2013年04月16日

【現実を視よ】柳井正



プロローグ 成長しなければ、即死する
第1章 いまやアジアは「ゴールドラッシュ」
第2章 「資本主義の精神」を忘れた日本人
第3章 政治家が国を滅ぼす日
第4章 あなたが変われば、未来も変わる
エピローグ 2030年・私が夢見る理想の日本

ご存知、ユニクロの柳井会長兼社長の著書。
今や日本を代表する経営者のお一人であるが、この本はよくありがちな経営者の成功本ではない。
これからの日本に対する提言である。

もう既にこの手の本は、大前研一との共著 「この国を出よ」を記しているが、それに続くものである。
既にユニクロは世界各地に営業展開している。
社内の公用語も英語だし、外国人の採用も当たり前になっている。
近いうちにもはや日本の企業という範疇に収まらなくなるのだろう。

この本の底に流れるのは強烈な危機感。
「このままでいいはずがない」という意識だ。
そしてそれを感じる事なく、太平の眠りを貪っている日本人に警告を発してくれているのである。
大企業に入って、安定した日々を安らかに送っている身としては、耳の痛いところがある。

今や中国のみならず、アジアの若者たちは必死に勉強し、貪欲に成功を求めている。
中国、韓国、フィリピン、シンガポール・・・
日本人がいつまでも上だと勘違いしていたらあっという間に抜かれる。
得意の技術も「町工場」の職人だけだと言う。

本来競争社会であるはずの資本主義だが、日本では総サラリーマン化し、成長しなくても安定していればいいと言う風潮が支配し、いつの間にか社会主義のようになっている。
国家財政が破綻状態にあってもなお改善しようとしない政治家。
無駄の削減などいつのまにか忘れ去り、消費税を上げてお茶を濁し、年金問題も原発事故も一票の格差も、曖昧なまま時が流れている。

それを変えていくのは、もはや国民一人一人しかない。
ケネディの就任演説の有名な言葉を繰り返し、自覚を求める。
Ask not what your country can do for you,
ask what you can do for your country
それを社内でも社員に求めているという。

最後に柳井社長の考え方が、messageとして列挙されている。
1 起こっていることは、すべて正しい
2 人間は求めていい
3 需要は「ある」のではなく「つくりだす」
4 サムスンに躍進の秘訣を聞きに行け
5 売れる商品は、世界中どこでも同じ
6 100億円売ろうと決めねば、100億円売れない
7 戦うのなら、「勝ち戦」をすること
8 日本語はハンデにはならない
9 日本の「商人道」を取り戻せ
10 苦しいときほど「理想」をもて

読んでいて共感するところは多い。
されど、「では明日から何をする」となると難しいものがある。
年齢的に「今からでは」という気持ちもある。
されど、問題意識を持ち続ける事は大切だと思う。
自分に何ができるか。
考えながら、毎日を過ごしてみたいと思うのである・・・
   
   
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2012年12月01日

【もし、日本という国がなかったら】ロジャー・パルバース



最近我が国についていろいろと思う事がある。
そうすると、外国人から見た日本の姿というものを見てみたいという気になる。
ちょうど人が我が身を鏡に映して見るように、である。
ちょうどそんな時に、目の前にこんなタイトルの本があれば、それは手に取るだろう。
そんな経緯で読んだ一冊。

著者はもう日本に40年以上にわたって暮らしているロジャー・パルバース氏。
知る人は知る人物であるようだが、もちろん、私は知らない。
ハーバード大学を出て、ロシア語を学び、その関係で訪れたポーランドではポーランド語を学び、そして来日するやまたたく間に日本語もマスターし、どうやら語学の才能は凄い人のようである。
この本は、そんな人物の自伝。

タイトルに紛らわされてしまったが、あくまでも自伝であるから、有名人ならともかく、知らない人の自伝はそれほど面白いとは思えない。
まあマンガ、アニメ、スシ、カラオケをMASK現象と名付けたりするところは、外国人から見た日本であり、それなりに満足はさせてくれる。

作家の井上ひさしなど著名人とも交流があり、宮沢賢治を絶賛。
有名な童謡「赤とんぼ」や小津安二郎の映画を解説してくれたりするところは、日本人でもなかなか知らない事でもあり、驚くところである。
著者はアメリカ人なのに日本に取りつかれ、なのにオーストラリアの国籍を取得し、日本には40年以上住んでいるというちょっと経歴は変わっている。

しかし、やっぱり個人的に惹かれたのは、日本人についての部分だ。
あらゆる人たちが礼儀正しく振舞う、正当性を主張する欧米人に対し譲り合う日本人、気配り、そしてサービス精神。
東北大震災時にみせた“自粛”。
あらゆる宗教に敬意を払えるのは日本人だけという指摘。
一つ一つのエピソードを聞いても、日本人だと違和感がなくてわからないが、外国人からみるとよその国では見られないものらしい。

また日本語の特徴についての話も面白い。
「あの〜」と言っただけで助けてもらえた外国人女性の話。
喫茶店で、「エスプレッソはありますか?」という著者の質問に、「“は”ないです」と答えた店員さん。(エスプレッソを省略しても通じてしまう)
小さい「っ」が表す多くの感情。
「むちゃくちゃだ」と「むっちゃくちゃだ」の微妙な違い。
「痛っ」「やばっ」などの表現や、「おばあちゃん」と「おばあちゃま」のニュアンスの違い。

いちいちなるほどと思ってしまう。
こうした後半部分の話は、最初にこの本を読んでみたいと思った気持ちを十分に満たしてくれる。
少々大げさに褒めているところもあるが、世界に誇っても良い部分は、日本人として大事にしていかないといけない。

そんな気持ちを改めて持たせてくれた本である・・・
    
    
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2012年10月04日

【私は日本のここが好き!】加藤恭子



サブタイトルに「外国人54人が語る」とあるように、これは外国人から見た日本についての意見集である。
最近また激しくなっているが、韓国や中国での反日デモで嫌われ者としての日本人を意識した著者が、もっと日本人を励まそうと教え子たちも交えて集めたインタヴュー集である。
回答を寄せているのが、さまざまな分野の外国人たち。
アジア・中東・オセアニア、南北アメリカ、ヨーロッパ・アフリカ、国や地域もバラバラな54人の外国人たちが登場する。

「普通の日本人の魅力」
「良きイスラム教徒に最も近い日本人」
「人も仕事も正直で精密、繊細」
「世界一のサービス」
「やさしさと素朴さ」
「国民の資質が高い」
「世界一の一般人」
「一人一人が規則を守る」

何となく自覚しているものもあれば、日頃当たり前と思っている事が、実はそうではないとわかる意外さもある。
人は褒められればだれもが嬉しく思う。
そんな嬉しくなるような言葉がたくさん並んでいて、読んでいると気分がよくなる。

登場する人たちはみな日本のファンであると思うのだが、しかし良く読んでみると、苦言もさらりと述べられていたりする。
「シルバーシートに若い人が座り、電車の中で禁止されているのに携帯で話すなどモラルの低下がある」
「街が汚くなり、治安も悪くなった」
「本音と建前がある」
「突出したエリートを育てなきゃダメ」
「国歌を嫌う日本人がいる」
「心を開いてもらうのに時間がかかる」
こういう意見こそきちんと聞かないといけない。

ウズベキスタンの首都にあるナヴォイ劇場の話も紹介されている。
戦後のシベリア抑留で連れてこられた日本人捕虜が建てた劇場であるが、後日首都を襲った地震に際し、周りの建物が次々と崩壊する中で、崩れる事なく残ったという。
捕虜として強制的に働かされたにもかかわらず、しっかりとした仕事をした事に現地の人たちは感動したという。
そんな事もあって、ウズベキスタンは親日的なのだという。

自分はそんな外国人たちに対して、日本人として胸を張れるだろうか。
そんな事を自問したくなる。
人は鏡を見る事によって自分の姿を見る事ができる。
良くも悪しくも自分の姿をきちんと見る事が大事だと思うが、そんな時に参考にしたくなる一冊である・・・
      
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2012年04月12日

【日本の未来について話そう】マッキンゼー・アンド・カンパニー


    

第1章 日本の再生に向けて
第2章 再び変化の時代へ
第3章 再建のための現状把握
第4章 国際化への鍵
第5章 日本外交政策の選択
第6章 グローバルな視座
第7章 技術と思考のイノベーション
第8章 人材の「発見」と活用
第9章 文化の継承と発展

マッキンゼー・アンド・カンパニーが各界の著名人にインタヴューし、それぞれ各章に掲げたテーマについて語ってもらった一冊。
内容は、タイトルそのもの、「日本の未来について」である。
副題に「日本再生への提言」とある通り、現状の長引く不況や震災の影響に揺れる我が国の再生方法についての意見である。

登場する著名人も実に様々。
経営者が多いが、スポーツ選手・監督、作家・漫画家、ジャーナリスト、大学教授に研究者等々国内外の多数が登場する。
個人的には孫正義、柳井正、南波智子、ハワード・シュルツ、ジョン・チェンバース、などの経営者、藤原和博(元民間出身校長)、ボビー・バレンタイン元ロッテ監督、漫画家の弘兼憲史などに興味を惹かれた。

当然ながら日本の未来を語る時に欠かせないのが、海外との関係。
これについては様々な形で提言されている。
一言で言えば、「もっと積極的に外へ出ろ」という事だ。
自身の著書でそのものずばり 「この国を出でよ」と主張した柳井正は、同じ主張をしている。
メジャーに挑戦してその後の日本人プレーヤーのメジャー挑戦に先鞭をつけた野茂も取り上げられ、「グローバル」がキーワードとして語られる。
弘兼憲史も「社長島耕作」で「シンク グローバル」と謳う。

一方で海外礼讃ばかりでなく、日本の良さも取り上げられている。
文化的な側面、活用されていない女性、ワークライフバランス。
「ジャパン アズ ナンバーワン」の著者であるエズラ・ヴォーゲルは、「日本人はチームで行動するのが上手」と語る。
「集団行動に必要な気配りと能力がある」と。
我々自身気がつかない部分も多いような気がする。

読み進めていくと、「今後日本はどうすべきか」というテーマと、「今後自分はどうすべきか」というテーマとが頭に浮かんでくる。
そんな事をあれこれと考えてみるには、良いヒントになる本かもしれない。
かなり量はあるが、読み応えのある本。
時にはこういう本を読んで、我が国の行く末を考えてみるのもいいかもしれない・・・

     
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2011年06月14日

【日本よ、永遠なれ】山谷えり子



第1章 日本が嫌いですか?
第2章 独裁は許せません
第3章 国益無視の「媚中反米」
第4章 民主党は変わってしまった!?
第5章 「教育再生」を止めてはならない
第6章 子供たちの未来のために
第7章 家族崩壊が国を滅ぼす
第8章 再び保守の確立を
第9章 愛する日本を守りたい

著者は自民党参議院議員。
サブタイトルに『止めよう、民主党政権の独裁と暴走』とある。
まあ自民党議員という立場上、こういうタイトルの本を書きたくなるのだろうと半分訝しいと思いながら手に取った本である。
書いたのは平成22年3月であるから、そこを勘案して読まねばならない。
まだ菅政権は誕生していない。

冒頭から、外国人参政権問題をはじめとして、外国(特に中国・韓国)に無防備な民主党政権をぐさりと刺す。
小沢・鳩山コンビの危うさ、マニュフェストの問題等が続く。
著者が携わったという教育再生に関する予算が、日教組の後押しを受けた民主党政権によって反故にされていると悔しさを滲ませる。
そう言えば教員免許の更新制度もうやむやになっている。

前半は批判が続くも後半は提言が出てくる。
ジェンダーフリー思想は男性だけではなく女性も不幸にするという部分は、女性議員らしい発想かもしれない。
国のあり方、個人、家族、自身の経験を踏まえての意見はなかなか傾聴に値する。
伝統的なものを大事にしようという主張は、まさに保守本流の考え方で無条件に支持したいところだ。
全体的に説得力があり、こういう議員に一票を入れたいものだと思わせられる。
議員のふだんの活動状況などが窺い知れるところも、「やっぱりちゃんと働いているのだ」と思わせられる。

しかしながら、無茶苦茶やって自滅して民主党に政権を譲ったのは他ならぬ自民党。
この方にどこまで責任があるのかはわからないが、この本に書かれている事は実践をともなうものなのだろうかと、ふと思う。
みんながみんなこんな考え方で仕事をしていたら、日本はとっくに良くなっていたはずだ。
はたしてキレイ事なのか、それとも本心だが、単身ではままならないのか。
願わくば後者であってほしいものである。


    
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2011年06月07日

【なぜ日本人は落合博満が嫌いか?】テリー伊藤


 
第1章 なぜ私は落合博満を称賛するのか?
第2章 落合の非常識革命
第3章 なぜ日本人は落合博満が嫌いなのか?
第4章 「落合力」が日本を救う
第5章 長嶋茂雄と落合博満
第6章 落合よ、永遠なれ!

好きな野球選手を3人挙げろと言われたら、個人的には長嶋、落合、野茂とするだろう。
そんな私の目に留まったタイトル。
それだけで選んだ本である。
手にとって初めて著者がテリー伊藤だと知った。
正直言ってテリー伊藤の本を読むなんて夢にも思わなかった自分。

落合とテリー伊藤という結びつきは今一イメージしにくいのだが、まあいろいろと付き合いはあるようである。
テリー伊藤自身、熱烈なジャイアンツファンで、かつ長嶋ファンだという。
さらに落合ファンという事になると、私と同じ趣向からだろうか、読み進む内容も実にフィットしてくる。

野村監督の本によれば、落合は野村監督も絶賛する野球の理論家だ。
だがほとんどマスコミの前で語らないから、そうした実情は我々には伺い知れない。
そんな落合の素顔を、テリー伊藤は語る。

落合は非常識だ。
普通は監督に就任すると、成績を意識して大補強を要請するものなのに、最初の年に「補強はしない」と宣言して、しかも1年目で優勝してしまう。
キャンプも変わっていて、全員が初日から全力で動けるように変えてしまう。
そんな凄さは、初めて知った事実だが、落合なら「さもありなん」と思える。

そして落合監督の強烈なエピソードと言えば、日本シリーズでのパーフェクト目前での投手交代。
賛否両論を巻き起こしてもどこ吹く風で動じない。
WBCに選手を派遣せず批判されたが、その事情はこの本で初めて知った。
事情を知れば、納得できる。

なぜ落合が嫌われるのか。
その理由は、やはり現役時代の契約交渉のゴタゴタだろうと個人的には思っていた。
日本人初の1億円プレーヤーなのであるが、年俸を巡っての球団とのゴタゴタはやはり印象が悪かった。
日本人はお金を口に出す人間を好まない。
黙って仕事をする姿を称賛する。
落合はそうではない。
しかしテリー伊藤の分析は別にある。
まあそれはそれで事実かもしれない。

端から端まで落合絶賛の本。
普通は知られざる落合の素顔のエピソードは、知り合いならでは。
偏見を持たずに読んでみたら、落合嫌いの人も考え方が変わるかもしれない。
あの川上哲治元巨人軍監督が、「監督として日本一の人材」と太鼓判を押しているらしい。
すっかり長期政権となった中日監督だが、やっぱりこれからも落合には注目していきたいと強く思うのである・・・

       

  
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2010年12月15日

【それでも日本人は「戦争」を選んだ】加藤陽子

かねてから日本の歴史教育には不満を持っていた。
ネアンデルタールだの縄文式土器だのを一生懸命やっていて、それがゆえに肝心な昭和近代史がきちんと講義されない。
だからおかしな歴史教育がまかり通り、国歌や国旗を愛さないというまったく信じ難い人種を作り出してしまう。
この本はそうした歴史教育の不備を補う一冊である。

著者は東大文学部で日本近現代史を教えている教授。
この本は著者が東京都の栄光学園で行った5日間の日本近現代史講義を書籍化したものである。
高校生向けの講義であるだけに、内容もわかりやすくなっている。

5日間の講義の内容は以下の通り。
1章 日清戦争
2章 日露戦争
3章 第一次世界大戦
4章 満州事変と日中戦争
5章 太平洋戦争

戦争を中心として、歴史の流れを追う形になっている。
開国から不平等条約を負わされた日本が、西洋先進諸国を追いかけそして5つの戦争とどのように関わったのか。
それぞれは当然の事ながら独立した出来事ではなく、一連の出来事である。
一連の流れがあって、それが最終的に太平洋戦争へと繋がっていく。

第一次世界大戦までは、日本も英米と歩調を合わせ、ロシアの脅威に対抗しながら大陸で基盤を作り上げていく。
絹製品しか輸出するモノのなかった資源のない国日本が、「満州は日本の生命線」と懸命に権益確保に臨んでいく。
そして中国との対立が激しくなっていく。

