2017年10月13日

【超一流の雑談力】安田正



第1章 「超一流の雑談」の始め方
第2章 何を話題にすれば、雑談は盛り上がるのか?
第3章 思わず心を許してしまう聞き方
第4章 出会ってすぐに距離を縮める方法
第5章 さらに距離を縮める二度目の雑談
第6章 相手によって話し方や話題を変える
第7章 雑談から本題への移り方
第8章 今日から始める雑談トレーニング

仕事でいろいろな人と会う機会があるが、その時、雑談の重要性を強く感じる。いきなり本題に入るのも味気ないし、かと言ってダラダラと雑談が続くとイライラする。日頃難しいなと感じていたからこそ、タイトルを見て飛びついた次第である。

著者が説く雑談は、誰でも同じようにトレーニングできるという。なかなか心強い。中身はコンパクトに各々がまとまっている。
・自慢話はしない
・軽い失敗談を話す
・オノマトペ(雨が「ザバーッ」と降るというような擬音)
・何のための話かゴールを見失わない

私は個人的に人見知りだと思っているが、「人見知りだからこそ」それを解消するアクションに打って出よとする。その通りなのだろう。
・最初の話題は天気やニュースなど当たり障りのないもの
・実益のあることを教えてもらえればイヤでも会話は盛り上がっていく
早速、今日の銀行担当者との会話で意識してみたところである。

あいづちの「さしすせそ」はなるほどである。
さ:さすがですね
し:知らなかったです
す:素敵ですね
せ:センスがいいですね
そ:それはすごいですね
何だかはが浮きそうであるが、相手をいい気分にさせるのは基本だろう。

・会話が終わったらすぐメモ
・家を出た時から口角を上げる(爽やかな笑顔)
・話をちょいモリして盛り上げる
・意見が食い違う時は「うかつでした」
いずれもちょっとした心遣いである。

相手のタイプにも合わせる必要がある。
・プライドが高い人は上手に褒める
・言いたいことをはっきり言うボスタイプは基本的に無駄話を嫌う傾向
・マイルドな「いい人」タイプには、強すぎず、弱すぎずギリギリの押しで
・賢い話し方をする分析タイプには、数字や根拠、事実などを示しながら
・あまり主張しない「控え目」タイプには、焦らず相手の言葉を待つ
思い返せば、当てはまる人がそれぞれ脳裏に浮かぶ。

・会話の流れを止めない
・どんな球でも拾って繋げる
・間で緩急をつける
このあたり、理屈はわかるが、言うは易しの感がある。

最後の雑談トレーニングは、なかなか参考になった。
・エレベーターの中で、「何階ですか?」と聞く
・お会計の時に店員さんとひと言話す
・社内の苦手な人、嫌いな人と軽く雑談をする
何より、「話す」と言う意識と実践だと言うことなのだろう。

何事であれ、極めれば本が一冊書けてしまう。雑談ですらそうである。このあたりはやはり心掛けだろう。苦手意識を持つことなく、とにかく実践。明日からやってみようと思わされる一冊である・・・



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2017年10月05日

【超AI時代の生存戦略<2040年代>シンギュラリティに備える34のリスト】落合陽一



プロローグ インターネットの身体化から、シンギュラリティ前夜へ
第1章 超AI時代の「生き方」
第2章 超AI時代の「働き方」
第3章 超AI時代の「生活習慣」
エピローグ ユビキタス社会からデジタルネイチャーへ

「AI時代の到来」ということは、至る所で語られている。そんな中、「超AI時代を生き抜いていくために時代性を読み解き、必要なスキルやマインドセットなどについて解説」してくれるのが本書の位置付け。大変興味を持って手にした次第。

スマホの普及により、人はデジタル空間にもう一度生まれたと言える状況になっているという。確かに、SNSの世界はその最たるものだと思う。「ワンクリックでお急ぎ便が届き、いつでもどこでもUberが呼べて、手のひらの上で音楽が買える」現代は便利である一方、将来AIに仕事を奪われ、人はベーシックインカムで暮らすようになるという未来像もある。しかし、そうした「コンピュータ時代の思考法」もあるとするのが著者の主張。

まず出てくるのが、ワークライフバランスならぬ「ワークアズライフ」。報酬とストレスとをキーワードに「ストレスのかかることかからないことのバランス」を考えるのだという。やってて楽しいこと、すなわちストレスのかからぬことを仕事にするという考え方だが、「好きなことを仕事にする」とは以前から言われていることでもある。これは今自分でも「仕事を楽しんで」おり、よく実感できる。「好きなこと仕事にする」か「ストレスのかからぬことを仕事にする」か「仕事を楽しむか」どれもストレスフリーという点では共通している。これができれば一番である。

ネットで人間関係は無限に広がる気もするが、「コミュニティの限界は30人」だとする。「世界を狭めれば自分らしさが定義できる」という考え方は新鮮である。グローバルとローカルに優劣はなく、多様化した社会では「1個のパイを奪い合うのではなく、パイをどうやって広げようかという超AI時代の戦略」が必要という主張は素直に同意できる。

さらに全員が全員違う方向に向かってやっていくことを当たり前に思うこと、1人1人がブルーオーシャンな考え方をしていかなければいけないという点も然り。サーベイ(調査・測量)をして、自分がやっていることと同様の事例があれば、そこから先に自分がどういう価値を足せるのかを考えるというマインドセットが大事だというが、その通りだろうと思う。

そのほか、なるほどと思えたのは以下の通り。
・インターネットに管理される生活と管理する生活に上下関係はない(領域ごとに成立する役割分担)
・人とテクノロジーの組み合わせが時代を作る
・時代の速度より遅い進歩はいくらやってもゼロ
・締め切りに追われないためには、「ツールを使うこと」「中間の工程を気にしないこと」「機械にできることを極力やらないこと」が大事
・人間をコミュニケーションのチャンネルとして捉える
・データ量ではなく、「特徴量」を記憶に埋め込む。おぼろげな記憶があれば、「ググればわかる」

これから確実にやってくるのはどういう時代なのか。それに対し自分はどうすべきなのか。人間は歳をとるとだんだん何をするにも億劫になりがちだろう。高齢化社会の中で、いつか確実に高齢者の仲間入りをするわけだし、その時になって流されて終わるのではなく、常に自分のあり方をしっかりと意識しておきたい。本の内容もさることながら、そんな意識を改めて持たせてくれた一冊である・・・




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2017年09月26日

【一流の魅せ方−会う人すべてがあなたのファンになる−】鈴鹿久美子



第1章 誰に、どう魅せたいのか
第2章 「体型と顔」は、こう魅せる
第3章 一流は毎日「同じ服」を着る
第4章 相手を瞬時に魅了する作法
第5章 人生は選挙である


著者は、政治家のためのブランディング戦略家出、魅せ方コンサルタント。いろいろなコンサルタントがいるものだと改めて思うが、そんな魅せ方コンサルタントが、「出会った人を一瞬であなたのファンにする方法」を記したのが本書だという。十分魅力的なうたい文句で、人気があるのもよくわかるというものである。

「人は魅せ方が100%」だとし、「一瞬の印象」が成否を左右するとする。まぁ普段、営業などに来られた人とあったりしているが、だいたい初対面の印象は最初で決まるというのは実感として理解できるところである。それでも「49歳でリストラされた普通の主婦が、6週間で政治家になってしまった」などという話を読むと、ついつい警戒心が強くなってしまう。

選挙で落ちる人の特徴は共通していて、ポスター用の写真に使う服装や笑顔、キャッチフレーズ、演説の内容、身の回りの小物等をなんとなく選んでしまうことだと言う。当選する人は政党への「風」がどちらに吹いていても確実に当選するものであるし、そういう人を目指すには「魅せ方」が重要だというのが著者の主張である。

オシャレにはとことん苦手な私であるが、「流行に敏感」は自分を客観視できていないと残念な結果になるということにはちょっと救われる気がする。「流行に敏感」≠「オシャレ」ということらしい。オシャレであるためには、自分のスペックを棚卸し、どんな自分を魅せたいかを明確にし、その第一歩として自分のコアカラーを決めるという。やっぱりついていけそうもないと感じる。

「体型」「笑顔」をこうすべしと言われても自分には難しい。「服装」「小物使い」「話し方」の3つを「同時に同じ方向に向かって足したり引いたりして100点になるようにする」のが人生の戦略と戦術だとするが、苦手意識は払拭できない。その他作法については、小泉進次郎などの実例を挙げて説明してくれるが、このあたりは話のネタ的に聞き置く。

