2016年11月17日

【USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?-V字回復をもたらしたヒットの法則】森岡毅 読書日記728



プロローグ 私は奇跡という言葉が好きではありません
第1章 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
第2章 金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ!
第3章 万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある
第4章 ターゲットを疑え!取りこぼしていた大きな客層
第5章 アイデアは必ずどこかに埋まっている
第6章 アイデアの神様を呼ぶ方法
第7章 新たな挑戦を恐れるな!ハリー・ポッターとUSJの未来
エピローグ ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?

 著者は、ユニバーサル・ジャパンのCMO。以前、『USJを劇的に変えた、たった一つの考え方』を読んでこの本の存在を知り、読んでみたくなって手に取った次第。この手の企業改革系の話は、個人的に大好きなのである。

 著者が転職してきた時、USJは一時1,100万人を集客していたのが700〜800万人に落ち込んでいたという。その理由を社内で聞いてみると、開業翌年に起こったいくつかの不祥事の影響だという。直感的に「違う」と判断した著者は、データを分析し、パーク内をくまなく歩き回り考える。そして方向性を間違えたこだわりを正し、限られた経営資源を消費者価値の向上に正しくシフトさせることにする。そして三段ロケット構想を立てる。

 三段ロケット構想とは、一段目でファミリー層を取り込み、二段目で関西依存の集客構造から脱却し、三段目で蓄えた会社のノウハウを複数展開するというもの。そして著者の苦闘が始まる。まず、「映画だけのテーマパーク」からの脱却を図る。社内には反対の声が渦巻いたらしいが、著者は「世界最高のエンターテイメントを集めた『セレクトショップ』」というコンセプトを推し進める。

 と言っても、とにかくお金がない。アイデアをひねりだし、フラッシュ・バンド・ビートというストリートパフォーマンスを取り入れ、ひっそりとやっていた「ONE PIECE」のショーにスポットライトを当て、とやり始める。しかし、震災による自粛ムードが出端を折る。普通なら「仕方がない」と諦めるかもしれないが、著者は考え抜き、大阪の橋下知事の言葉にヒントを得てキッズフリーを打ち出す。これが功を奏し、GWには客足が戻る。

 さらにお金のかからない「ハロウィーン・ホラー・ナイト」、続くクリスマスには「世界一の光のツリー」で集客をV字回復させる。さらにモンスター・ハンターを導入するが、これは自身でプレイしていたことがヒントになっていたという。著者は、「マーケティングをやる人間はなんでも自分自身でやってみることを習慣にすべき」と語るが、こういう「実践」が大事なのであろう。

・目的が正しいと判断したのなら、できない理由をあれこれ考えて目的自体を無理だと嘆くことに時間を使わない
・日本人は何でも自分でゼロから始めようとする悪い癖があるが、もっと外に目を向けて積極的にアイデアを盗みに行った方が良い
・答えは必ず現場にある
・絶対に我慢ならなかったのは、挑戦する前に、実際に全力を尽くす前に諦めること
要所要所で語られる言葉には説得力がある。

 タイトルにもなったハリウッド・ドリーム・ザ・ライドを後ろ向きに走らせるアイデアも、考えに考えていたら夜中の2:34に思い浮かんだという。ここまで考え続けろということなのだろう。普通はお客さんを勝たせるものだが、バイオ・ハザード・ザ・リアルはお客さんの生存率が極めて低いのだとか。これも自身のプレイ経験をヒントにしている。

 満を持して投入して大成功している「The Wizarding World of Harry Potter」であるが、最初はオーランドに出来た施設に対し、立派だが金をかけ過ぎてビジネス的に失敗するのではという空気の中で、一人導入を主張したという。渋る社長を数学的分析を交え熱い議論を交わし、説得して行ったという。単なるモノマネではなかったようである。

 「中小企業が生き残るには勝ち続けるしかない」(USJが中小企業だったらそれ以下の会社はどうなるんだと言いたいが)と著者は語るが、そのための著者の奮闘は並大抵ではない。ここまでやったからこその成功なのだろうし、ここまでやらなければダメなのであろう。お金がないからとか、人材がいないからとか、とかく中小企業は言い訳をして納得しがちである。だが、それではいけないと改めて思わされる。

 自分に何ができるか、そして夜中に夢見るほど悩んで考えているだろうか。自問自答してみたい。著者に負けないように自分も頑張ってみたいと思わせられる一冊である・・・

   
posted by HH at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月10日

【USJを劇的に変えた、たった一つの考え方】森岡毅 読書日記705



第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり
第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない
第3章 マーケティングの本質とは何か?
第4章 「戦略」を学ぼう
第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう
第6章 マーケティングが日本を救う!
第7章 私はどうやってマーケターになったのか?
第8章 マーケターに向いている人、いない人
第9章 キャリアはどうやって作るのか?

著者は、USJのCMOを務める人物。USJには行ったことがないのでわからないのであるが、USJは開業以降業績が低迷していたが、様々な施策が奏効しここ数年は爆発的な成功を収めているのだとか。なんとなく『ハリー・ポッター』が話題になっていたことくらいしか知らなかったのであるが、どうやらその業績回復の立役者となった方のようである。

そんなUSJの変化のあれこれがわかるのかと思って手に取ったこの本であるが、内容はマーケティングである。マーケティングこそビジネスを成功させるための方法論であり、マーケターでない人が読んでもわかる本を、ビジネスで成功したいすべての人に向けてわかりやすく書いたものであるという。本書の目的は、「マーケティング思考」を伝えることと著者が体得してきた「キャリアアップの秘訣」を伝えることとされている。

著者はもともとP&Gで実践を通じてマーケティングを身につけ、USJに転職。まず最初に集客低迷の原因を多くの幹部に確認したところ、過去の不祥事や映画のテーマパークとしての軸がずれたことなどが挙げられたという。直感的に違うと感じた著者は、USJを「消費者視点」の会社に変えていく。

「ゲストが喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致せず、自然と離れていくものだという。まず著者の所属するマーケティング部が、エンターテイメント部や技術部が製作するアトラクションやイベントにダメ出しする権限をもらったという。何事も民主的なのが一番ではなく、何かを決めて動かしていくには、そうした権限があってこそであると思う。

書かれてはいないが、当然衝突もあっただろう。だが、「自分起点で周囲を説得し人を動かすことが重要」だと語る。確かにその通り。「人というものは、できるだけ他人との衝突を回避したがる性質を持ち、その結果皆の意見という利害を足し合わせて頭数で割ったような妥協案を求めがち」になるのは道理。このあたりは、「外資系」育ちの良さが出ているのかもしれない。

そうした妥協のせいかもしれないが、日本企業ではマーケティングが発達せず、技術志向に陥り、費用対効果の検証がなされない巨額広告がされたりしているという。それも日本企業の規制や終身雇用、年功序列が原因だとする。マーケティングとは「売る」より「売れるようにする」ことだとするが、本質は「売れる仕組みを作ること」という意見は、改めて重要だと気付かされる。

「消費者を大きく落胆させる商品ならば世の中に出さないほうがマシ」という考え方も、当たり前のようであるが大事なことなのだろう。USJは転売されたチケットは利用させないらしいが、一部の者が大量に買い占めて転売益を得ることを排除しているというが、聞けばそれはかなり困難を伴うことのようで、そうした取り組みも盛況を支えているのだろう。

戦略とは「目的を達成するために資源を配分する選択」としているが、たとえとして、上司から10球飛んできたとしたら、そのうち最も重要な3球を選んで打つようにしているという著者の話は参考になる。ついついすべて打ち返そうとしがちだが、それは無意味に資源を分散させているだけで、結局どの球もそこそこしか打てないで終わるというのは、確かに言えることだろう。

戦略の大きなミスは戦術ではリカバリーできず、従って企業にとって「どう戦うか」という戦術よりも「どこで戦うか」という戦略が何よりも重要とする。日本の企業は、そもそも「戦略がない」ことが多いというが、我が社のような中小企業であっても意識したいことだと思う。最後にキャリアアップについて語られる。

マーケターは「マーケティングのスペシャリスト」であり、「ビジネスのゼネラリスト」だという。これはなかなか示唆に富んでいる。今から「マーケター」になろうと思ってもなれるものではないかもしれないが、意識したいところである。そんなマーケターに向いているのは、
・リーダーシップの強い人
・考える力(戦略的思考の素養)が強い人
・EQの高い人
・精神的にタフな人
だという。自分にも一部適性はあるかもしれない。

 当初思っていたのとは異なる内容だったものの、内容は大変参考になるもの。できる限り応用してみたいと思わされる。USJの回復については、別の著書で語っているらしいので、次はそちらを読んでみたいと思う。持って他山の石としたい一冊である・・・


posted by HH at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月29日

【ハーバードでいちばん人気の国・日本−なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか−】佐藤智恵 読書日記678



序 章 なぜハーバードはいま日本に学ぶのか 
第1章 オペレーション-世界が絶賛した奇跡のマネジメント
第2章 歴史-最古の国に金融と企業の本質を学ぶ
第3章 政治・経済-「東洋の奇跡」はなぜ起きたのか
第4章 戦略・マーケティング-日本を代表する製造業からIT企業まで
第5章 リーダーシップ-日本人リーダーのすごさに世界が驚いた
終 章  日本人が気づかない「日本の強み」を自覚せよ

著者は、元NHKのディレクターで、現在は作家兼コンサルタントで、テレビのコメンテーターもされている方のようである。そんな著者が、ハーバード大学の経営大学院で、日本に関連したテーマが多数採り上げられていることを紹介した一冊である。近年、「世界から見たら日本はこんなに素晴らしい」といった類の本がたくさん出ているが、ちょっと匂いの違いを感じて手に取った次第である。

著者は、ハーバードで取材をしていて、日本が世界に大きな影響を与えてきた国であることを実感したという。世界初の先物取引は日本で発生し、戦後の経済成長は新興国の希望となっている。日本のオペレーションシステムは、世界の人々の道徳規範となっている。そしてハーバードでは、毎年研修旅行があり、その行く先としてインド、イスラエル、イタリアなど10カ国の中で、一番人気なのだという。わずか数分で定員の100名が埋まってしまうというから、まんざら大げさでもないようである。

では、どんなケースが教えられているかというと、
トヨタ自動車(テクノロジーとオペレーションマネジメント)、楽天(リーダーシップと組織行動)、全日空(マーケティング)、本田技研工業(経営戦略)、日本航空(ファイナンス)などである。変わったところでは、アベノミクスも対象となっているらしい。著者が強調するには、「重要なのはいま教えられているか」だという。講座の数ではどうやら他の国でももっと多いところがありそうなのであるが、学生にとって「忘れられない事例」、「私の人生に影響を与えた事例」とされる「質」の部分で特徴的だという。(「量より質」ということらしい)

最初に「新幹線お掃除劇場」としてテッセイが紹介されているが、個人的にも『新幹線お掃除の天使たち』を読んでいるから、すぐに様子が頭に浮かぶ。日本企業で最も売れた教材は、本田技研工業で、アメリカでバイクを売っていった様子が評価されている。また、ANAはグローバル戦略が評価されている。これらは、企業の知名度ではなく、どんな課題に直面しているかに注目されてのことだという。さすがにMBAである。

日本企業の最近のヒットは楽天の社内英語公用語化だというが、何より講座のテーマが多岐にわたっていることに驚かされる。企業以外でも「トルーマンと原爆投下の是非」「福島第二原発の危機を救ったチーム増田」などが採り上げられている。福島第二原発が、実は爆発した第一原発と同様かなり危険な状態だったらしいとは、改めて知ったが、何でもテーマにしてしまうところがやはり素晴らしいと感じる。

そんな中で、日本のテーマは、
1. グローバル化
2. イノベーションの創出
3. 若者と女性の活用
だとするが、なるほどと思わせられる。

何年も同じノートを使う大学の授業の例の話をよく耳にするが、さすが世界の最先端は、何にでも学ぼうとしていて、しかもそのテーマが常時アップデートされている。こういうところで日々切磋琢磨するから、素晴らしい人材を輩出するのであろう。そこで学ぶ学生たちがつくづく羨ましいと思う。

「日本が採り上げられている」のも誇らしい気がするが、かの地の学問のスタンスこそが素晴らしいと感じさせてくれる。今からハーバードで学ぶことは叶わないが、テーマとして採り上げられるようにはなれるかもしれない。そんな夢を見ながら、仕事に邁進したいと思わせられる一冊である・・・

   
   
posted by HH at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月04日

【電車をデザインする仕事】水戸岡鋭 読書日記667



第1章 総合的で創造的なデザインをめざす
第2章 デザインの基本、デザイナーの原点
第3章 日本の良さを活かすデザイン
第4章 鉄道デザインの裏側
第5章 公共デザインの裏側

著者は本のタイトルでもわかる通りデザイナー。デザイナーと言っても得意分野はいろいろあるが、著者の場合は鉄道を中心とした「公共デザイン」のようである。もともとその道を目指したのか、それともいろいろとこなしているうちに鉄道のデザインへとたどり着いたのかは定かではない。おそらくこの分野では「第一人者」であろう著者が、デザインについて語った一冊である。

「デザイン」は最近様々な分野で注目を浴びている。そんな注目のキーワードなのであるが、著者は「人が生きるということはデザイン作業に似ている」と語る。「一人一人がデザイナーになり、自分の環境をデザインしていき、最も可能性を持った最も難しいデザイン、そして何より最も面白いデザインをしていくべき」だという。言い得て妙だと思う。

「デザイナーとアーティストの違い」という意見は面白い。そんなこと考えてもみなかったが、「アーティストは一人の作品」、「デザイナーはみんなの作品」ということらしい。それは著者も後半で現場の職人さんとの関係について語っているが、デザインを仕上げていく過程では様々な人たちとの連携が必要になるということである。

デザイナーは好き嫌いを言わないのが良いとする。好き嫌いがあると多様性が失われ、心や視野が狭くなるそうで、好き嫌いを捨てて挑戦することで、「デザインのボキャブラリーが増えて行く」とする。これはデザインのみならず、広く応用ができる考え方であるように思う。

デザイナーの仕事における重要な3つの要素は、「予算」、「スケジュール」、「技術」だそうで、これもアーティストとの違いを浮き上がらせる要素である。この3つを円滑に進めていくためにも必要なことは、「比較しない」、「不都合を受け入れる」、「対立構造を作らない」ことだという。特に「デザインというのは不都合の連続」という言葉が印象的。なんとなくデザイナーは独善的なイメージがあったが、やはり「アーティストと違う」という意味がよくわかる。

そんな不都合の連続でも、相手の要望を受け入れながら、自分の得意分野に少しでも持ち込むことが大事だという。自分の持ち味や得意技を50%以上の形で展開できる仕事をするというのが著者の信条で、これを「51対49のデザイン法則」としている。
デザインとは、
「アイデアを出す」→「その実現がコスト的に可能か」→「無理ならどうすれば実現可能かを考える」というプロセスだとするが、こうして「みんなの作品」になるのであろう。

著者の言葉では、
「米仕事」=企業人としての稼ぎ仕事
「花仕事」=社会人としての勤め仕事
という二つが印象的であった。何事も「米仕事」だけではダメだし、「花仕事」もできるようにしたいものである。

著者は、こんな考え方を持ち、JR九州を中心に活躍。タイトルにある「ななつ星in九州」のほか、「800系新幹線つばめ」、「787系特急つばめ」、「883系特急ソニック」「72系気動車ゆふいんの森(三世)」などの列車のデザインを手がけ、他にも「高速船ビートル」、「JR九州熊本駅」、「商業施設クイーンズスクウェア横浜」など多数手がけているらしい。東京から遠く、なかなかその「作品」に乗ることはできないが、乗り歩いてみたくなったのは事実である。

自分にはデザイナーの才能はないが、デザイナーの考え方は参考にさせてもらいたいと思える一冊である・・・


posted by HH at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月28日

【BOLD突き抜ける力−超ド級の成長と富を手に入れ、世界を変える方法−】ピーター・H.ディアマンディス/スティーヴン・コトラー 読書日記661



原題:BOLD/HOW TO GO BIG,CREATE WEALTH,AND IMPACT THE WORLD
第1章 さらばリニア思考
第2章 エクスポネンシャル・テクノロジー
第3章 世界を変える五つの選択肢
第4章 高みを目指す
第5章 突き抜ける秘訣
第6章 大富豪の知恵
第7章 クラウドソーシング
第8章 クラウドファンディング
第9章 コミュニティーをつくる
第10章 賞金付きコンテスト

著者は米シンギュラリティ大学の創立者であり、今はXプライズ財団のCEOであり、2014年のフォーチュン誌「世界の偉大なリーダー50人」に選ばれたという人物と、ジャーナリストのコンビである。そんなコンビが、「超ド級の成長と富を手に入れ、世界を変える方法」について語った一冊である。

そんな世界を変える方法は大きく分けて3つ。
1. テクノロジー
2. マインドセット(モノの考え方)
3. クラウドの力
である。

テクノロジーについては、「エクスポネンシャル(指数関数的)・テクノロジー」と称される。これは、少しずつ順を追って進化していく(本の中では「リニア思考」と呼ばれているものであろう)ものではなく、飛躍的に進化するそれという意味のようである。例として、写真技術を確立したコダックの例が語られる。コダックは写真技術を進化させ、一時代を築いたものの、デジタル技術を開発しながらこれをボツとし、結果としてデジタル技術の急速の進化についていけず破綻した。

今日のスマホには、世の中に出た時には現在の貨幣価値で90万ドル相当の技術(GPS、カメラ、音楽プレーヤー、百科事典等々)が普通に搭載されている。3Dプリンティングの進化もすごく、今や「メイドインスペース」の時代を迎えつつあり、世界初の地球外3Dプリンティング会社であるメイドインスペース社が設立されている。これは重力の軛から解き放たれ、製造の概念を変える可能性を秘めている。

そんな「エクスポネンシャル」な技術には、以下の分野がある。
1. ネットワークとセンサー
2. 無限コンピューティング
3. 人工知能
4. ロボティクス
5. 合成生物学

このうちネットワークとセンサーについては、銃声感知技術が目新しかった。街中で銃声を感知すると半径3メートルの範囲で場所を特定し、警察に通報するのだとか。治安維持には効果が期待できるかもしれない。人工知能は2029年にはあらゆることにおいて人間を上回り、合成生物学において、人間は100歳が60歳になるのだとか。何れにしても未来は今よりさらに暮らしやすそうに感じる。

テクノロジーと合わせて、考え方も重要。特にピーターの法則が印象的である。
1. ノーと言われたら一段階上に行け(権限はえてして上が持っている)
2. どちらか選べと言われたら両方取れ
3. 教科書通りにやろう ただし筆者は自分だ
4. 勝てなければルールを変えよ
5. 走れるときには歩くな
6. 未来を予測する最良の方法は自分で未来をつくることだ
7. 簡単なことならばすでに他人がやっている
8. 的を決めなければ絶対に当たらない
物事をなすにあたって、「どう考えるか」はやっぱり重要。心に響く言葉を持っている者は有利ではないだろうか。

最後にクラウドの威力が語られる。「クラウドソーシング」「クラウドファンディング」の力は、現代ならでは。「賞金付きコンテスト」は予想外の周知を結集する。「ゴールラインを超えるために必要なすべてのソースを調達するためのもの」という説明は大げさでもないと感じる。やる気のある者にとっては、今はものすごく恵まれているように思える。これから何かを成し遂げようとする志を持つ者にとって、必読の一冊であると思う・・・


posted by HH at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月02日

【執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学】新井直之 読書日記643



序章  世界の大富豪が富を築くまで
第1章 世界の大富豪が富を築く資産の増やし方
第2章 世界の大富豪が富を築くお金の使い方
第3章 世界の大富豪が富を築く人との付き合い方
第4章 世界の大富豪が富を築くお金の哲学

著者は日本バトラー&コンシェルジュ株式会社という法人の代表者。
本の内容もさることながら、まずこの会社自体に興味を持つ。
創業は2008年と浅く、業務内容は世界の大富豪に「執事サービス」を提供しているとのこと。
そうしたサービスがあり、成り立つものなのだと改めて思う。
そしてその利用者は、「保有資産50億円以上、年収5億円以上」という人が大半を占めているらしい。

そうした大富豪がどのような人なのか、そしてどのようにしてその地位を築いたのかは大変興味のあるところである。そうした大富豪を一人一人紹介してくれるような本があれば読んでみたいと思うが、残念ながらなかなかお目にかかれない。
この本でもぼんやりと紹介されているが、せめてそれが興味を引くところである。

「運を見逃さない眼力、日頃の準備、そして覚悟」が必要だと言われれば、なるほどそうであろうとは思う。
ただ、具体例を紹介してくれれば参考になるのだが、そこまでは「執事」にもわからないのかもしれない。

この本は、「お金の哲学」とある。
著者が日頃の付き合いを通じて大富豪の考え方に触れているが、それらの中から紹介してくれている。
・普遍的な価値があるものに投資する
・迷った時は梅を選ぶ(松竹梅の中から)
・遊びも投資の一つ
・投資商品は売られていないものを買い求める

それなりに説明を聞けばなるほどと思うが、普遍的な真理かどうかとなると、どうだろうと考えてしまう。
「投資商品は売られていないものを買う」というのは、自ら銀行員だった経験もあるからよくわかる。銀行が勧める商品は「銀行が儲かる」商品であるからである。

哲学の内容は、他にも投資にまつわるものが多い。
・投資で迷ったら3ヶ月保留する
・宝くじは買わない
・最大の投資は節約
などは、個人的にも相通じるものがあり、自分の考え方の裏付けとして心強い。

・贅沢に使うのは、お金(投資)が稼いだお金
・稼いだ額の10%を寄付する
などは、どこかで聞いたことがある。
これも普遍的に当てはまることなのかとも思う。

・来るものは拒まず、去る者を追う
・お受験はわが子が大富豪になる一歩
と言う考え方は新鮮であった。
特に人間関係では、信頼できるのは「親戚か幼馴染」としており、そうした人脈形成に幼少期の私立学校などは良いのだそうである。
真似しようとは思わないが(できないし・・・)、考え方は参考になる。

概ね、これを読んで大富豪の考え方を身につければ大富豪になれると言うものでは、当然ない。
まぁ一つの参考であろうか。
それよりもコンシェルジェサービスの具体的な日常の業務内容に興味を抱いた。
これ以前にも似たように本を書かれているようだが、「どんな1日を大富豪のそばで過ごしているのか」、今度はそんな内容を紹介してもらいたいと思った一冊である・・・

posted by HH at 11:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月13日

【「ない仕事」の作り方】みうらじゅん 読書日記628



第1章 ゼロから始まる仕事
第2章 「ない仕事」の仕事術
第3章 仕事を作るセンスの育み方
第4章 子供の趣味と大人の仕事

転職して今の会社に入って以降、「何をしたらいいでしょうか?」という質問をしたことがない。
「やれということがあったら言ってほしい」とだけ伝え、あとは「自分に何ができるか」「何をしたらよいか」と自問自答し、探して必要な仕事をして来ている。
そういう意味では、「ない仕事」と相通じるものを感じ、この本を手に取った次第である。

著者は一体何者だろうと疑問に思ったが、この本を読み終えた後もよくわからない。
本人は、自分の仕事を、
「ジャンルとして成立していないものや大きな分類はあるけれど、まだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけていろいろ仕掛けて世の中に届けること」
としている。
そんな調子で、これまで「マイブーム」という言葉を生み、「ゆるキャラ」を世の中に定着させたという。

ゆるキャラ自体、各地にもともとあったが、それを面白いと目をつけ、ブームにならしめる。
みんなが「なにそれ?」という反応を示す中、ブームにしていった経緯は、なるほど「ない仕事」を作っていると具体的に分からせてくれる。
ネットで検索し、ヒット0だとわかると早速取り掛かるというから、まずはネットで検索し、その内容を調べてから考える「前例踏襲」タイプの仕事に慣れた人はひっくり返るだろう。

その仕事は実に多岐にわたる。
・最悪の自体に実はチャンスが転がっている-田舎でバス便が少ないことを逆手に取った「時刻表」ならぬ「地獄表」
・趣味は突き詰める-チャールズ・ブロンソンを突き詰めた「ブロンソンズ」
・好きな人になりたい-バンド「大島渚」結成
・もらったら絶対嫌なお土産-「いやげ物」
・トンマな祭りを集めた「とんまつり」
・怒られることを逆転した「らくがお帳」
・重い言葉をポップにする「親孝行プレイ」「失恋プレイ」

そこから感じられるのは、「他人の評価を気にしないで徹底的に好きな道を行く」スタイル。
「ない仕事の本質は、『なんだこれは?』と自分で驚くこと」だというが、これは普段の仕事でも応用が利く気がする。
自分も普段、「(業界では)普通やらないね」と言われると、「チャンスかもしれない!」と思ってしまうが、相通じるところがあると思う。

それでも好き勝手やっているかというと、「接待力」の重要性を説いたりする。
自分のやりたいことを実現していくには、一人だけではダメで、雑誌の編集長など自分の企画を売り込む時には、泥臭いこともやるところが賢さを感じさせてくれる。
「そもそも違う目的で作られたものやことを別の角度から見たり、無関係なものを組み合わせたりして、そこに何か新しいものがあるように見せる」ことは、自分の仕事でも大いなるヒントとなる。
言われたことを真面目にやるだけの人には、多分理解はできないだろう。

今までに誰もやっていないプラスαの仕事をしよう、言われたことだけではなく、それ以上の仕事をしようと考えている人には大いなるヒントが詰まっていると思う。
学ぶべき点の多い一冊である・・・

posted by HH at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月06日

【御社の寿命 - あなたの将来は「目利き力」で決まる!】中村 宏之 読書日記608



第1章 調査員が走る!企業倒産ドキュメント
第2章 会社はなぜ倒産するのか ごまかしを重ねる会社と見抜けない銀行
第3章 まじめで堅実な社長が会社をつぶす データで見る企業と倒産の関係
第4章 生き残る企業の条件 優良会社5社の社長は語る
第5章 ドジョウの角さん 名物情報記者の奮戦記
第6章 「帝国ニュース」の記述で語る昭和・平成倒産史
第7章 倒産の基礎知識 これで経済ニュースが読み解ける

