2017年05月09日

【西武信用金庫はお客さまを絶対的に支援する】碓氷悟史



第1章 西武信用金庫のお客様のすごさ
第2章 プロ経営者としての落合寛司誕生の原点
第3章 「年齢による定年制度の廃止」がもつ意味を考える
第4章 人事考課の快
第5章 西武信用金庫お客様支援センター(総合コンサルバンク)への道
第6章 落合寛司の経営哲学

 不動産業界に身を置いていると、そして特に「資金調達」という課題を抱えていると、西武信金の名前は少なからず耳にするはずである。最近、不動産融資を伸ばしていると評判だからである。そんな評判にプラスして、「定年制度を廃止した」「100人の求人に20,000人が殺到」など聞くと、嫌が上にも興味を持つというもの。そんな時に目にしたのがこの本である。

 著者は公認会計士、亜細亜大学教授という肩書きのあるコンサルタントで、西武信金の落合理事長とは亜細亜大学繋がりから執筆に至ったのだと思う。この手の本は、ともすれば「太鼓持ち」的になりがちであるが、そこのところは割り引いて読みたいものである。

 最初に西武信金の営業成績が掲載されているが、確かに現理事長になってからの成長は著しい。落合理事長就任前後の各指数は以下の通り。
1. 当期純利益5年合計:(就任前) 207億円 ⇨ (就任後) 274億円
2. 貸倒関係損失5年合計:(就任前) 7,269億円 ⇨ (就任後) 738億円
3. 貸出金:(就任前) 443億円 ⇨ (就任後) 2,104億円
4. 預金残増加額:(就任前) 778億円 ⇨ (就任後) 2,143億円
数字は嘘をつかないので、これは素晴らしいと思う。

 注目の定年制度廃止だが、これは正確に言えば廃止ではなく下記の選択制。
1. 定年のない現役コース
2. 嘱託で再雇用される嘱託コース
3. 60歳退職コース
 
 それぞれの事情に応じて選べるようなことが書いてあるが、よく読めば肝心の現役コースは条件がついている。それは「西武信金から選抜され、本人が同意すれば」というもので、「主として支店長などを対象」となっている。つまり、「できる人だけ」のようである。当たり前と言えば当たり前だが、全員が3コースの中から好きに選べるような書き方をしているのが気になる。

 そして、働くことや定年に対する考え方など、著者が絶賛する中村天風の引用がやたら多いのが気になる。西武信金に関係のない記述がダラダラと多い。薄い本なのにそれでページを稼いでいるので、西武信金についての記述は意外に薄い。年間一人当たり人件費が平均912万円から836万円に下がったと褒め称えるが、よくよく考えれば給料を下げたという意味であり、立場によっては不満を招くところである。

 ただ、人件費にしても20代で1,000万円とか、32歳で1,300万円という解説もあり、実力主義が徹底されているのかもしれない。下がったとは言え、836万円は高いと思うので、他と比べれば待遇は良いのかもしれない。本当はこういうところをもっと深く切り込んで欲しかったが、著者には無理だったのかもしれない。上っ面の記述に終始している。

 とは言え、西武信金に対する興味が薄れるというものではない。一読して疑問に思うところが多いも、それは著者の力量に問題があるのであって、西武信金自体に問題があるというわけではない。もう少しよく知りたいと思うところである。落合理事長の講演は一度聞いたことがあるが、今度はご本人の著述をそのうち読んでみたいと思うのである・・・



posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック