2017年12月03日

【論理的思考力を鍛える33の思考実験】北村良子 読書日記865



第1章 倫理感を揺さぶる思考実験
第2章 矛盾が絡みつくパラドックス
第3章 数字と現実の不一致を味わう思考実験
第4章 不条理な世の中を生き抜くための思考実験

普段から「考える」ということを重視している私にとって、「論理的思考力」「思考実験」というキーワードは実に魅力的である。そんな魅力的なキーワードのタイトルを見たら、これはもう読むしかないと手にした一冊。中には33の思考実験の例題が掲載されていて、著者は「ビジネスの場でも欠かせない論理的思考力を鍛えるために役に立つ」と語っているが、その通りだと思う。

そんな思考実験であるが、初めに登場するのは「暴走トロッコと作業員」。『これからの「正義」の話をしよう』で採り上げられていた例である。暴走するトロッコの先に、これに気づかずにいる5人の作業員がいる。トロッコが向かう途中には切り替えポイントがあり、これを利用してコースを変えれば5人は助かるが、今度は変えた先に別の作業員1人がいる。5人を救って1人を犠牲にできるかというものである。

さらに同じ5人を救うために1人を犠牲にするケースでも、トロッコの先に太った男を落としてトロッコを止めるという方法はどうかと続く。同じ5人を救うために1人を犠牲にするのでも、切り替えポイントとはちょっと違ってくる。人命が絡むと、なかなか判断は難しい。「臓器くじ」の例も同様の倫理観に関する問いかけである。

一方、「テセウスの船」は気軽に楽しめる。老朽化から部品を交換して当初からすっかりリニューアルしたテセウスの船は、元の船と同じか。交換した古い部品で復元したテセウスの船は「テセウスの船」なのか。有名な「アキレスと亀」やタイムパラドックスが常に問題となる「タイムマシン」は実に気軽に楽しめる。

個人的にどうにもわからなかったのが、「モンティ・ホール問題」である。3つのドア(A,B,C)があって、正解のドアは一つだけ。Aを選んだ時、モンティがCのドアを開けるがこれはハズレ。この時、モンティから「選択を変更できるがどうするか?」と問われる。選択を変えた方がいいか否かという問題。どちらでも同じだと思うし、惑わされたくないと思うから自分だったら選択を変えないと思うが、実は変えたほうが当たる確率は高いという。正直言ってこれは何度考えても理解できない。

本では9通りの実例で説明されていたが、これがどうにも納得できない。
例えばAを選択した場合(選択を変えた方が良い場合)、
1. Aを選択してモンティがBかCを開け、選択を開けなかったBかCに変更したがAが正解⇨✖️
2. Aを選択してモンティがBを開け、選択を開けなかったCに変更してCが正解⇨◯
3. Aを選択してモンティがCを開け、選択を開けなかったBに変更してBが正解⇨◯
の3通りがあって、選択を変更した場合の正解率は2/3だから変更した方が良いとしている。

しかし、よくよく考えて見ると、

1. Aを選択してモンティがBを開け、選択を開けなかったCに変更したがAが正解⇨✖️
2. Aを選択してモンティがCを開け、選択を開けなかったBに変更したがAが正解⇨✖️
3. Aを選択してモンティがBを開け、選択を開けなかったCに変更してCが正解⇨◯
4. Aを選択してモンティがCを開け、選択を開けなかったBに変更してBが正解⇨◯
の4通りがあるのではないかと思えてならない。この場合の正解率はどちらも2/4=1/2だからどちらも変わらないとなる。もちろん、この方が個人的には納得である。

単なる数学的問題に含まれるものもあれば、「囚人のジレンマ」のような心理的なものもある。あれこれと頭をひねって見るのも面白い。何れにせよ、著者が最初に語っているように、ビジネスでもこうした悩ましいシーンは多々あり、程よい思考トレーニングになる。読み物としても面白いし、トレーニングとしても面白い。良い思考実験ができる一冊である・・・

posted by HH at 00:00| Comment(0) | 人生論・哲学・生き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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