「相手の目を見るのが怖かったら、相手の口元を見る」という話は新鮮であった。こちらは口元を見ていても、相手は「自分の目を見ている」と感じるという。こういう話は面白い。どんなに厳しい仕事でも「誰かが見ていてくれる」「しっかり評価してもらっている」と思えるだけで人は頑張れるというのは、部下を持つ人には参考になる話である。

・「やりたい」と思わせることが上に立つ者の仕事
・自分がどうしたいか、たった1人の自分がどう思うのかを大切に考える
・他人は自分が思うほど自分のことばかり見ていない
バツイチアラフォーで失職し、選挙の手伝いから議員秘書になり、半年間で十二指腸潰瘍を2回、円形脱毛症22箇所という経験をした筆者ならではの、「魅せ方」以外の部分も見逃せない。

オシャレは無理でも、だからと言ってまるで敬遠してしまうのもよくないだろう。この本を読んですぐにどうこうとはいかないが、自分なりに意識してみたいと前向きに思う。そんな気持ちにさせられた1冊である・・・




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2017年09月20日

【謙虚なコンサルティング クライアントにとって「本当の支援」とは何か】エドガー・H.シャイン



原題:Humble Consultibg How to Provide Real Help Faster

1. コンサルタントなのに、どうしたらいいのかわからない
2. 謙虚なコンサルティングはどのように新しいのか
3. 互いを信頼し、率直に話しのできるレベル2の関係の必要性
4. 謙虚なコンサルティングは最初の会話から始まる
5. パーソナライゼーション-レベル2の関係を深める
6. 謙虚なコンサルティングはプロセスに集中する
7. 新しいタイプのアダプティブ・ムーブ

もともとコンサルティング系の仕事には興味を持っているのだが、それは読む本を選ぶ時にも自然と現れてくる。この本もそんな傾向の中で手にした一冊。
「謙虚なコンサルティング」とは一体何なのか。それは「クライアント自身が納得感のある解を自ら探っていけるよう支援する」ものだという。コンサルタントというと、どうしても教え導く「先生」というイメージがあるから、言わんとしているところはよくわかる。

謙虚なコンサルティングで重視するのは、「プロセス・コンサルテーション」。結論だけを教えるというのではなく、結論に自ら至れるようにするということであろう。「クライアントが主語」という言葉にそれはよく現れている。そうしたコンサルティングが求められるようになった背景として、「かつてない複雑な問題」、「かつてない種類のクライアント組織」、そして「クライアントが感じているかつてない切迫感」を挙げている。

「謙虚なコンサルティング」の特徴は、「クライアントとの間のこれまでにない個人的な関係が必要」な点だとする。それには「謙虚な姿勢」、「支援したいという積極的な気持ち」、そして「好奇心」が必要となる。さらに新しいタイプの聴くスキルと対応するスキルが必要とする。聴くスキルの具体的内容は下記の通り。

1. 自己中心的に聴く:自分が最初に何に注意を引かれたか
2. 内容に共感しながら聴く:クライアントが伝えたい問題の要素は何か
3. 人に共感しながら聴く:クライアントが実際にどのように経験し、感じているか

こうした理論だけだと何となくわかったような気になってしまうが、著者が例示する具体的事案がその理解を助けてくれる。特にあるプロジェクトで、タスクフォースのメンバーとどのようにスタートを切るかが問題になった事例で、著者はパーソナライズ(打ち解けた)された関係を築くために「チェックイン」と呼ばれる手法を導入した例が印象的であった。これは要は自己紹介なのであるが、そのプロジェクトに対する思い入れを語ってもらうことで、メンバーの共感を集めたというもの。特に同じ会社でも話をしたことがないメンバーなどでは効果的に思う。

クライアントとは師弟の関係に立つのではなく、あくまでも寄り添うことを目指す。クライアントと支援者が信頼し合い、率直に話ができることが大切であり、「レベル2の関係」と呼ぶパーソナライズされた関係を重視する。これはコンサルタントのみならず、上司と部下でも親子でもできそうである。よくよく考えてみれば、これこそコンサルタントが必要とするスキルのような気がするが、こうした本が出されるということは、そうでなかったということかと改めて思わされる。

本を読んだだけでどの程度身につくかはわからないが、自分自身の対人関係のスキルとして、意識してみたいと思わされるものである・・・


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2017年09月08日

【逆説のスタートアップ思考】馬田隆明



前 章 スタートアップとは
第1章 アイデア
第2章 戦略
第3章 プロダクト
第4章 運 それはコントロールできる
終 章 逆説のキャリア思考

スタートアップとは、これまでなんとなく「起業したての会社」というイメージでいたが、厳密にいうとそうではないらしい。スタートアップとは、「短期間で急成長を目指す一時的な組織体」ということらしい。起業したてでも着実な成長を目指すものは、「スモールビジネス」であり、スタートアップとは異なるとしている。著者はそんなスタートアップ支援を長年手がけている方のようである。

スタートアップの世界では、普通のビジネスの考え方や起業の方法論がうまく当てはまらないことが多々あり、この本はそんなスタートアップに関するノウハウについて、特に「アイデア」「戦略」「プロダクト」について集中的に解説したものである。この本を手に取ったのは、別にこれからスタートアップを手がけようというつもりではなく、新規事業についてのヒントを求めたつもりである。

まずは「アイデア」。成功するアイデアについては4つ挙げられている。
1. 不合理な方が合理的
2. 難しい課題ほど簡単になる
3. 本当に良いアイデアは説明しにくい
4. スタートアップはべき乗則に従う

ここで参考になったのは、「一見悪いように見えて実は良いアイデア」という考え方。と言っても悪く見えるアイデアがいいというわけではなく、むしろ悪く見えるアイデアのほとんどは単に悪いアイデアとするから難しい。むしろ大事なのは「実践」なのかもしれない。「起業家の重要な資質は粘り強く臨機応変であること」は真実なのだろう。

「戦略」についての考え方は、「やはりね」と思わされることが並ぶ。
・スタートアップが目指すのは「勝つことではなく競争を避けて独占すること
・競争に勝つにはどうやって競争から抜け出すかを考えること
・素早く独占するために必要なのは何よりも素早さ
・小さな市場を選ぶ
・先行者利益より終盤を制する
・戦略の本質は「何をしないか」を選択すること
・戦略は実践から生まれる

「プロダクト」で大事なことは、
・人の欲しがるものを作る
・それをすべての人々に届ける
・シンプルなものを高くローンチ
・多数より少人数に愛される製品を作る
ことだとする。

最後に大事なのは、「運」だと語られる。そんな話を聞くと、先日読んだ『成功する人は偶然を味方にする−運と成功の経済学−』を思い出す。真実というのは、そうそう変わるものではないのだろう。言っていることは同じである。

いろいろと人によって考え方はあるだろう。スタートアップを目指す人ばかりではないだろうし、何か新しいことを考えなければならない人なら、なんらかのヒントは得られるだろう。そんな意味合いがある一冊である・・・


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2017年08月21日

【成功する人は偶然を味方にする−運と成功の経済学−】ロバート・H.フランク



原題:SUCCESS AND LUCK
Good Fortune and the Myth of Meritocracy

第1章 わたしが知るかぎりのことを教えよう
第2章 なぜささいな偶然がきわめて重要なのか
第3章 「ひとり勝ち市場」における偶然
第4章 一番成功する人は、一番有能な人ではない
第5章 努力と才能の誤解は、こうして広がる
第6章 「努力したから成功できた」の罪
第7章 黄金のチャンスをつかめ
第8章 まわりに感謝する


著者は、コーネル大学の経済学教授とのこと。タイトルからすれば、「成功には実力だけではなく運も必要」と言ったことになるのであるが、この本はそこから一歩進めて、そのためには「それを社会に還元することが必要」と言った主張にまでつなげる内容。具体的には累進消費税の導入(によるインフラの改善)を主張するものとなっている。

成功者は、大抵自分の成功は自らの努力と知力の賜物だと考えている。だが、そうではないと著者は主張する。
・些細な偶然が人生を変える
・才能があっても努力しても運なしでは勝てない
とする。そしてウォーレン・バフェットの言葉「今日誰かが木陰で休むことができるのは、遠い昔に誰かが木を植えてくれたから」を紹介し、この国には1人で豊かになった人はいないとする。なるほど、その趣旨はよく理解できる。

そして「誰かが木を植える」ことをたとえを出して説明しているが、これがわかりやすい。曰く、「でこぼこのないよく舗装された高速道路でポルシェターボ(15万ドル)を運転する」のが良いか、「深さ30センチの窪みがあちこちにある道でフェラーリF12ベルリネッタ(33万3千ドル)を運転する」か。金持ちは、公共投資にもっと協力すべきという主張だ。

・就職活動は運次第
・ヒットするかどうかも偶然
・僅かな差が致命的になる
こうした「偶然の力」は、情報革命でますます強まって行く。勝者は勝つべくして勝つが、それでも運が重要。そういえば野村監督も「勝ちに不思議の勝ちあり(負けに不思議の負けなし)」と語っているが、同じような趣旨だろう。しかし、たいていの人は「成功は自分の力、失敗は不運のせい」という「幸せな思い込み」に囚われている。

人は、向かい風には気づいても、追い風には気づかない。自分は有能だと思い込むと公共心は育たない。成功したのは運のおかげだと感謝すれば、人は変わる。そうした感謝を税金という形で社会に還元すれば、自らも恩恵を受けられる。税を渋るのは、自分の首を絞めること。そうした意見の流れで、著者は具体的な方法として累進消費税を主張する。

累進消費税とは、消費額に対して課税される消費税のことで、年間の収入から貯蓄を引き、大幅な基礎控除を引いた後の金額に課税する仕組みらしい。特徴としては、消費額が少なければ税率は低くなり多ければ高くなるという意味で、「累進」消費税ということと説明される。正直言って、どの程度効果的なのかはよくわからないが、かつてフリードマン教授も提唱したことがあるというから、それなりに理論的なのだろうとは思う。

後半は、この累進消費税に対する著者の思いが述べられていて、タイトルとは一見かけ離れるので、意外な展開であった。これだけ著者が力を込めて語る「累進消費税」の効果がいかなるものか、自然と興味が湧いて来る。日本では聞こえてこない議論だが、ちょっと頭の片隅にでも入れておこうと思う。

何れにしても、努力の他に「幸運」というのもやはり必要なのだろうと思う。「運頼み」は良くないが、「すべて自分の力」という慢心も良くないのだろう。日々の努力と、それがうまくいけばそれをもたらした「幸運」への感謝と、それを社会に還元すること。そうした意識をきちんと持っておきたい。

そう思わせてくれる一冊てである・・・



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2017年08月15日

【世界標準の子育て】船津徹



第1章 「世界標準」の子育て 3つの条件
第2章 海外の子育て、日本の子育て
第3章 日本人の子育て7つの間違い
第4章 「自信」を育てる3つのステージ
第5章 「考える力」を育てる3つのステージ
第6章 「コミュニケーション力」を育てる3つのステージ
第7章 子育ての「壁」への対処法

子育ては、今の自分にとって関心の高い分野の1つ。そそられるタイトルがあれば、自然と手が伸びるというもの。著者はハワイで「TLC for Kids」というスクールを運営している方のようである。長年、子供の教育に携わり、多くの実績を出されているとのことである。様々な国の教育方法を日本人向けにアレンジした「ハイブリッド式」の子育てを紹介するのが本書ということである。

タイトルにある「世界標準の子育て」とは、@「自信」A「考える力」B「コミュニケーション力」という3つの能力を伸ばす子育てだという。AとBはまさに自分が日頃から大事だと思っていることなので、俄然興味をそそられる。まずはその「自信」だが、子育ての90%は「自信」を育てられるかだとする。過干渉は子供から自信を奪い、人前で叱るとプライドを傷つけるのは大人と同じ。なるほどと思う。

「褒める」ことはあちこちで賞賛されているが、よくあるように「我慢できて偉いね」はダメだという。それは単に従順を促すだけで、褒める時は「良い部分を具体的に」が基本。
「人に迷惑をかけるな」というのは、当たり前のように思えるが、自尊心の低い子になるという。周りの目を気にし過ぎる子育ては自尊感情を潰すというが、このあたりはよく考えてみたいところである。

・親のイライラは子供に伝播する
・しつけをする時は結論だけではなく理由を説明する
・急き立て言葉(早くしなさい!)でプレッシャーに弱い子になる
・「兄弟平等」は上の子にとって不平等
・身内への悪口を聞いた子供は人を馬鹿にする
・子育てにおいては「結果主義」ではなく「努力主義」
・継続が大事
・男の子はおだてて育てる、女の子は手本を示して育てる
なかなか唸る言葉が並ぶ。

「自分で考える力」を育てるには、9歳までは多読、10歳からはノンフィクションを増やし、親子で興味を持ちそうな記事について議論するといいという。これは是非とも意識したい。いい親子関係を築くには5つのルールがある。
1. 子供に話をさせようとせず自分から話題を振る
2. 子供が話題に乗って来たら見逃さずに話題を広げる
3. 話を遮ったり、急かしたり、否定したりせずに最後まで聞く
4. 上から目線で話をしない(馬鹿にしない、説教しない)
5. 話をしやすい環境を作る(車の中や食事中などリラックスした雰囲気で話を振る)
これは意識してみたい。

・思春期の犯行は大人へのステップ。放っておくのが一番
・ティーンエイジャーを暇にしてはいけない
・親が子供と一緒のことをする時間を持つ
・指示、命令、小言、説教をやめて人間同士のコミュニケーションを心掛ける
・子供の強みや好きなことを見つけて親が応援する
・選択に迷っている時は、難しい道をアドバイス
さすがに専門家だけあって、一つ一つがなるほどと思わされる。

中身は子供の年齢に応じたものになっていて、我が家の小学校6年と高校生の子供を意識して読み進める。もう過ぎてしまった年齢の部分は、「もっと早く言ってよ〜」と思ったりすることもあるし、「自分はできていた」と得意に思うこともある。そしてまさに我が子の年齢該当部分は自然と身を乗り出すことになる。いろいろと親としての意見はあると思うが、こういう本を一読しておくのも無駄ではない。

まだまだ我が子に当てはまる部分は、大いに参考にしたいと思わされる一冊である・・・



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2017年07月31日

【隷属なき道−AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働−】ルトガー・ブレグマン



原題: UTOPIA FOR REALISTS And How We Can Get There

第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に苦しむのはなぜか?
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
第3章 貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる
第4章 ニクソンの大いなる撤退
第5章 GDPの大いなる詐術
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
第8章 AIとの競争には勝てない
第9章 国境を開くことで富は増大する
第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
終 章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること

著者はオランダ出身の歴史家、ジャーナリスト。本国オランダでベストセラーになり、英語版は自費出版で火がついたというこの本。それほど深い興味を持っていたわけではなく手に取ったのだが、その内容に驚かされることになった一冊である。

現代は、人類史上最も豊かな社会であるという。1820年には世界人口の80%が極めて貧しい生活を送っていたが、現代ではそれは10%。オランダにおいては、公的補助を受けているホームレスの生活費は1950年の平均的なオランダ人より多いのだとか。世界的には、空腹に悩む人より肥満に悩む人の方が多いという指摘は、確かにその通りなのだろう。一方で、うつ病が10代の若者の最大問題で、2030年には世界の病気の第一位になるという指摘には愕然とさせられる。

そんな現代社会において、著者はこの世界を救う方法として、
1. ベーシックインカム
2. 1日3時間労働(週15時間労働)
3. 国境線の解放
を提案している。

ベーシックインカムとは、基本的な給付金のこと。わかりやすい事例として、イギリスでホームレスに3,000ポンドの現金を支給する実験をしたことを例示する。その実験の結果、対象の13人のうち9人が一年後には屋根のある生活を送り、あるいはその見込みが立つようになり、全員が生活改善へと向かったという。ホームレス対策にお金をかけるより、現金を渡す方が少なく、かつ効果的だという。なかなか我々の常識ではすぐに納得できそうもない内容である。

しかし、同様の実験はケニアやウガンダなど各地で行われてそれぞれ効果を見せているという。それらの実験では、フリーマネーをもらった人たちが買わなかった一群の商品は、なんとアルコールとタバコだったという。日本で言えば、生活保護の代わりに現金を渡せということになるのだろうが、本当に上手くいくのだろうかと疑問を禁じ得ない。

また、日本でもカジノの議論があるが、これもアメリカのノースカロライナ州でチェロキー族の土地に作られた例が紹介されていて興味深い。日本と同様、カジノを建設すれば犯罪の温床になったりギャンブルで身を持ち崩したりということが危惧されていたが、オープンしてみればカジノ効果で学校、病院、消防署が新設され、チェロキー族の人々も収入が4倍になったという。日本の共産党の人はこの事実に対し何ていうだろう。

また「ハウジングファースト」というホームレスに住宅を供給する試みも興味深い。ヨーロッパでは空き家がホームレスの2倍、アメリカでは5倍あるといい、ユタ州ではこれでホームレスが74%減り、オランダでもホームレス対策費の2〜3倍の効果があったという。自分の先入観を一旦クリアしないといけないのかもしれない。

「1日3時間労働」は、夢のような話だと思ったが、実は労働時間が増えて経済成長がもたらされても、一定限度を超えるとそれは借金をベースとした消費に向かい、その結果それを賄うために働かなければならなくなっているという悪循環が説明される。つまり、働く時間を減らしても今の生活は維持できるのだという。これもにわかには信じ難い。

さらに国境線の解放は労働者の自由な移動をもたらし、その結果、全世界で65兆ドルの富が増えるという。移民に対し保守的なわが国では、気を失う人が大勢出そうな意見である。しかし、移民は仕事を奪うことなく、逆に増やすものであり(イスを持ってイス取りゲームに参加してくるという言い回しがなされる)、安い労働力のせいで賃金が下がるという意見には、そうしなくても結局企業は製造拠点を安い海外に移すことで国内の賃金を下げてしまっていると説明する。

その他、銀行員や会計士など、「富を移転する」だけで有形の形を生み出さない人が高給を得ている現状を批判する。銀行が1ドル儲けてるとどこかで60セントの損失が発生するが、研究者が1ドル儲けるとそれは5ドル以上の経済効果を世にもたらすといる。アイルランドでは半年間銀行がストライキをしても影響はなかったが、NYでは清掃員が10日間ストライキをしたら大混乱になったとし、「富を生み出す」人を重視せよと説く。

目から鱗の意見の連続で、大いなる刺激を受けた。この内容の是非はともかくとして、自分の常識に凝り固まってはダメだと思うし、ここに書かれていることがわが国でも当てはまるのかどうか大いに興味をそそられた。是非ともトライしてみてはと思うところである。
手にした時は、特に期待もしていなかったが、久々に刺激を受けた一冊。こういう本は読んでおきたいと素直に思わされる一冊である・・・



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2017年07月06日

【やり抜く力−人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける−】アンジェラ・ダックワース



原題: GRIT The Power of Passion and Perseverance
PART1 「やり抜く力」とは何か?なぜそれが重要なのか?
第1章 「やり抜く力」の秘密
第2章 「才能」では成功できない
第3章 努力と才能の「達成の方程式」
第4章 あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか?
第5章 「やり抜く力」は伸ばせる
PART2 「やり抜く力」を内側から伸ばす
第6章 「興味」を結びつける
第7章 成功する「練習」の法則
第8章 「目的」を見出す
第9章 この「希望」が背中を押す
PART3 「やり抜く力」を外側から伸ばす
第10章 「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
第11章 「課外活動」を絶対にすべし
第12章 まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
第13章 最後に

 原題にある「GRIT」とは、ここでは「やり抜く力」と訳されているが、元々の意味は「(困難にあってもくじけない)勇気,気概,闘志」ということであるらしい。そしてこの本の主張を一言でまとめるのなら、「成功に必要なのは才能ではなく、やり抜く力」ということ。本書は、そんな「グリット」研究の第一人者による解説である。

 米国陸軍士官学校は通称ウエストポイントと称される米国陸軍の最高峰の士官学校であるが、その狭き門は毎年全国の優秀な生徒14,000人が目指し、わずか1,200名が入学できるレベルなのだという。にもかかわらず、その過酷な訓練で5人に1人は中退するのだという。肉体的・精神的に最も過酷な環境に最後まで耐え抜けるのはどんな人か。調査によれば、それは「ネバー・ギブ・アップ」という態度であったという。

 「やり抜く力」に必要なのは、「情熱」と「粘り強さ」。才能があっても関係ない。しかし、世の中のほとんどの人は、努力よりも才能を上と見てしまう。言われてみれば確かにその通りである。紹介されているニーチェの言葉が興味深い。
 「芸術家の素晴らしい作品を見ても、それがどれほどの努力と鍛錬に裏打ちされているかを見抜ける人はいない。その方が好都合と言っていい。気の遠くなるような努力のたまものだと知ったら感動が薄れるかもしれないから」
なるほどである。

そして示される公式。
「才能」✖︎「努力」=「スキル」
「スキル」✖︎「努力」=「達成」
どちらにも「努力」が入っていることに注目したい。別の言葉では、「情熱とは1つのことに専念すること」と説明されている。いい言葉である。また、とにかくやり抜けばいいというものでもない。目的は重要度を考え、低いものは諦めてもいいが、高いものは安易に妥協すべきではないとする。

 そんなやり抜く力は、ある程度は遺伝の影響らしいが、大事なのは関係する遺伝子は1つではないこと。諦める必要はなさそうである。そして環境。1人が賢くなると、まわりも賢くなっていく。バスケが上手くなるコツは、自分よりややスキルの高い仲間と一緒にプレーすることだという。環境が変われば変わるし、また必要に迫られても変わる。

 やり抜く力の4つの特徴は、「興味」「練習」「目的」「希望」。やり抜く力の強い者は、他の者より練習時間が長い。時間だけでなく、「高い目標設定」「集中と努力」「改善と反復」も重要なファクターだとする。そんなやり抜く力を自分が身につけるのも大事だが、子供のやり抜く力はどう育てればいいのだろうか。そんな疑問が親としては当然思うが、それにも答えは用意されている。

・最後までやる習慣をつけさせる
・厳しくしつつも温かく支える
・自分で決められる感覚を持たせる
・親が愛情深くどっしりと構えている
それぞれ具体的に説明されているので大変参考になる。しかし、最も大事なのは次の考え方。
「自分が人生の目標に対してどれくらいの情熱と粘り強さを持って取り組んでいるか。子供が自分を手本にしたくなるような育て方をしていると思うか」
思わず考えさせられてしまう。

 何事も大事なのは才能ではなく、「やり抜く力」だとする考え方は、自分が凡人だと思っている身には救いとなる。同時に言い訳もできなくなる。「やれるかやれないか」ではなく、「やるかやらないか」。希望を持って物事に取り組みたいと思う。
 実に勇気の湧いてくる一冊である・・・

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2017年06月15日

【一言力】川上徹也



第1章 要約力
第2章 断言力
第3章 発問力
第4章 短答力
第5章 命名力
第6章 比喩力
第7章 旗印力

著者はコピーライター。タイトルの「一言力」について、著者は「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」と定義する。一言主という「良いことも悪いこともすべて『一言』で言い表す神様」の話など紹介し、いかにもコピーライターらしい話なのだと思わせてくれる。そんな一言で本質を言い表すのに必要な能力を著者は7つ提示する。それが各章になっている。

最初の『要約力』は、文字通り短くまとめる能力。「言葉メタボ」「言葉のダイエット」などの言葉は早速ながら面白いと思う。このうち「具体的要約」について、ヤフートピックを紹介してくれる。ニュースを13字で要約しているヤフーのトップページでおなじみのやつである。例えば桃太郎の物語を13字で要約する。
「桃太郎、仲間と鬼退治に成功」
なかなか見事である。

これを「抽象的要約」にすると、
「少年が仲間と旅立ち何かを得る」
とする。そしてこれは商品企画などに応用できるとする。なるほど、である。この要約力を鍛えると得られるものは、
・仕事において何が重要かわかる
・上司や得意先の求めているポイントが何かわかる
・仕事をどのように進めて行くのが効率的かわかる
とする。話し言葉を15秒で要約する習慣をつけるというのも参考になる。

『断言力』は、
「会議を始めたいと思います」→「会議を始めます」のようにすること。「断言はサービス」という考え方が新鮮である。断言することはリスクを負うこと、リスクを負って断言するからこそアドバイスする意味があるというのは、納得である。
『発問力』は問い掛け。意見が対立した時や思いが伝わらない時、一言で視点やその場の空気を変えることができるとしているが、これは自分の経験からもよくわかる。スピーチの冒頭を質問で始めるのもツカミとしては有効だという。

『短答力』は、受けの妙。その面白さは、「視点が面白い」「表見が面白い」に分けられる。これが身につくと、かなり強力だ。ネーミングでは、3つのS(ショート、シンプル、ストレート)が大事だとする。
『比喩力』は、「距離が遠いものの中に共有点を見つけることが、第一歩。
『旗印力』で問われる「刺さるスローガン」は、「短く」「優しく」「覚えやすい言葉で」が基本だとする。

さすが普段から考え、鍛えているだけにためになる。読んだだけではすぐに身につくものではないが、やはり普段からの心がけが大事だろう。こういう本を手に取ったということは、すなわちこういうことに興味があること。「余計な一言」は得意だが、「相手を唸らせる一言」をこれからはぜひ身につけたい。そのためにも、ここに書かれている基本は意識してみたいと思う。そんな興味深い一冊である・・・


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