なかなか興味深いタイトルだと手に取った一冊。
タイトルを見て、その本を手に取るケースはかなり多い。
当然、タイトルから連想される内容を期待しているわけであるが、その通りであれば良し(というか本来そうあるべきだろう)、だが実際は「看板相違」がかなり多い。
この本もそんな一冊。

タイトルから、自分の会社の寿命はどうなのかわかるのだろうかと思っていたが、中身は倒産にまつわる諸々。
著者が帝国データバンクとなっているから、そうなるのも実は自然なのだが、それならそうと、それがわかるタイトルにしてほしいものである。
また、サブタイトルに「目利き力」とあるが、この本を読んでも「目利き力」は身につかない。
これも看板に偽りありで、強いて言えば、「倒産する会社の特徴・見分け方」だろうか。

過去の有名企業の倒産を扱った第1章。
スカイマーク、白元、エドウィンらが紹介される。
記憶にあるものもあるが、さらりと触れられるだけで、深堀はされていない。
「目利き力」として、粉飾を見抜いた支店長の例だとか、危ない会社の特徴とかが紹介されているが、これらは金融機関の人から見れば参考になるかもしれない。

将来の話ばかりする社長、華美な社長室、倉庫、経理部長、職場環境等々企業の倒産の兆候はあらゆるところに現れる。
一般の事業会社の営業マンあたりが身につけるのは困難かもしれない。
「会社をつぶす社長の10のポイント」などはありきたりだし、「倒産企業の社長の平均年齢59歳」などなんの参考にもならない。

企業倒産史は、「そんなこともあったか」という程度。
読み物としてはそれなりだろう。
この本を読んで、危ない会社と取引して損失を出すことから回避できるようになるかと言えば、そんなことはない。
参考にもならないし、まぁ読み物として面白いという程度だろう。
そういう目的で読まないと、肩透かしを食らうことになる。

そもそもであるが、「目利き」など出来るものではないと考えている。
外見から人を判断するのが難しいように、企業も判断するのは難しい。
会社をつぶす社長の10のポイントに全て当てはまっていても、必ず倒産するものではないし、そもそも銀行以外は、倒産を疑って取引するのは困難である。
せいぜいが過度の与信とならぬようにリスクコントロールするくらいであろう。
そもそも内容と合っていないタイトルをつけて平気で売り出すのに、「目利き」もないだろう。
それともそういう本を見分ける「目利き力」をつけさせてくれようとしているのだろうか。
いずれにせよ、その程度の本に得るものがあるとも思わない。

まぁ「軽い暇つぶしの読み物」程度に考えておくべき本だと言える一冊である・・・
   
   
posted by HH at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月09日

【あと20年で無くなる50の仕事】水野操 読書日記600



第1章 大きく変わろうとしている「職業」の概念
第2章 コンピューターは人を駆逐するのか
第3章 今後20年、コンピューターが徐々に仕事を奪っていく
第4章 中途半端な知的労働者は容赦なく排除される
第5章 時代に合わせて変化しながら生き残る職業
第6章 これから生まれる未知の職業とは-生き残るために必要なこと

来年の話をすれば鬼が笑うというし、将来のことは神のみぞ知ることだが、そうかと言って目をつぶっていていいとも思わない。
わからないなりに、「予測」というものをしてもいいと思う。
そして、そんなところに、目に付いたのがこの本である。

時代とともに変化する職業に対する考え方。
今から45年前の男の子のなりたい職業は、1位がエンジニアだったそうである。
それが2013年には、サッカー選手・監督になっている。
子供達に人気のパイロットも、テクノロジーの進歩により、一人で大型機を操縦する時代が来るかもしれないとする。

そうした変化に、大きな役割を果たすと思われるのが、コンピューターである。
人工知能は、あらゆる分野で人に取って替わるかもしれない。
アシスタントや単純作業者はIT化でなくなり、介護現場でロボットが求められるように、人間の仕事が置き換えられていく。

AIとロボットは、ブラック企業を一層するかもしれないが、これは歓迎すべき傾向と言っていいのだろう。
居酒屋に行くと、ロボットが応対し、ロボットに席に案内され、タッチパネルでオーダーするとロボットが運んできて、タッチパネルで会計を頼んで、クレジットカードで決済するという例が語られているが、人手不足に悩む飲食業界においては、非常に実現可能性の高い未来かもしれない。

すでに自動運転が脚光を浴びているが、タクシーや電車もロボットによる自動運転が一般的になる可能性は非常に高い。
新聞も電子化で減っていくだろうと思われるが、一方で航空機には監視役としてのパイロットが残ることが考えられ、看護師や作業療法士など対人スキルが必要な部分は、人間の仕事として残るかもしれない。

「中途半端な知的労働者は容赦なく排除される」とする章では、翻訳者やエンジニア、歯科技工士や弁護士までもが、工夫をしなければ淘汰されるとする。
弁護士も、裁判の方針を立てたりする者は良いが、単に資料収集などをやるだけの弁護士は生き残っていけないとする。
要は、「使われる」のはダメだということである。

どんなにテクノロジーが進化しても、「ビジネスを生み出す人・所有する人、自分の意志でビジネスを進められる人」は生き残っていける。
テクノロジーを利用する立場に立たないとダメだというのは、その通りだと思う。
というよりも、それは今現在でも当てはまるように思える。
自分の仕事が、簡単に置き換えられるかどうか、考えてみるのもいいと思う。

こうしたことは、あくまでも予測にしか過ぎない。
この通りになるかもしれないし、ならないかもしれない。
ただ、一つの思考訓練としては良いと思う。
自分の仕事が、人間でなければできないかどうか。
今働いている人は、今一度考え、そして仕事のやり方を見直すいいきっかけかもしれないと思う。

これから働く人たちは、人気就職ランキングなどに左右されることなく、いろいろ考えてみるといいかもしれない。
己の思考訓練に、一読するといいかもしれない一冊である。
    
  
posted by HH at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月26日

【世界のトップを10秒で納得させる資料の法則】三木雄信 読書日記578



ケーススタディ1 業務処理報告書
ケーススタディ2 売上報告書
ケーススタディ3 要因分析レポート
ケーススタディ4 プロジェクトマネジメント型会議議事録
ケーススタディ5 プロジェクトマネジメントシート
ケーススタディ6 パレート図
ケーススタディ7 回帰分析
ケーススタディ8 プロセス分析シート
ケーススタディ9 プレゼンテーション
ケーススタディ10 企画書
特別付録     資料作成のツボ

著者は元ソフトバンクの社長室長を務めた人物。
孫正義の下で働き、忙しい孫氏に短時間で説明する経験を幾度となく積み、その時の経験から身につけた資料作成のコツを披露したのが本書である。
何事も極めれば本が書けるということであるし、本が書けるくらい極めないといけないということである。

始めの業務処理報告書では、資料作成のコツと言いながら、実は問題のとらえ方を述べている。
英会話学習塾のチラシによる集客を例に、「群管理」という概念を説明し、累積ではつかめない問題点を時系列化によって浮き彫りにすることを解説してくれる。
要因分析レポートでは、「数値化すると人は動く」とし、因果関係を数字で表すことによって、トップに対するPR効果が高くなることを解説してくれる。

個人的に参考になったのは、「パレート図」である。
モデム障害の例を取り、数多くのクレームで混乱していた現場において、問題点4つを改善すれば、クレームの8割をなくすことができると分析するところである。
問題が生じると、目の前の一つ一つの処理に追われてしまうが、こうした分析手法を使うと、大きなポイントを押さえられ、短期間で状況を改善できる。
何かに応用できそうである。

肝心の資料作りで参考になったのは、プレゼンテーションである。
ワンスライド・ワンメッセージ・ワンイメージの原則
メッセージは20文字以内
メッセージを裏付ける数字
など、基本はシンプルということかと感じる。

最後の企画書も、同じ企画について2種類の企画書を比較させることで、わかりやすさが格段にアップされる例が解説される。
ここでも「枚数が多い企画書」≠「良い企画書」とされる。
何となく枚数が多いと仕事をした気になりやすいものであるが、改めてシンプルが一番と感じる。

よくよくタイトルを見れば、「資料の法則」とある。
何となく「資料作り」というイメージでいたが、そうした事務的なことではなく、広く資料を作る過程で問題を解決する考え方のレクチャーといったところである。
あまり大げさに考えることはなく、それなりに参考にはなる。
いいところは、学びたいと思う一冊である・・・

posted by HH at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする