2018年03月31日

【黄色いバスの奇跡 十勝バスの再生物語】吉田理宏 読書日記908



第1章 父と子の決断
第2章 試練のはじまり
第3章 苦悩
第4章 先輩の土下座
第5章 学びの日々
第6章 雪解け
第7章 小さなチャレンジ
第8章 新たな出発

 この本を読みたいと思ったのは、サブタイトル「十勝バスの再生物語」に惹かれたからに他ならない。企業経営、とかく企業再生に関するものには基本的に興味がある。地方では路線バスや鉄道が苦戦している話が多く、そんな中での成功事例となれば特に心惹かれるというものである。

 主人公は十勝バスの社長である野村文吾。十勝バスの四代目の社長である。父は三代目の社長であり、既に業績が悪化していたためであろう、息子である文吾氏に跡を継げとは言わず、文吾氏は大学を卒業するとプリンスホテルに就職していた。物語形式のこの本は、そんな父が突然文吾氏を訪ね、「会社をたたむことになった」と告げるところから始まる。

 文吾氏はその場は話を聞くだけにとどめるも、やがて考えた末、家業でもある十勝バスの経営の跡を継ぐべく入社を決意する。時に1998年4月1日。そんな文吾氏に、父は「経営企画本部長」としての職務を与え、実印と金庫の鍵をも渡し、全ての経営を委ねる。個人的にはこの時、父親がどんな考えだったのかすごく興味がある。

 十勝バスは1969年に最大2,300万人の利用者を有し、ピークとなって以降利用者は文吾氏の就任時にはピーク時の40%にまで落ち込み、赤字を垂れ流し、その赤字を国や地方自治体からの補填金で何とか賄っている状態であった。そんな会社だから社内も停滞し、特に顧客目線は欠如し、「乗せてやっている」という雰囲気であったという。

 文吾氏は、そんな中で何とか経営を立て直そうと奮闘するが、変革を嫌うのは停滞した組織の常でもあり、社員は反発。「笛吹けど踊らず」の状態であったという。それゆえ文吾氏は若手経営者の集いで、愚痴ってばかりいたようである。ところがある日、仲間から逆に叱られる。従業員を敵として見ていてはうまくいかないと。その真剣な苦言に反省した文吾氏は、「従業員を愛する」と決めて、仕事に向かう。

 それからだんだんと社員の態度も変わっていったという。社員から提案が出てくるようになり、それまで「営業しろ」と笛を吹いても踊らなかったのに、社員の方から「営業するしかないですかね」と出てくるようになる。この営業は、社長が想定していた大規模なものではなく、一停留所周辺を対象にした小規模なもので、社長も不満だったが黙って飲み込み、とにかく始める。すると少しずつ乗客が増え、この「小さな成功」が社員のやる気を引き出す。

 こうして様々な全社を挙げての取り組みで、十勝バスは2011年に40年ぶりの運送収入増を果たす。絵に描いたような再生ドラマであり、その過程には企業再生のヒントがにじみ出ている。薄い本であるが、エッセンスの果汁はたっぷりである。物語としても感動的でもあり、経営のヒントも溢れている。現在、同社のホームページを見てみると、この本以降も様々な取り組みがなされていることがわかる。実に楽しそうなホームページである。

 企業再生に興味のある人には、一読の価値ある一冊である。


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2017年12月13日

【すべては戦略からはじまる−会社をよくする戦略思考のフレームワーク−】西口貴憲 読書日記868



第1章 会議は踊るいつまでも
第2章 舞先輩の㊙︎作戦
第3章 なぜ、営業のプロが素人に負けたのか
第4章 数字で会社を裸にする
第5章 会社を取り巻く環境をつかむ
第6章 会社はどこに向かうべきか
第7章 新規事業を模索する
第8章 決戦の場はどこだ?
第9章 いざ戦略へ!
第10章 競争に打ち勝つために
第11章 会社はどこから変えていくか
第12章 マーケティング戦略で事業を強化せよ
第13章 事業パートナーの離反を止めよ
第14章 オンラインゲーム事業部の苦闘
第15章 生まれ変わるK&H

経営に関する理論は時として難しかったり、あるいは理屈はわかってもそれをどう実践に生かすかがわからなかったりするものである。その点、物語形式にすると主人公らとともに経営理論とその実践方法の例を学べたりする。『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』をはじめとしてそういう内容の本はいろいろと出版されているが、この本もそんな一冊。著者も『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』を意識して書いたらしい。

物語の舞台となるのは、ゲーム製作会社のK&H。ここに親会社のAtoZグループから派遣されて来ているのが主人公の今井慎也。K&Hは創業者が病死した後、経営難に苦しみ、AtoZグループの傘下に入るも業績不振が続いている。本格的な企業再建活動の予備調査役を兼ねて今井は派遣されて来ている。そしてそこに本社から高橋舞がやってくる。今井が大学卒業して3年目で、舞はその3つ上という設定。「若すぎる」という思いはこの際飲み込む。

始めに営業会議で舞はいきなり営業部長と対立する。K&Hの営業会議は営業戦略について話し合うというより、「営業目標を押し付ける」ものになっていると舞は指摘する。そして、反発する営業部長と販売競争をすることになる。細かいストーリーのアラはすべて飲み込むとして、「営業目標の押し付け」=「営業戦略」となっている会社は、特に中小企業なら当たり前のようにある気がする。さらにボーナス連動型で尻を叩いたり、営業=接待という考えも然り。

この勝負に舞はあっさり勝ってしまう。そしてその要因として、マーケティングの4Pの一つである「流通」に目を向けた戦略を舞は披露する。理詰めで考えていく方法は、やっぱり戦略の基本だろうと思うが、こうして物語形式の具体例となるとわかりやすい。そして経営理論もさることながら、会議室が掃除されていなくて汚いところに問題会社の特徴があることなどがさらりと触れられていて、いい感じである。

こうして今井は舞指導の下、様々な経営改善を学んでいく。その中でSWOT分析やPEST分析PPM、5フォース、ビシネススクリーン等々の経営用語や概念が説明され、読む者もわかりやすく理解できる仕組みとなっている。そこは著者の狙い通りなのだろう。ただ、全般的に内容は「初心者向け」といった感じである。一通りわかっている者からすると「今さら」感がある。ストーリーも予定調和的であり、手放しでのめり込めるほどではない。学び始めたばかりの若手ならちょうどいいような気がする。

この手の本は万人ウケというのも難しいだろうから、それは仕方ないだろう。ターゲットを意識するのも出版戦略としては当然だろうからである。本を読むにしても、タイトルで飛びつくのではなく、もう少し事前に調べた方が多少粗筋がわかってしまってもいいのだろうと反省させられる。そういう教訓を与えられたという意味でもこの本は有意義であった。
経営戦略を学び始めたばかりの人なら適していると思う一冊である・・・




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2017年10月19日

【ハリネズミの願い】トーン・テレヘン 読書日記848



原題:Het verlangen van de egel

なんとなくタイトルに惹かれて手にした一冊。動物を主人公にした物語は、大人向けであっても別に珍しくはない。むしろ大人向けとなるとその背後にメッセージがあったりするから、そこから読み取れるものを見るのも面白いと言える。最近の例では、『カエルの楽園』が記憶に新しい。

物語の主人公は、当然ハリネズミ。ハリネズミは一人ぼっちで住んでいる。訪ねてくるものは誰もいないし、仮にいたとしても、ドアを叩いてもハリネズミは寝ているかあまりにも長くためらってからドアを開けるものだから、ドアを叩いた者はもういなくなっていると言う有様。そこでハリネズミはみんなを招待しようと思って手紙を書く・・・

でもその手紙にも、招待しながら「でも、誰も来なくてもだいじょうぶです」なんて書いてしまう。さらには、書いた文面を見直してあれこれ考えているうちに、手紙を戸棚の引き出しにしまってしまう。「今はまだ」送るのをやめておこうと考えるのである。こういう決断力のない行動って結構ありがちなのではないだろうか。

ハリネズミは戸棚から手紙を取り出して読み直す。そしてそれを出した場合のみんなの反応をあれこれ想像する。ハリネズミのハリが怖いのではないだろうかと想像し、手紙に「僕のハリなんて、どうってことないものです」なんて書いてみたりする。そうしている間、森のみんなは互いに招待しあい、訪問しあっているのではと想像してみたり、あるいは訪問が禁止されてしまったと想像してみたりする。手紙は当然出されることはない。

