2020年03月06日

【FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣】ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング/アンナ・ロスリング・ロンランド 読書日記1128



原題:FACTFULNESS
《目次》
イントロダクション
第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
第2章 ネガティブ本能 「世界がどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増える」という思い込み
第4章 恐怖本能 「実は危険でないことを恐ろしい」と考えてしまう思い込み
第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要」という思い込み
第6章 パターン化本能 「ひとつの例にすべてがあてはまる」という思い込み
第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
第9章 犯人捜し本能 「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
第11章 ファクトフルネスを実践しよう
おわりに

 著者は、医師、グローバルヘルスの教授、そして教育者としての顔を持つ多彩な方。残念ながら故人となってしまったらしいが、この本は著者の長年の研究の成果を息子夫婦と共にまとめた成果らしい。「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」というサブタイトルが内容をよく表している。

 初めに13の質問が表示される。「現在、低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を終了するでしょう」という問いをはじめとするものであるが、選択肢は「20% 40% 60%」とあり、20%かなと思う。しかし、答えは60%。低所得国というイメージが間違えさせるわけであるが、なんと正解率は7%だという。訳の分からぬチンパンジーですら正解率は1/3、つまり33%。であるから我々はチンパンジーにも劣ることになる。こんな勘違いが紹介されて行く。

 先進国=豊かな国、途上国=貧しい国というイメージがそもそもの誤り。これは第1章の「世界は分断されているという思い込み」で説明される。かつて解決不能に見えた世界の課題はすでに解決しているとする。世界人口の85%は、すでに先進国と名付けられた枠の中に入っており、途上国は全人口の8%、残り7%はその間だという。著者はそれをグラフで表示するが、これを見ると一目瞭然である。

 世界をレベル1からレベル4と4段階に分類する。すると世界の大半はレベル2〜3にあるという。これは1950年代の西ヨーロッパおよび北米の生活水準と同じだとか。極度の貧困率は1800年代は全人口の85%だったのが2017年代は9%。現在レベル1にいる国の平均寿命は、スウェーデンがレベル1だった頃の1800年代に比べて30年も長い。こんな事実を突きつけられると世界は確実に良くなってきていることがわかる。

 我々の認識が誤る原因は、「良いニュースは伝わりにくい」ということがある。災害でなくなる人は1930年代は百万人あたり453人だったのが、2010年代は10人。飛行機事故の死亡者も戦争や紛争による犠牲者も劇的に減少している。冷静に数字を拾えばこうした事実は浮かび上がってくるが、テレビで流されるニュースを見ているととてもこのような実感はわかない。そして意外な事実も明らかにされる。

 人口増加は人類の未来に対する不安の一つであるが、特に途上国の人口増を止める確実な方法は、「極度の貧困をなくし、教育と避妊具を広める」ことだという。世界の中で子供の生存率が伸びている原因は「母親が読み書きできる」ことだという。 シリア難民は1人1,000ユーロ払って危険なゴムボートでヨーロッパへと向かう。しかし、ヨーロッパまでの航空券は50ユーロで買えるという事実には考えさせられるものがある。

 掲げられている10の「本能」を回避するには、比較したり割り算したり、自分が肩入れしている考え方の弱みをいつも探したほうがいいという。著者はそれをトンカチにたとえ、なんでも叩くのではなく、さまざまな道具の入った工具箱を準備したほうが良いとする。中絶を違法化しても中絶がなくなるわけではなく、中絶がより危険になるだけであるというのもそんな例なのかもしれない。

 事実に基づいて世界を見ることが人生の役に立つというのが、著者の信念。これは何も世界を見ることだけではなく、身の回りのことでも当てはまるように思う。「データを基に世界を正しく見る」という習慣をつけることがいかに重要か。それがよく理解できる一冊である・・・


最新のデータを基にしたオンライン版のチャート



posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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