2015年12月10日

【なぜ、スーツは2着目半額のほうがお店は儲かるのか?】千賀秀信



Prologue 価格はどう決めるのか?
Part 1 戦略が変われば価格も変わる
Part 2 なぜ、スタバは値下げをしないのか?
Part 3 「買いたくなる」気持ちを誘導する価格戦略
Part 4 価格競争の裏で儲ける方法とは?
Part 5 知って得する価格設定のノウハウ

著者の肩書を見ると「計数感覚・養成コンサルタント」となっている。
このあたりは、「自分ブランディング」なのかもしれないが、一方で公認会計士でもあるようであり、会計系の本だということはタイトルからもわかる。
この手の本は、『問題です。2,000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』とか、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?不正会計編』『50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか』など、似たような本を何冊も読んでいる。
だが、もともとこういう系統の本が好きなこともあって、やはり見れば読んでみたくなる。

内容はといえば、期待通り会計系のものである。
価格はどう決まるのか、「原価志向」、「需要志向」、「競争志向」とそれぞれ価格決定のメカニズムの解説から始まる。
数字は苦手という人でも、入りやすいのではないかというイントロである。

具体的な内容となると、企業の実例が例示されていて分かりやすい。
例えば、Part1「戦略が変われば価格も変わる」では、「コンビニとまいばすけっと」、「レクサスとディスカウントストア」、「ニトリと大塚家具」などが採り上げられているが、身近な例だけにイメージしやすい。
ニトリと大塚家具など、店舗内の様子を頭に浮かべながら、経営指標を見ていくとより一層理解が深まる。

続いて採り上げられるブランド戦略は、『100円のコーラを1,000円で売る方法』でも説明されていたリッツ・カールトンのルームサービスで頼む1,000円のコーラの例そのものである。
「高級ホテルで頼む1,000円のコーヒー」、「値下げしないスタバ」、「高くても売れるフェラーリ」。
これも『100円のコーラを1,000円で売る方法』を思い出せばよくわかる。

タイトルとなっている「スーツ2着目半額」は、同時に2着購入してもらえると、2着目については固定費がほぼゼロとなることから、可能になるという説明がなされている。
多少会計がわかればこの理屈はすぐわかる。
なるほどと言われてみればその通りであり、よく考えついたものだと感心してしまう。

丸亀製麺が、安くても儲かる仕組みとして、最後におにぎりを勧めている意図が語られる。
これが利益アップの決め手となっているということであるが、具体的な数字で解説してくれているところがわかりやすい。
普段何気なく見逃しているこうした各企業の戦略を、係数を挙げて解説されているので、興味を持って理解できる。
やはり各企業ともよく考えているわけである。

こういう例を見ていくと、企業の戦略というものは、やはり数字を意識して考えないとダメなのだろうと実感する。
ヒラメキでも通じるのかもしれないが、限界利益などを念頭に考えられたものはやはり違う気がする。
頭の体操にもなるだろうし、自社の戦略を考える立場の人なら意識しておきたいところだと思う。

もともと好きなこともあるが、この手の本はやっぱりやめられない。
気がつけば似たような本ばかりかもしれないが、それでも次もまた手に取るだろうと実感させられた一冊である・・・

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2015年12月05日

【やってはいけない「実家」の相続】天野隆



第1章 住まない、売れない、分けられない、「実家」は相続するべきか?
第2章 「住まない実家」のしまい方にはコツがある
第3章 知らないと困る!相続の基礎知識
第4章 日本一相続を見てきてわかった「相続以前」に大切なこと

著者は、税理士。
相続専門の税理士法人の代表で、相続に関しては相談件数累計5,100件というから本当の「相続のプロ」である。そんな著者が、相続について語った一冊。タイトルには「やってはいけない」とあるが、実際の中身はというと、「こうすべき」というもので、まぁ出版社の方でつけたタイトルなのだろうが、ちょっと内容について誤解を生じるところがある。