しまった手紙を思い出しては首を振り、そのあとに意見を変え、うなずき、また首を振る。そうしてあれこれと妄想を繰り広げる。カミキリムシが手紙を書いてきたり、カタツムリとカメが遊びに来ようと家を出たところだったり、ヒキガエルが遊びに来たり、そしてまた手紙の文言を書き足すことを考えたり・・・とにかくハリネズミはあれこれと妄想する。

クマが来たり、ゾウが来たり、キリンが来てダチョウが来る。その間にもカタツムリとカメは言い合いをしながらのんびりと道中をハリネズミの家へと向けて歩んでくる。サバクネズミなど見たこともない動物たちが来たりするかと思えば、はたまた手紙を出すのなどやめてしまおうと思う。そして外へ散歩に行くことを想像し、また誰かが訪ねてくることを夢想する。そのうち、だんだんと読む方もダラダラした展開に飽きが来てしまう。ハリネズミの優柔不断な様子にも。

「案ずるより産むが易し」と言う言葉があるが、ハリネズミに必要なのは誰が見ても「行動」である。あれこれと悩むより、書いた手紙をさっさとポストへ投函してしまえばいい。それからのことは、起こってから考えてもいいはず。ハリネズミのことならそう思えるが、いざ自分が何か同じような立場に立たされると行動できないのかもしれない。

読み物として面白いかと問われれば、正直言ってあまり面白くない。優柔不断の人の行動を見ているとよくイライラしたりするが、まさにそんな感じである。この本は読んで面白いと言うよりも、読んでそこから何かを感じ取るべきものなのかもしれない。そんな何かを感じたい一冊である・・・



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2016年07月30日

【貯金兄弟】竹内謙礼/青木寿幸 読書日記690



第1章 大卒の生涯年収が、高卒の生涯年収よりも、3000万円も低い理由
第2章 給料も人並み、お金を貯める気もあるのに、なぜ、口座残高はゼロなのか
第3章 生命保険は人生で住宅の次に高い買い物、だからマジメに選びなさい
第4章 住宅ローンは固定金利と変動金利、どちらがトクなのか
第5章 家を買った方が、賃貸よりも本当に“正解”なのか
第6章 老後にいくらの貯金があれば、安心できるのか

 元銀行員としては、会計系の話は好きである。これまでもその手の本はずいぶん読んできた。そんな私が、この本については書評とかで何となくその手の本と理解していたので、以前よりチェックしていたもの。ようやく読む機会が巡ってきた次第である。

 登場人物は、二人の兄弟、横田宗一郎と翔太。子供の頃に、義父に虐待されて育つという不幸を味わう。義父は、ある火災事故によって大やけどを負い、同時に虐待が発覚して兄弟は施設で育つ。不幸な生い立ちがあってか、二人は兄弟ながら金銭感覚については、普通の人より過剰になるが、その方向性は真逆となる。兄の宗一郎は母親の残した生命保険で大学を卒業し、一流の広告会社に就職。営業経費をたくさん使い、営業成績を上げながら派手な生活に傾いていく。

 一方、弟の翔太は、高校を卒業するとすぐ消防士になる。その理由がすごい。すなわち、大学へ行けば、その間の学費や諸費用等々で1,000万円かかり、年収500万円とすると、遺失収入は4年間で2,000万円、合計で3,000万円もあるという。公務員の安定度を考えると、大卒のほうが有利とは言い切れないとする。まぁその内容の是非はともかくとして、発想としては面白い。

 その後、各章がそれぞれ前章の5年後を舞台としており、兄弟それぞれの5年間の変化が描かれていく。兄の宗一郎は、大手広告代理店電報堂でメキメキと頭角を表す。接待の毎日で生活は派手。接待費の立て替えで懐が厳しくなると、先輩のアドバイスを受けクレジットカードを利用し、消費者金融を利用しと、便利なツールで資金を賄っていく。弟の翔太は、異常すぎる倹約生活で、職場でも奇異な目で見られる。お金に関するメッセージとしたいという意図なのだろうが、二人の兄弟は両極端で、どちらが良いとも言い切れない。あえて選ぶとすれば、兄の方であろうか。

 社会人となると、生命保険に加入することを誰でも考える。職場にセールスレディが来たりするが、かつては私もあまりよく理解しないまま、勧められるままの定期保険に加入したものである。ここでは賢い弟がその知識を披露し、兄宗一郎はスノーボードで怪我をした恋人に対する対応から、弟の宗一郎に恋人を取られてしまう。

 互いに結婚すれば、子供もできる。子供の教育という点でも、お金は重要である。兄弟2人の子供に対する教育についての考え方も対照的である。そして究極は住宅。住宅ローンをどう組むか、手元資金をどう用意するか、税制との絡みもあって人生で最も大きな買い物と言っても良い。そんな互いに異なる2人の意見に耳を傾けることは、これからローンを組んで家を買おうという人は参考になるであろう。

 こうして、この本は物語形式で進んでいく。会計の知識という意味では、「ごく初歩的なもの」ではあるが、身についていくだろう。しかし、肝心の物語としては正直、あまり面白くない。義父が会いたいと何度もコンタクトしてくるが、その伏線がうまく生かされていないし、弟の「超能力」の存在も疑問だ。もう少し、自然なストーリーにしたら一般人にも身近な会計知識の本として良かっただろうと思う。

 年老いた2人の兄弟の姿を見て、結局どっちが良かったかと問われれば、「兄の方」と答えたい。されどそれも「どちらかといえば」の話であり、この兄弟の姿から描けるもっと理想的なあり方もあったはずである。それが提示できたら、もっと良かったのにと個人的には思わざるをえない。関連した著者の他の本があって、それぞれ面白そうでチェックしているのであるが、この本を読むとちょっと読むかどうか躊躇してしまうのも事実である。

惜しいなぁと思わざるをえない一冊である・・・

   
  
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2015年12月30日

【かもめのジョナサン】リチャード・バック 読書日記617



 『かもめのジョナサン』と言えば、あまりにも有名ではあるが、実は今まで読んだこともなく、当然ながらその内容も全く知らなかった。
なんとなく、「児童文学」というイメージでいたのだが、それが全くの誤りであったとわかり、この「完成版」を読んでみることにした次第である。

 「完成版」が従来のものとどこが違うのかというと、従来のものは、Part1からPart3までであったのが、Part4が加わったということらしい。
冒頭の「完成版への序文」で著者自らが語っているが、なんでも当初ボツにしたものを奥様が最近になって引っ張り出してきたという経緯のようである。
読み直してみて、現代に問い掛けるのにふさわしいと判断したのであろう、全くその通りだと思う。

 かもめのジョナサンは、その名の通りカモメである。
群れのみんなは、毎朝漁船の周りを飛び、漁師たちが撒き餌をするのを横から失敬して朝飯とするのを当然としている。されどジョナサンはただ一羽、そんな喧騒から離れ、ひたすら飛ぶことに夢中になっている。
上昇、急降下、右展開、左展開、スピードへの挑戦。

 両親をはじめ群れの仲間たちは、そんな飛行練習の無意味を説き、みんなと餌をとるように勧める。されどジョナサンはそんな言葉には耳を傾けず、やがて群れの誰もがなし得ない飛行速度時速342キロを達成する。しかし、それを快く思わない群れの仲間たちは、評議会の名においてジョナサンを群れから追放処分とする。自由に飛ぶことを良しとするジョナサンは、その決定をも意に介さず、群れから離れて自由に飛ぶ道を選ぶ。物語はそんなジョナサンが同じような仲間と出会い、自らの飛行能力を高め、やがて他の若いカモメに自分と同じように飛ぶことを教えるようになる様子を描いていく。

 注目のPart4は、ジョナサンの教えるグループが大きな勢力となるとともに、やがてジョナサンが去った後、彼を神格化する動きが出てくることが語られる。
飛ぶことよりも、彼がどんな様子で、何を語ったかを重要視して議論し始めるのである。
直接教えを受けた弟子たちが、それを正そうとしても治らず、やがて弟子たち自身も神格化の対象となっていく・・・

 従来部分も、毎日目の前の餌を求める群れの仲間たちと、自由に飛ぶというあり方を追求するジョナサンの生き方が、強烈なアピールとなって伝わってくる。
群れの仲間たちは、現代の日々の生活に追われている我々自身を暗示しており、そこには笑えないものがある。
新たに加わったPart4も、特に組織においては実によくありがちなことであったりする。

 「飛ぶ喜び」「生きる喜び」を求めるジョナサンの姿は、我々にかくあるべしと伝え、我々もまたそうありたいと思う。
されど実際は、そんなジョナサンを異端視し、群れから排除する仲間のカモメたちと同じように振舞っているのではないかと思わされる。
なかなか深い物語である。

 合間合間に挟まれるカモメの写真。
文章自体は短く、すぐに読み終えてしまう。
そのシンプルさの中に、大きな真理が含まれている。
自分自身どんなカモメでありたいか。
じっくり考えてみたいものである。

あまりにも有名なこの作品。
読んだことがない人は、一読すべき一冊である・・・

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2015年03月21日

【夢をかなえるゾウ3】水野敬也 読書日記526



『夢をかなえるゾウ』シリーズの第3弾である。

今度の主人公は女性。
彼氏と別れて5年。
貯金も少ない「私」の前に、ガネーシャが現れる。
そして、ガネーシャが関西弁で「私」に教えを伝えるというお馴染みのパターンで物語は進んでいく。

今回は、ガネーシャも黒い肌で筋骨隆々の「ブラック・ガネーシャ」として登場する。
「ブラック」化したとしても、そう大して違わない気がするのは確かである。
そして物語の進行にあわせて、「私」に伝えられる教えの数々。
・自分の持ち物の中で本当に必要なものだけを残し、必要のないものは捨てる
・苦手な分野のプラス面を見つけて克服する
・次の順序で一つの分野のマスターに挑戦する
 1 うまくいっている人のやり方を調べる
 2 一度自分のやり方を捨て、うまくいっている人のやり方を徹底的に真似る
 3 空いた時間をすべて使う
・自分の仕事でお客さんとして感動できるところを見つける
・一度儲けを忘れてお客さんが喜ぶことだけを考える
・自分の考えを疑ってみる
・一緒に働いている人に感謝の言葉を伝える
・余裕のないときに、ユーモアを言う
こうしたことは、普段の生活の中で意識してみたいことである。

今回はガネーシャの敵ともいうべき、黒ガネーシャ(稲荷の夫婦)が登場する。
そのあこぎな商売のやり方が、反面教師になる。
・希少価値を演出する
・あえて自分の不利益になることを言って信用してもらう
・お客を中毒にする
本で読めば反感を持つが、実際にそんなやり方をしていないだろうかと、自分に問うてみたい。

ガネーシャの口調は例によって関西弁。
だが、それがかえって味わい深く響いてくる。
「しんどいの通り越したら、その向こうにはめっちゃ楽しいことが待ってんねん」
「ドストエフスキーくんが、最高傑作『カラマーゾフの兄弟』書いたんは58歳んとき。〜略〜自分がその年齢で成功した初めての人になれるっちゅうことやから、自分が後に続く人にとっての『希望の星』となれるんや」
「自分らは努力を始めるとき、『我慢』から入るやろ〜略〜楽しいことを我慢するんやのうて『もっと楽しいことを想像する』やねん」
「この世界はな、自分が力を尽くした分だけ、必ずそのお返しを用意してくれるもんなんやで」
「問題を乗り越える方法を『自分で思いつく』ちゅうのが大事」
いちいちメモしたくなる。

コメディテイストの物語ではあるものの、ガネーシャの語る教えは“本物”のテイストである。
今回は、特に商売色が強かったので、自分のやっているビジネスを念頭にガネーシャの教えを聞いた。
今のところ外れているつもりはないが、これからもずっと心掛けたいと改めて思わせられた。

何で第3弾まで続くのか、その理由はよくわかる。
物語も、ガネーシャの教えによって成長していく「私」の姿が心地良い。
そして最後はちょっとほろっとする。
物語としても面白い。
第3弾も大満足。
まだまだ続くなら、読み続けたいシリーズである・・・

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2014年11月10日

【成果が出ないのはあなたが昔の「燃費の悪いアメ車」な働き方をしているからだ】林總 読書日記482



著者は公認会計士であり、経営コンサルタントでもある方。
著作も多く、過去に『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』や、『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!』などを読んでいて馴染みがある。
最近では、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?不正会計編』を読んでおり、少し前には『50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか』なんかもある。
割と好みの作家かもしれない。

タイトルからは想像もつかないが、この本は病院を舞台としたビジネス小説。
主人公は医師の三郷大介。
国家試験に合格したあと、母校の東部大学病院に勤務する。
そしてある日、隣町にある佐原病院に転勤となる。

佐原病院は理事長兼院長の佐原巌一郎がワンマン経営を行っている。
経営は赤字であるが、院長は高額の役員報酬を取っている。
院長は赤字脱却のためコンサルタントを招き、売上増とコスト削減を進めようとする。
しかし、医療の質を高めたい大介と対立する。
嫌気のさした大介は、辞意を胸にロンドンの学会へ出席すべく、機上の人となる。

機内で知り合ったのは、経営コンサルタントの西園寺。
話の流れから佐原病院の経営に話が及び、そこで大介は西園寺からドラッカーの言葉を借りながら病院経営について学んでいく。

病院というところは、普通の事業体と違って営利を追求していくだけで良いというものではない。
そしてもちろん、赤字で良いというわけでもない。
そんな“非営利組織”がどうすべきなのか、がこの本のテーマとなる。
個人的にも興味深い。

医者のような知識労働者もドラッカーによれば「生産性は質を中心に据えなければならない」という。
ただ量だけこなしても患者が治らなければ意味はない。
肉体労働は“量”であり、知識労働は“質”。
当たり前と言えば当たり前。
その知識労働は資本財として考えねばならないのに、肉体労働同様「コスト」と考え、コスト削減の対象としてしまったことで日本企業はエレクトロニクス技術において中国・韓国の後塵を拝している。

佐原病院は、総合病院の看板を降ろし、“専門化(専門病院化)”し、平均入院日数の短縮とベッド稼働率の向上を図っていく。
ストーリー自体は面白くもあるが、どうも物足りなさがある。
それはこうしたビジネス小説にありがちな話であるが、話が総論的になってしまい、具体的なケースがイメージできないのである。
致し方ないのかもしれないが、もう少し具体的だったら参考になって良かったと思う。

結局のところ、営利組織も非営利組織も組織の目的は「顧客満足」に他ならないとするところはその通りだろう。
そして財務的成果である利益は、「前提であって目的ではない」とする。
「病院だから赤字でも良い」「営利事業だから利益だけ追求していれば良い」というものではないということだろう。

話が総論的であるがゆえに、ある程度専門的な知識を有している者からみれば物足りない。
素人向けと言われればそれまでだが、果たして素人の人には面白い内容かと言われれば、どうだろうか。
そもそもであるが、タイトルにある「燃費の悪いアメ車的な働き方」って何だろうか。
この本を読んでも今イチよくわからなかった。
そんなところも含めて、全体的に残念な印象の一冊である・・・

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2014年10月31日

【経営参謀 戦略プロフェッショナルの教科書】稲田将人 読書日記480



第1章 商売繁盛のサイクル
第2章 市場が求めるものをプロファイリングせよ
第3章 市場を攻めるということ
第4章 戦略完成
第5章 表面化する思惑
第6章 新業態成功、そして改革の行方
第7章 経営者としての最終判断
第8章 現実を受け入れ、未来に目を向ける

著者は、元マッキンゼーの経営コンサルタント。
以前『戦略参謀』という本を読んでおり、“参謀”という言葉に反応してまたまた手に取ったのがこの本。
サブタイトルに『戦略プロフェッショナルの教科書』とあるが、物語形式でそれを語る形になっている。

主人公の高山が面接を受けるシーンから物語は始まる。
レディースアパレルを展開するグローバルモードの面接である。
高山は以前、紳士服のしきがわに勤めていたと語られる。
それによってこの本は、『戦略参謀』の続編だとわかる。
主人公の高山は、『戦略参謀』で活躍した若手社員である。

見事採用となった高山は、グローバルモードが展開するブランド「ハニーディップ」の立て直しに携わる事になる。
期限は半年。
子供向けファッションブランドである「ハニーディップ」は低迷に喘いでいた。
高山は、『戦略参謀』でもアドバイスを求めた安倍野に今回も助けを請う。

最初にRVAPSサイクルなるものが説明される。
R:Recognition(認知)
V:Visit(来店)
A:Approach(接近-あれはなんだろう、面白そうだ)
P:Purchase(購入)
S:Satisfaction(満足)
難しい事ではないが、こういう形で整理するのもわかりやすい。
そして高山は、“風船大作戦”で千葉ショッピングセンター店の売上を回復させる。

しかし、それはほんの前哨戦であり、局地戦。
ブランドそのものの改革と新業態の展開へと物語は移るが、ここでも『戦略参謀』同様、PDCAの重要性が繰り返し説かれる。
それを否定するつもりはないが、そればかり強調されるのもどうかと個人的には思う。

ただし、“現状認識”の重要性は改めて同感する。
「そもそもなぜ低迷しているのかわかっていないのに、思いつきで手を打つだけなら時間と経費がかかるばかり。思いついたことを片っ端から実施するなんて、目隠ししてバットを振り回しているようなもの」という喩えはわかりやすい。
そういうケースは多いのではないだろうか。

物語形式だと、物語の展開に目が行きがちだが、時折ハタと気付く事がでてくる。
「会社が成長すると、事業規模が大きくなって分業が進み、最後に社長業をいかに分業するかが重要な課題になる」
「差別化の軸というのは、『より安く』『より便利に』『より楽しく、より良いものに』の3つしかない」
などは目に留まった部分である。
特に、レッドオーシャンでの熾烈な戦いに徒労したくなければ、『より楽しく、より良いものに』を追求していくしかない。
こうした事を改めて言葉で認識するのは自分にとって良い事であった。

高山の活躍でグローバルモードも業績改善となれば、ストレート過ぎて面白くない。
そこは夏希常務という反対勢力を登場させて、物語を盛り上げている。
会社の業績改善にストップをかけるような行動をするのはいかがなものかと思うが、現実的には妬みや嫉みなども加わってそんな事もあり得るのではないかと思える。
最後はハッピーエンドで予定調和的なところはやむを得ないが、物語としてもそれなりに楽しめる。

経営参謀を目指す気持ちがあるなら、楽しみながら参考にできる一冊である・・・
    
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2014年03月09日

【戦略参謀】稲田将人 読書日記408



第1章 高山、最初の地雷を踏む
第2章 「バケツの中味」が重要だ
第3章 経費削減と経費低減は違う
第4章 社員がやる気になる人事制度とは
第5章 起死回生の販促プラン
第6章 混沌のなか、海図を求める
第7章 新業態を立ち上げる

著者はマッキンゼー出身の経営コンサルタント。
本書は、架空の大手紳士服チェーン「しきがわ」を舞台とした経営改善の物語である。
ストーリー形式で経営改革等の変革を語るという点では、数ある同様のビジネス小説と同類項と言える。

この手のビジネス小説には、成長期にある将来有望な若手を腕の良いコンサルタントが指導するというパターンが多い。
その方が「ストーリーを楽しみつつ学ぶ」という目的を叶えやすいのだろうという事は想像に難くない。

主人公は、「しきがわ」の若手社員高山。
ある日、古参の阿久津専務の前で、専務が導入した成果報酬制度を批判し、不興を買ってしまう。
創業二代目若社長体制のしきがわにおいて、先代から仕えている阿久津専務は、いわば社内の影の実力者。
これまでも、気に入られなくて飛ばされたり辞めたりした者も多い。

そんな高山が新たに配属されたのは、二代目社長の肝いりで創設された経営企画室。
ヘッドハンティングされてきた室長の伊奈木の元、「経営企画室って何をするのだろう」という疑問から、高山は取り掛かる事になる。
そしてそんな高山に、伊奈木は自分も知っているコンサルタント安倍野を紹介する。
こうして、安倍野を訪問しては教えを請うという高山の生活が始る。

まずは、PDCAを早く回すという事が語られる。
新規事業に取り組んでいたしきがわであるが、赤字が継続。
そこで問題解決の思考ステップとして、
@ 現状把握
A 真因の追究
B 解の方向性
C 具体策の比較検討
が語られ、PDCAのサイクルを早く回す事が提唱される。
事業部が対策として徹夜で作った実行計画であるが、残念ながら内容までは明示されなかった。

続いて改革は、経費に及ぶ。
売上が同じでも経費が下がれば利益は増える。
と言っても、ただやたらに「使わない」だけでは解決にならない。
なぜなら、経費は売上を作りだす要素でもあるからである。
そしてしきがわで行われるのは、蛍光灯一つ一つにスイッチをつけて小まめに消すプロジェクト。
日本電産でもやっていたような気がするが、ちと地味過ぎるきらいがある。

そして専務が導入した「成果主義報酬」システムの問題点から、人事制度について考えられる。
ここでは、個人についてのインセンティブ制度に加え、店舗単位での計画達成度に応じたインセンティブ制度が提案される。
ただ、その具体的中身までは開示されない。

改革に対する反対勢力としての専務の存在。
その問題点の根本。
物語としては、面白く語られていく。
ただし、経営の「教科書」としては総論ベースでの話が主流であり、あまり参考にはならない。
あくまでも物語として楽しむレベルだろう。
求めるものが、「教科書」としての分野であれば、物足りなさというのは否めない。

そうした前提で楽しむべき一冊である・・・
   
    
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2014年02月06日

【世界一わかりやすい在庫削減の授業】若井吉樹 読書日記400



1限目 くさった在庫は捨てよう
2限目 売れているものと売れていないものを分けよう
3限目 売れる商品には手間をかけよう
4限目 売れ筋以外は手間をかけずにいこう
5限目 トラブルに強い在庫削減の方法
6限目 入荷条件の「当たり前」を見直す
7限目 本当の売れ行きをつかもう
8限目 今までと違った形で在庫を持とう
9限目 身近なコンビニに見る在庫削減

昨年、 「世界一わかりやすいコスト削減の授業」という本を読んだ。
これは、その同じ著者による同系統の本。
ちょうど在庫削減について、いろいろと考えていたので、何か参考になりはしないかと手に取った次第である。

「世界一わかりやすいコスト削減の授業」もその名の通りわかりやすい本であったが、それはこの本も同じ。
ストーリーは、大量の在庫を抱えてしまったヤマヅミ商事が、コスト削減によって5,000万円の利益を捻出しようとするもの。
具体的な例に従って、授業が進んでいく。

まず「在庫は日数で考える」とある。
さんまを例にして、同じ150匹の在庫も、一日100匹売れる店と20匹しか売れない店では意味合いが大きく異なる。
このあたりは、基礎的なセオリーである。

在庫は抱えているだけでコストがかかる。
倉庫代、金利、人件費などである。
したがって、廃棄する事も負担軽減になる。
そしてそれをコントロールするには、まず「入り」から。
そして発注方法へと移るのであるが、従来の教科書的な方式を
@予測方式(定期発注方式)=生協の宅配
Aボーダーライン方式=お米の買い方
Bツーボックス方式=煙草のまとめ買い
C満タン方式=ガソリンの補充
Dかんばん方式=本に挟んである注文カード
E後払い方式=富山の置き薬
とわかりやすい喩えとともに説明している。

どの方式を使うかは、扱うモノの内容による。
例えば、
@毎日平均して売れる
A注文する商品はどこでも扱われている
B毎日必要なだけの注文数に応じてもらえる
C毎日注文してから毎日配達してもらえる
D注文から入荷までの日数が短い
という条件を満たすものであれば、かんばん方式が良いといった具合に解説される。

在庫は必ずしも自社内だけというものではない。
「津波のように遅れてやってくる情報」として、流通在庫の事が説明されている。
店頭で売れ行きが鈍っても、その情報は流通をすぐに伝わらず、したがって製造元に伝わる頃には、流通在庫が溜まってしまっいるという具合。
このあたりは、なるほどと思いながら読み進める。

「今までと違った形を持つ」では、半製品の形で持つ事により、色違いの在庫を抱えるリスクを回避する。
コンビニの在庫削減の例は、身近なところの良いお手本である。
内容的には、基本的な事であるが、考えてみれば在庫削減などは基本的なものをいかに基本通りにやるかだから、こういう内容になるかもしれない。

ヤマヅミ商事は家電の卸問屋であったが、ここでの在庫は「生きている」在庫。
もう市場では売れない在庫ではどうにもならない。
それこそ破棄してコストを削減するしかない。
著者の本はこれで2冊読んだが、読みやすくわかりやすい。
難しい事をやさしく説明するのに、良い例であると言える。
基礎的な本であるが、学びの大きい一冊である・・・



    
    
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