に思わせる力は圧倒的」と著者は評価するが、その評価に寸分も異論はない。

 「上に立つ人が自分の部下は自分より偉いなと思うかアカンなと思うかによって商売の成否が分かれてくる」
「部下が動いてくれないと嘆くリーダーは、自分の人間的魅力がまだ足りないだけ」
リーダーの立場にある人は、心しないといけないだろうが、自分を含めこの様な考え方ができる人はほとんどいないのではないかと思わされる。

 「商売でモノを売る時、大事なものは一所懸命に売りたいという熱意から生まれるいろいろの姿」
「雨が降ったら傘をさすのと同じ様に当たり前のことをやる」
「生涯大事にしたいことは『素直になる』こと」
1つ1つの言葉が重い。

 人を採用する時に、「運がいいかどうか」を基準にしたというのは有名な話。それは運の良し悪しは、結局「事実をどう解釈するか」ということだという考え方かららしい。雨が降ったという事実も、解釈によって良し悪しは分かれる。どんな状況でも希望を捨てないこと、運が悪いと考えずに前向きに考えること、そういう人であれば確かに何事でもうまくいくだろう。実に深い基準だと改めて気付く。

 著者が、本を書きたいと思ったのも無理からぬ話であり、この本一冊ではまったく足りないであろうことは想像に難くない。一読して今度はご本人の著作も改めて読んでみたくなった。温故知新ではないが、今度は『道をひらく』を読んでみようと思う。改めて松下幸之助を知ることができる良い本である・・・


posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生・哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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