はじめに、今巷で問題となっている空き家の背景が語られる。
実家の両親が亡くなって、実家が空き家となる。
子供達は皆独立してそれぞれ家を持っているから住む人がいない。
昔は同居などによって長男が後を継ぐというパターンだったが、今は時代とともに新たな傾向が出てきているのだろう。
そういう我が家も、まさにそんな典型的なパターンである。

そんな「住まない実家」だが、愛着があって売れないというパターンも多い。
売るにしても、気持ちの整理の時間として2〜3年かかるケースもある。
しかしその間にも、
➀相続税が割高になる
A家や庭のメンテナンスに手間と費用がかかる
B実家に通う交通費がかかる
C解体費がかかる
という問題が発生する。

それに対し、住まない実家は3年目までに売るのが良いとする。
居住用の特例があって、税務上お得らしい。
また、別の対策としては、
➀相続税を不動産で「物納」する
A不動産を寄付する
B親戚や隣人に贈与する
という方法もあるとする。
まぁケースによっては、有用なのだろう。

相続税制の改正により、相続税の対象となる人が増えてくる。
相続が「争族」とならないためにも、遺言証の作成やその他もろもろの基礎知識が説かれる。
相続対策としては、それぞれの家族の状況に応じていろいろあると思う。
参考になるものもあればそうでないものもあった。

例えばある家族に対して、
@ 自宅のリフォーム
A 記念館づくり
B 暦年贈与
を提案したとされていた。
確かに相続対策にはなるのだろうが、「本当にリフォームが必要なのか」3,000万円もかけた「記念館」に意味はあるのか、疑問に思うことも少なくない。

一般的に節税策の中で、「税金は少なくなるが、それ以上の支出になって現金はかえって減る」というものもある。
税金を少なくすることだけに目がいってしまって、「税金を払う方が現金は残る」ということもあり得るはずで、この辺りは税理士の限界である。
この本には、そんなことが当てはまらなくもないという部分もある。

結局のところ、「争族」を防ぐのは円満な関係に他ならず、いかに自分の欲だけでなく、相手の欲も考えられるかに尽きるのであるが、そんなヒントも記されているところが多くの相続を手がけている成果なのかもしれない。
タイトルにとらわれることなく、一つの知識として、頭の片隅に入れておいて損はない一冊である・・・

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2015年04月18日

【今すぐ妻を社長にしなさい】坂下仁



第1章 妻が社長になればすぐ裕福になれる
第2章 妻ほど社長に向いている人はいない
第3章 妻の会社がうまくいく堅実なビジネス
第4章 妻と一緒に幸せを手に入れるために

何とも刺激的なタイトルに惹かれて手に取った一冊。
中味を読まなくても、奥さんを社長にした法人を作ってビジネスをするのだろうというくらいの想像はつく。
問題は何をするか、だ。

著者の経歴を見ると、3大メガバンクの一つに勤務する現役の銀行員で、株取引で失敗して借金を抱え、仕事は何食わぬ顔でこなしながら、副業で窮地を脱したということのようである。
嫌が上にも期待が盛り上がる。

そんな期待感から読み始めたのであるが、はじめはひたすら「妻を社長にすればいかに税金を少なくできるか」がくどいくらいに解説される。
同じ事業でも、個人でやると法人でやるのとでは、税金の負担が異なり、法人の方が有利ということなのであるが、それを「妻を社長に」ということでくどくどと続く。
それがタイトルなので仕方ないと言えば、仕方ないのであるが、イライラが募る。

そもそも、いくら節税に有利と言われても、それは「稼いでこそ」の話である。
稼げなければいくら節税になると言っても意味はない。
「この人は一体何をして稼いでいるのか」という疑問がなかなか解消されない。
それに結局は「節税本」なのだから、それに徹すればいいと思う。
「お金とは他人からの感謝の気持ち」ときれいごとを並べても、「なら感謝の印として“みんなのためになる税金”を払ったら?」と言いたくなる。
やっていることは、『合法的な脱税』であり、それが悪いとは言わないが、個人的には「積極的に税金を払う人は尊敬しないといけない」と考えていることもあり、セコセコと節税に明け暮れる人間があまりきれいごとを言うなと言いたくなる。

それはそれとして、結局のところ、著者のやっていることは不動産投資だとわかる。
それを法人としてやっているだけで、大して目新しいものではない。
むしろよくある「大家さん本」の方が、いろいろとノウハウが書かれていて参考になる。
この人も、「奥さんをどうやって説得したのか」、「どういう物件を選んだのか」、「資金繰りはどうしたのか」など、個人的には興味深いところがあったので、そうした部分を書いて欲しかったと思うところである。

せっかくのノウハウがありながら、それが書かれていないということで、個人的には非常に残念に思う。
まぁ、タイトルにあるように、「同じことでも視点を変えることによって差別化できる」という意味では参考になったと言える。
それ以外には、得るもののない空疎な一冊である・・・
   
     
   
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2015年01月15日

【問題です。2,000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい】山田真哉



1日目 平社員会計学
2日目 数字力
3日目 社長会計学
4日目 パーソナル・ファイナンス

著者は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』以来注目し、以後『食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字』『経営者平清盛の失敗』などを読んできた公認会計士の方。
もともと私自身金融の世界にいたため、やはり「会計系」の本には目が行ってしまう。
そんな著者のまた別の本。
やはりタイトルに惹かれてしまう。

とは言え、中味は身近なテーマを会計の観点から優しくわかりやすく解説したもの。
プロにとっては目新しいものではないが、ではこうして素人向けに優しく面白く本が書けるかとなれば、プロでも簡単にはいかないだろう。
そこが著者の持ち味なのかもしれない。

内容は、著者が行っている超初心者向けの会計に関する講演なのだという。
それを4日分として一冊の本にしたのが本書であるとのこと。
始めに不思議な焼肉店の話が出てくる。
どう見ても流行っていそうもないさびれた店で、聞けば昔からの馴染み客が来る時だけ営業しているという。
そんな店がどうしてやっていけるのか。
そこに隠されている“会計的に非常に収益性の高い仕組み”が解説される。

2日目は平社員会計学(何でこのネーミングなのかはわからない)と称し、機会損失・埋没費用が、「豆大福問題」として解説される。
機会損失というと固い表現であるが、床に落として売れなくなってしまった豆大福の損失額は売値の100円か原価の30円かその差額である利益の70円かと問う事により、説明されるが、こうした優しいたとえゆえに、素人でもわかりやすく理解できるようになっている。

タイトルにある「2,000円の弁当を3秒で安い!と思わせ」る方法は、アンカリング効果として説明される。
隣に3,000円、4,000円の弁当があれば、2,000円でも安いと思わせられる。
これはむしろ心理的なものだと思うが、「人は得より損をした記憶の方が2倍強く残る」(プロスペクト理論)なども合わせて採り上げられる。

最後に「パーソナル・ファイナンス」として、個人のファイナンシャル・プランが説明される。
個人的には「分かっているよ」と言いたいところであったが、一番お金を貯められるのが、就職してから子供が10歳になるまでの“ゴールデンタイム”という指摘は、分かっていても「痛い指摘」である。
社会人になって以降の45年を3期に分ける考え方は、なるほどわかりやすい。

各章の終わりには、楽しい4コマ漫画も付いていて、「これでもか!」というほど会計超初心者向けになっている。
だからプロは読まなくてもいいかと言うと、なら「こういう本が書けるか」と自問しながら読むと勉強になると思う。
素人向けに優しく解説するためには、より深い理解と思考力がいると思う。

毎度の事ながら、この方の著作は勉強になると改めて思う一冊である・・・

   
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2014年10月23日

【餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?不正会計編】林總



CHAPTER 1 ようこそ「虎の穴コンサルティング」へ
CHAPTER 2 一流ワインコンサルタントになりたければワインのテイスティングを学べ
CHAPTER 3 美人社員はなぜ働き者なのか?
CHAPTER 4 行列ができるスイーツ店は、本当に儲かっているのか?
CHAPTER 5 「数字のマジシャン」のトリックを暴け
CHAPTER 6 シャブリとシャルドネは別物か?
CHAPTER 7 在庫管理にコンピュータはいらない?
CHAPTER 8 新生バイオ社の化けの皮をはがせ!

著者は、以前『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか』を読んだ事がある公認会計士の方。
本業の傍らで、こうした執筆活動をするというのも凄いものだと思ってしまう。
本作は、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』と同じタイトルだが、『不正会計編』とついている。
金融業界に身を置いていた人間としては、自然と興味が湧いてくる。

中味は、と言えば例によって物語形式で進む。
主人公は、ニューヨークコンサルティング社に入社した菅平ヒカリ。
『50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか』では大学3年生であったが、晴れて就職したようである。
エリートコンサルタントを夢見ていたヒカリだが、入社早々タイガーコンサルティング社に出向を命じられる。

同社は同じように出向になったコンサルタントが、次々に辞めている事から「虎の穴」との異名を取っている。
どうやらタイガーコンサルティングは、ニューヨークコンサルティングが受け切れない“危ない仕事”を受けているらしいことがわかってくる。
「辞めるべきか」と思うヒカリだが、恩師である安曇のアドバイスもあり、頑張る事にする。

安曇は、毎回ワインを奢る事を条件にヒカリに協力することにする。
そしてワインのテイスティングにたとえ、コンサルティングの3つのステップを教える。
1 目的と成果物の明確化
2 (ステップ1)外観・・・決算書分析(財務分析)
3 (ステップ2)香り・・・担当者への質問
4 (ステップ3)味わい・・・現地調査による事実の収集
5 結論

最初の仕事は、高級不動産の仲介と分譲を営む財前不動産。
ここ数年売上は右肩上がりだが、どういうわけか赤字で、しかもそれが年々増えているという。
その原因を見つけて対応するというのが、ヒカリに与えられたミッション。
ヒカリは安曇にアドバイスを受けながら、現場に密着し美人社員の不正を暴く。

一つのケースのあとには著者の解説がつく。
「多過ぎる費用はそこに作為があるかもしれない」という具合である。
ヒカリの物語を楽しみつつ、そこから得られる学びをまとめるというパターンは、門外漢には取っつきやすさがあるかもしれない。
内容も初歩的であり、むしろ素人向けと言える。

こうしてヒカリは、「営業利益50%、ROE50%」の“優良企業”、「数字のマジシャン」の異名を取る辣腕経理部長のいる半導体製造メーカー、連結決算会社、在庫管理に問題を抱えた会社などの現場をこなしていく。
そうした各現場を通じ、読み手にも学びが得られるようになっている。

今回は、「不正会計」に焦点を当てたものであるが、1つの着眼点としては面白かったと思う。
特に製造委託会社に原料を置いて販売して加工品を仕入れるケースなどは、決算書だけ見ていても問題点はわからない。
良い悪いではなく、実態をきちんと把握しなければ解決できない例である。
金融に詳しい人はそれなりに、詳しくない人はヒカリの物語として楽しめるかもしれない。

この方の著作は手軽に楽しめて学べるところがあり、これからも注目していきたいと思う・・・

   
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2014年03月15日

【年収1000万円の貧乏人年収300万円のお金持ち】伊藤邦生



Chapter 1 いつまでも豊かになれないサラリーマン、ますます豊かになる資産家
Chapter 2 労働者のお金の流れ、資産家のお金の流れ
Chapter 3 貧乏人のお金の減らし方、お金持ちのお金の増やし方
Chapter 4 働きアリで終わる人、ゴールドスワンとして羽ばたく人
Chapter 5 落とし穴にハマる貧乏人、確実に儲けるお金持ち
Chapter 6 お金持ちと貧乏人を分ける5つの資質

本書は、かつて大手証券会社でトレーダーとして勤務していて、その後不動産投資で独立した著者が指南する投資家への転身指南書。
「年収1000万円の貧乏人」は何となくイメージできるが、イメージしにくかったのが、「年収300万円のお金持ち」。
しかし、要は「年収300万円でも堅実にお金を貯める人は不動産投資によって豊かになれる」という事。
不動産投資サービス会社を運営する著者を考えると、“我田引水”的な匂いが漂う本である。

著者の主張は間違っているとは思わないが、考え方の相違は随所に見られる。
サラリーマンの生涯年収3億円のうち、半分が「生活費と子供の養育費」に消えていき、残りは「税・社会保障」「家」「金利・保険」に消えていく。
つまり、「公務員」と「建設会社」と「銀行員・保険マン」を食べさせるために働いていると言えるという。
だが、そうやって“持ちつ持たれつ”なのがこの世の中だ。

だから「家は買わない」と主張するが、一生家賃を払い続けて何も残らないより、同じ金額のローンを30年払って誰にも追い出される心配のない家を手に入れる事は比較できないと個人的には思う。
それに結局、著者流に言うならば、賃貸に住む事は「大家さんを食べさせるために一生働く」事に他ならないと思う。
結局、誰かを儲けさせるわけだし、それなら建設会社や銀行を儲けさせたとしても、老人になってもなお家賃の心配をしなくて済む方がマシだと思ってしまう。

年収1000万円の人が貧乏になるのは、「収入が多いがゆえに散財してしまう」という事らしい。
それに対し、年収300万円の人は堅実に貯えるから、それを投資に向けられるという。
そして不動産投資について語る。
その部分になると、さすが専門家だけに同意できる説明が多くなる。

最初は小さな投資から始める(0を一つ増やせばいい)
不動産投資はセンミツの世界(優良物件は少ない)
好条件の投資物件はゴールドスワン(=優良投資家)に優先的に回ってくる(広く出回っている物件に優良物件などない)
フルローンで買うのであれば、最低でも利回り15%くらいないと収支は回らない(これがわからない人は不動産投資など考えない方がよい)
買った瞬間に損をする新築物件(建設会社の利益が物件には上乗せされている)
などなどの指摘は、いちいちごもっともである。

最後に「お金を稼ぎ続けるために大事な事」が語られる。
1 優位性
2 規律
3 忍耐
4 リスク管理
5 覚悟
それぞれ納得の内容。

要は安易に勧誘の話に乗って、わかったような気になって一端の投資家気分で投資しても儲かる事は、けっしてないという事。
どこにどんなリスクがあって、それをどうするかわかっていて、それなりの覚悟があって初めてうまくいく可能性がある。
素人なら(少なくとも仕事などでわかっているという人以外は素人だ)専門家にアドバイスしてもらう他はない。
専門家とは、そこらの不動産を紹介するだけの不動産屋ではない。
結局、著者のような専門家に頼るのが一番という事だろう。

前半は今一の内容だが、後半部分はそれなりに内容のあるものだと言える。
タイトルはともかく、投資を考える時には一読しておく価値ある一冊だと思う。

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2012年11月25日

【50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか】林總



Prologue ファミレス戦争勃発!?
Part 1 ヒカリのクラークシップはじまる
Part 2 決算書はトップシークレット
Part 3 女性はなぜ、高価なトリュフを買うのか?
Part 4 アクションプランはノウハウの固まりだった
Part 5 決算書だけでは、真実はわからない
Part 6 お客様の声は天の声
Part 7 キッチンには宝が埋まっている
Part 8 50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?
Part 9 逆転の発想がロミーズを救う
Part 10 千の端店に奇跡が起きた!
Epilogue 最後のレクチャー

会計の話を物語風にして展開させるストーリーは、もはやかなりのものがある。
この本もタイトルすばり、そのものである。
著者の本は過去にも『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』や、『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!』などを読んでおり、どちらも面白かった事もあって、この本も迷わず手に取った次第である。

物語の舞台はあるファミレスチェーン。
主人公の菅平ヒカリは経営大学3年。
安曇ゼミを専攻しており、そのゼミで名物の「クラークシップ」と呼ばれる研修で、ファミレスのロミーズに派遣される。

