2018年02月02日

【SHOE DOG −靴にすべてを。−】フィル・ナイト 読書日記885



原題:SHOE DOG
夜明け アスリート人生
第1部
1962 オニツカとブルーリボン
1963 会計士として
1964 レジェンド・バウワーマン
1965 巨漢ヘイズ
1966 手紙魔ジョンソン
1967 ウッデルの参加
1968 ペニーと結婚
1969 フジモト
1970 8000ドルの借金
1971 ナイキ・ブランド誕生
1972 シカゴの展示会 
1973 偶像を破壊する
1974 専属弁護士ストラッサー
1975 日商岩井
第2部
1975 ブリとの別れ
1976 バットフェイス
1977 ゴールラインは存在しない
1978 2500万ドルの請求
1979 中国進出
1980 株式公開
夜  死ぬまでにしたいこと

 著者は、ナイキの創業者。ナイキといえば、今や世界一のスポーツメーカー。そんな世界一の企業を一代で築き上げたのが著者のフィル・ナイト。その創業からの一代記を記した本として、この手の伝記物系が大好きな私としては、ウキウキしながら手にした一冊。内容は期待を裏切ることのない、実に面白い物語であった。

 物語は、1962年に始まる。24歳の著者は、オレゴン大学を卒業し、スタンフォード大学でMBAを取得し、米陸軍で1年間鍛えられた若者。その時、すでにあるアイディアを胸に秘めている。それは、著者自身、大学時代からアスリートであったこともあり、日本のランニングシューズの将来性に可能性を見出しており、それを事業化しようというもの。スタンフォードでレポートにし、確信を得て父親に説明し、その承認と出資を仰ぐ。

 実は、父の賛成は予想外だったらしいが、その承認と出資を得て、著者はまず友人とハワイへ行く。いきなり日本ではなく、「世界を見てみたい」との気持ちからだったというが、もうスケール感が違う気がする。当時の日本はオリンピックを控えていた高度成長期だったと思うが、こんな発想をし、そして何より実行できる人は(金銭的な余裕という意味で)あまりいなかったのではないだろうか。最初の訪問地ハワイで著者は仕事を見つけ、友人とともに働きながら暮らす。実に優雅である。そして友人と別れて日本へと向かう。

 当時の日本はまだ戦争の傷跡が残っていて、暗い場所が残っていたという。そして知人にアドバイスをもらったりしながら、「タイガー」というブランドに目をつける。そのブランドを作っていたのは「オニツカ」。現在のアシックスであるが、ナイキの原点がアシックスだったというのは意外な驚きである。ここで相手の無知をいいことに、自らはブルーリボンという会社の代表だと咄嗟に取り繕って、シューズ供給の約束を得る。

 そして世界各地を回って帰国。いよいよオニツカのシューズを仕入れて販売し始める。パートナーに選んだのは、大学時代のコーチ、バウワーマン。この方、陸上のコーチであるが、実に熱心でシューズにも造詣が深かったのだという。自ら改良をしたりもし、ワッフルの枠型でソールを開発するほどだったというし、スポーツドリンクも開発していたようである。

 こうして始まったオニツカのシューズ販売。次第に仲間が増え、売上も上がっていく。しかし、次から次へと難題が持ち上がる。分厚い本の大半がこの難題との格闘である。そしてこれこそが、起業にまつわる困難と、それを乗り越えた先に待つ未来なのだろうと思う。特に資金調達にまつわるエピソードは興味深いし、「上場=成功の証」ではなく、「自由の放棄」と捉えている考え方に改めて感心させられる。

 それにしてもナイキと日本企業との深い関係には改めて驚かされた。オニツカ(現アシックス)は、そもそもそのシューズを著者が売ろうと思い立って代理店契約を結んだわけである。のちにオニツカも欲が出たのか、ナイキとの契約を切ろうとして裁判にまでなるが、その窮地を救ったのが当時の日商岩井。日商岩井には先見性があったのかもしれないが、興味深いエピソードが続いて面白い。

 我々は今日の巨大企業ナイキの姿を知っている。だから著者の物語は安心して読むことができる。どんなに困難があろうとも、成功が約束されているからである。しかし、当時の渦中の当事者にとっては過酷な試練の数々だっただろうと思う。それを乗り越えられたのは、執念であり、仲間との絆であるのだろう。それにしてもナイキを切ろうとした当時のオニツカの役員キタミ氏。それがキッカケでナイキが誕生したわけであるが、今どんな気分なのだろうと思ってしまう。

 波乱万丈のナイキの物語。単純なサクセスストーリーとして読んでも面白いし、起業の参考として読んでも面白い。これだから創業社長の本を読むのはやめられないと思わされる一冊である・・・




posted by HH at 00:00| Comment(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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