満州事変の調査に乗り出してきたリットン調査団の報告書も、本当はかなり対日融和的なものだったらしい。
戦争反対の動きもあったが、軍部の動きを抑えられなかった。
その軍部は、兵士の供給源となっていた農村に都合のよいスローガンを抱えて国民の支持を集め、政党は選挙を意識して目先の動きに終始する。

中国も国民党と共産党の対立を内部に抱えている。
驚いたのはそんな日本に対抗しようとして胡適という人物が唱えた戦略。
2〜3年は負け続けても徹底的に耐え、アメリカとソビエトを巻き込んで日本に対抗すべき。
まさにその通りの展開になっていくのだが、そんな主張をしていた人物がいたとは驚きである。

向かうべくして向かう結末。
昔の時代とバカにするなかれ。
選挙対策に身動きとれない政治家の姿などは、現代にも十分通じる。
「戦争は二度と起こしてはいけません」などとしたり顔で言う人たちも、ではなぜ戦争が起こったのか十分に分かっているとは言い難い。
原因がわかってこそ、有効な対策も取れる。
歴史の勉強は非常に重要である。
こうした講義が、高校生あたりを対象として行われるようになる事を望みたいと思う・・・


それでも、日本人は「戦争」を選んだ [単行本(ソフトカバー)] / 加藤陽子 (著); 朝日出版社 (刊)
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2010年09月09日

【新・ニッポン開国論】丹羽宇一朗

     
序章 リーダーの品格を問う
1章 「オンリーワン」なんて言い訳だ
2章 クルマザ、語り場を取り戻せ
3章 世界に目を開き、飛翔せよ
4章 再び日本に日は昇る

「負けてたまるか!若者のための仕事論」に続く元伊藤忠商事社長で中国大使の丹羽宇一朗氏の一冊。
実は氏は日経ビジネスにコラムを持っていて(最後のページに載っている)、その記事をまとめたのが本誌である。
歯切れよく、世の中の問題について意見を述べてくれている。

まず目についたのが、「オンリーワン」の否定だ。
ナンバーワンを目指すからこそ、鍛えられ成長するのだという。
最近は「ブルーオーシャン」など競争を避け、独自のフィールドで無競争で勝つ事を良しとするブームがある。
「レッドオーシャン」で血みどろの争いをするのは愚かだ、と。

しかしながら、商社はまさにレッドオーシャンの競争の中で生き抜かなければならない。
まさにそういう感覚で育ってきた著者ならではの見解だ。
どちらがいいという事もない。
どちらにもそれぞれもっともな言い分がある。

2章ではコミュニケーションの重要性が語られる。
これは言うまでもない。
主にリーダーとしての心得が語られている。
不祥事が発覚した時にどのような対応をとるべきか。
リーダーの本来の役目は私欲をおさえる事、辞めるのだけが責任の取り方ではない、おかしいと思う事を堂々と言える雰囲気作りが大切、そんな論旨は明確でわかりやすい。

3章では日本の現状への苦言。
現在ニュースとなって流れているような諸々を論じて行く。
著者のような立場になると様々に見えてくるこの国の矛盾というものがある。
税金の使い道(特に基金)、介護無策、超ドメスティックな政治などその主張はどれも「そうだ」と頷くものばかり。
議員と官僚を半分に、という提案には力を込めて賛同したくなる。

4章では未来への提言。
衰退は食い止められるとして、そのための方法である。
農業への期待、中流層の維持、地球規模の視点を持つ事、途上国支援。
株式による相続の無税化など株価上昇につながるもので、なるほどなアイディアである。

歯切れのよいテンポで読みやすく、視野が広がる思いがする。
立場的にいろいろな情報が入ってくるのだろうが、こういう人にはもっといろいろ発信してもらいたいものである。
中国大使としてどんな活躍をされるのか。
注目していきたいと思う。



新・ニッポン開国論

新・ニッポン開国論

  • 作者: 丹羽宇一郎
  • 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
  • 発売日: 2010/03/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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2010年07月17日

【日本の復元力】中谷巌

     
バブル崩壊以降、長い低迷を続ける日本経済。
自信を失いつつあるかのような我が国に対して、歴史的な独自性から日本の強みを訴える一冊。
タイトルの如く、「復元力」を主張する本である。

うつ病が増えたり、自殺者が急増している現状、その原因は日本人が自らのルーツを見失っている事ではないかと提言。
日本はこれまでなぜ成功したのか。
明治維新から瞬く間に世界の列強の仲間入りし、敗戦で廃墟となった中から世界第2位の経済大国に上り詰めた原動力は何なのか。

そして昨今のグローバル化と西洋的価値観の蔓延。
アメリカの大学のMBAで教える事が第一と盲信し、日本的価値観を軽視する。
国際会議で発言力が弱いとされる日本人についての批判はこれまでもよく目にし、耳にしてきた。
でも著者は「それでもいいじゃないか」と主張する。
それはそれで目新しい意見だ。

声高に主張しないのが日本であり、そこにこそ21世紀世界に対して貢献できる可能性があるのではないか、という意見には新たな発見をしたような思いがある。
日本人は華やかなパフォーマンスは得意ではなく、不言実行、正しいと思う事を地道にやり抜き、その結果を世界から評価してもらえればよいと考える民族だからだという。
「日本流の説得術」を真摯に模索すべきだと。

それも一つの考え方だ。
自動車作りにおいて、日本人はバンパーの裏側まで磨くという。
それを無駄な事と考えるのも合理的な一つの考え方だし、それが西洋合理主義だ。
しかしそうした非合理的な美意識こそが日本の強さだとも言える。
できない事を克服するよりも出来る事を磨く方がよいと言う。
日本人として、あるいは自分個人として、いろいろと考えのヒントになる本である。
それにしても、つくづく歴史は大事だと、こういう本を読むと思うのである。

    

日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること (MURC BUSINESS SERIES 特別版)

日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること (MURC BUSINESS SERIES 特別版)

  • 作者: 中谷 巌
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: 単行本



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2010年06月18日

【世界一愚かなお金持ち、日本人】マダム・ホー

     
    
著者は日本で育ち、現在は華僑と結婚してアメリカに住む投資家・通訳家だという。
100以上の不動産に投資して成功をおさめ、それを元に投資下手な日本人に向けて書かれたのが本書である。

「日本人のサラリーマンの半数以上が将来に不安を抱え、せっせと貯蓄に励んでいる。しかし世界一高い識字率を誇る教育大国の日本人が、世界一低い金利には疑問を感じず、文句ひとつ言わずに銀行にお金を預ける姿は、海外から見ると実に不思議というほかない。」
という一文が背表紙にある。
実に手厳しい。

そうした日本人に対し、私はこうして財産をつくりましたというのが本書である。
しかし、そこにはそのまま鵜呑みにできないものもある。
第一に著者は不動産投資で成功した。
その不動産投資といっても日本とアメリカでは税制、銀行のシステム等だいぶ違う。
賃借人の権利も日本では強い。
著者が日本で同じ成功を収められるかというとかなり怪しい。

それに「せっせと貯蓄に励む」と馬鹿にするが、日本の銀行は簡単に潰れるアメリカの銀行と違って信用度が高い。
「銀行に預けるよりも」と考えるアメリカとは異なり、まず「銀行に預ければ安心」という背景がある。
金利がいくら高くても、円高になれば吹っ飛ぶし、逆にマイナスにもなる。
低金利でもマイナスよりマシという考え方だってある。

国民性・社会システムの違いを一概に「おかしい」というのはいかがなものかと思わざるを得ない。
アメリカ人は不動産の評価が上がれば、ローンを借り換えて(評価額に応じて追加借入をするという意味)、差額で消費財を買う。
そんなキリギリス生活の果てがサブプライム問題で世界中の顰蹙を買った。
そんなアメリカでの成功体験を鼻高々に語られてもなぁと正直思う。

それでも「本物のお金持ちになる人の賢いお金との付き合い方」は参考になった。
1. じっと貯めてから大切に使う
2. 自分が働くのではなく、お金に働かせる
3. 「投資」と「投機」の違いを知る
4. 「投資」と「仕事」の違いを知る

また、「約束を守る」なんてところは当たり前のようだがやっぱり重要だという意見は傾聴に値する。
「信用こそがお金のなる木」というのもそうなのだろう。
批判するだけでは読んだ価値もない。
こうした部分だけは学びとしてメモしておきたいところである・・・



世界一愚かなお金持ち、日本人 (ディスカヴァー携書)

世界一愚かなお金持ち、日本人 (ディスカヴァー携書)

  • 作者: マダム・ホー
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2008/01/13
  • メディア: 新書



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