そして千の端店に配属されるが、そこは赤字店舗。
アルバイトのウェイトレスとして働きはじめるヒカリだが、始めはどうしても馴染めない。
安曇教授との定期的な面談でも不満をこぼす。
しかし、赤字の立て直しに苦戦している店長から、経営改善のリーダーに任命された事から見方が変わってくる。

売上と費用と利益。
決算書の数字には表れない顧客の気持ち。
すぐ近隣にライバル店の出店計画が発表され、千の端店も閉店の崖っぷちに追いつめられる。

赤字の仕組みと原因を探りながら、黒字化していく過程が面白おかしく描かれていて、ついつい引き込まれていく。
経営改善ストーリーという点では、 「V字回復の経営」も同じなのであるが、面白さという点では格段の差がある。
それは上から目線的な見方と、下から這い上がって行く見方の違いなのかもしれない。

単なる物語としても、会計的な見方でもともに面白い。
この著者のこの手のシリーズは、読んで損はないだろうと改めて思わせられる一冊である・・・

    
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2012年09月11日

【半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かるのか】柴山政行



第1章 不況でもリストラせずに儲かる会社は何が違うのか
第2章 客より店員が多いデパートや、半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かるのか
第3章 不況でも、ブランド店や化粧品会社が倒産しないわけ
第4章 書店や出版社、マンガ喫茶はどうやって儲けているのか
第5章 プロ野球選手の年俸は、なぜあんなに高いのか
第6章 Jリーグ選手や力士は給料をいくらもらっているのか

サブタイトルに「お金は裏でこう動く」とあるが、一見わかりにくい経済の仕組みを面白おかしく解説した本である。
そう言えば、過去にも『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 』(光文社新書)とか、 『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字 』(光文社新書)などの本があったが、これもその類の本である。
著者もやはり会計士だし、それらしいと言えばそれらしいのだろう。

第1章は不況でも儲かる会社として、日本電産を取り上げている。
さすがに著者が会計士とあって、始めは手堅く企業の話から入っているのだろうか。
第2章では、いよいよタイトルにある「半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かる」のか、そのカラクリを解いていく。
この手の話もあちこちで読んでいると、モノは変われども新鮮味という意味では薄れてくる。
「二匹目のどじょう」と言った印象がぬぐえない。

しかしながら、二匹目でも変わったどじょうであれば面白いのもまた事実。
プロ野球選手で、「打率3割と2割5分の差は、年間でヒット25本で、年収は5,000万円」というのは面白い事実だし、東北楽天が97敗しても球団経営は黒字だったというところもまた興味深い。
身近なところでデータを集めてみたら、こうした話はいくらでもあるような気がする。
まぁトレビア系の話が好きな人には、面白い本かもしれない。

経済は苦手という意識の人がいたら、こういう本を読んで苦手意識を和らげてみるというのは面白いかもしれない。
むしろ、そうした人にはお勧めできる本なのだろうと思うのである・・・

       
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2012年03月09日

【経営者平清盛の失敗】山田真哉


     
第1章 教科書にはない日宋貿易の真相
第2章 日本経済史最大のミステリー、「宋銭」普及の謎
第3章 平家滅亡の真犯人、そして清盛の「失敗」
第4章 経営者・平清盛

著者は公認会計士・税理士で「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著作もある人。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」はかつて読んだ事もあるが、なかなか人が目をつけないようなところに目をつけ、会計士らしい着眼点での説明を面白く読んだ記憶がある。
そんな著者が今度は平清盛だという。

平清盛と言えば、今NHKの大河ドラマでやっていて、世の中ではちょっとしたブームになっている。
大河ドラマに取り上げられると、こぞってブームにあやかろうとあちこちで取り上げられる。
天の邪鬼な私はそういうものにはそっぽを向きたくなる。
この本もそんな「ブームあやかり本」かと思っていたが、なかなかどうして、中味はかなりしっかりした歴史検証本である。

冒頭で平清盛を「海と船が好き」で、「旧弊に囚われない合理性、いち早く海外に目を向ける先進性、抜群の行動力」を持っていた人物で、歴史上の人物では坂本龍馬に最も近いと断言する。
何やらイメージが違うが、これは「歴史は勝者によって書かれる」という事から来ているという。
歴史は源平合戦の勝者、源氏によって書かれている。
頷けるところである。
こういう主張は 「逆説の日本史」シリーズに相通じるところがある。
歴史好きなら一気に引き込まれるところだろう。

当時の時代背景として、抜きにできなのが、日宋貿易。
中国は宋の時代。
そして清盛の父忠盛はこの日宋貿易で巨万の富を得る。
清盛はさらに日本初の人工島を作り、瀬戸内海ルートを整備して貿易革命をもたらす。
そんな話は初めて知るところであり、興味深い。

国内の通貨が普及しなかったのに、なぜ外国の通貨である宋銭が貨幣として爆発的に流通したのか。
それも一文銭に限ってのもので、本場中国で普及していた2文、10文といった大銭は普及しなかったのはなぜか。
著者は学説を紹介しながらも、自説を展開する。

「宋銭は仏具をつくるための鋼材として既に国内に広まっており、銅自体の価値が高かった事から、宋銭がスムーズに貨幣として信認された」と言うのがその説であるが、さまざまな検証を経ての結論は納得性が高い。
この人、本当に会計士なのだろうかと疑ってしまう。

宋銭の普及と「銭の病」と称される混乱。
世界的な寒冷期による飢饉の発生。
その結果としてのハイパーインフレが、宋銭に財を頼っていた平家の財務基盤を直撃。
常備軍を持たなかった当時、財務の脆弱化は兵士を雇えないという事態につながる。
こうした背景の下、源平合戦が始る。

当時の社会常識からするとかなり異端だった平清盛。
歴史に「もしも」はないのだが、その治世が続いていたら、と考えてしまう。
「逆説の日本史」でも語られなかった空白を、この本が見事に埋めてくれている。
これからこの著者は、「歴史学者」と名刺に加えても良いと思う。
歴史好きなら、読んでおきたい一冊である・・・



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2010年02月22日

【クルマは家電量販店で買え!】吉本佳生

著者は経済学者。
しかしながら小難しい理論を振り回すのではなく、素人でもわかりやすく噛み砕いて身の回りの現象を解説してくれる本を書いている人物である。
これはそんな前書『スタバではグランデを買え!』の続編である。

今回のタイトルも印象的である。
なんだか「プリウスはヤマダ電機で買え」っていう事なんだろうか、と思ってしまう。
しかし、サブタイトルに「価格と生活の経済学」とあるように、この本も身の回りの事象を経済学的にやさしく解説してくれる。
クルマもそんな例として語られる。

第1章ではそのクルマについてである。
「クルマとプリンターとPB商品、価格の決まり方はどうちがうのか?」
軽自動車は税金が安い、取引コストが価格差を生む、売れれば売れるほど安くなる工業製品、高く売れる客には高く、安くないと買わない客には安くの秘密・・・
読み進むほどにふむふむと思ってしまう。
自分ではよくわかっているつもりだが、では自分にこんな解説はできるだろうかと自問してみると難しい。

以下タイトルだけ追っていくと、
第2章「高級レストランの格安ランチが、十分に美味しいのはなぜか?」
第3章「パチンコや金取引で必ず儲ける方法は、ときに本当に存在する?」
第4章「ライバル企業が、互いに不幸になる競争を止められないのはなぜか?」
第5章「大学の授業料は、これからも上昇を続けるのだろうか?」
第6章「地球温暖化対策に、高すぎる価格がつけられようとしている?」
となるが、タイトルだけ読んでも十分面白そうに思えてくる。

経済というのは本当に不思議な気がする。
アダム・スミスの言った「神の見えざる手」は本当にあるようだ。
普段あまりこういう事を突き詰めて考えてみる事はないが、こんな事をあれこれ考えてみるのも楽しくて為になるだろう・・・



クルマは家電量販店で買え!―価格と生活の経済学

クルマは家電量販店で買え!―価格と生活の経済学

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2008/11/08
  • メディア: 単行本



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