2014年02月09日

【模倣の殺意】中町信



第1部 事件
第2部 追求
第3部 展開
第4部 真相

最近、読書に凝っている我が父。
そんな父が読み終えた文庫本を実家で見つけ、借りてきたのがこの本。
帯にはデカデカと、表に「これはすごい!」、裏に「騙されずに見破れますか?」と書かれている。
そんな謳い文句に、興味深々で手に取ったミステリー。

物語は、作家の坂本正夫が自殺するところから始る。
編集者で、作家の瀬川恒太郎を父に持ち、坂本の婚約者でもあった中田秋子がその死に疑問を持つ。
そして密かに死の真相を探り始める。
一方、ルポライターの津久見伸助もまた坂本の死の真相が気になり、独自に調査を始める。

物語は、中田秋子と津久見伸助の動きを交互に追う形で展開されていく。
几帳面に起承転結の形で段落分けされ、二人の動きが丹念に描かれる。
時折、違和感を覚えるのが時代設定。
パソコンを使わず、あらゆるところで煙草をくゆらせ、挙句に「国電」という言葉が出てくる。
解説を読んで初めて昭和46年の作品だとわかる。

古いミステリーだから色褪せているというつもりはまったくない。
しかし、主人公の二人が坂本正夫を他殺と決めつけ、いきなり赤の他人を犯人呼ばわりする展開は、どうもすんなり受け入れられない。
自然な展開とはとても言い難い。
瑣末な点を挙げて文句を言うのはつまらないが、ミステリーにおいて(一般の小説でもそうだが)自然な展開というのが、何よりもストーリーを盛り上げる要素だと思う。

さらには、もったいぶって最後に描かれる結末には、確かに「これはすごい!」と唸らされる。
しかし、その「凄さ」というのは、つまらないという意味でだ。
この程度の結末の何が凄いのかと思ってしまう。
帯を書いた人が本気でそう思っているのなら感性を疑うところだが、それなりの人なのだろうからたぶん身内でかばい合っているのだろう。
いずれにしても呆れてしまう。

野球に例えて言うなら、大打者との対決にあたり、自信満々のピッチャーが「絶対打てない魔球を投げる」と豪語した上で、投げたボールがとんでもない暴投!
とでも言えるだろうか。
確かに、打てない。
しかし、それですごいという人がいるだろうか。
ある意味すごいし、誰にも予想できないという意味では、このミステリーもそうである。

東野圭吾のような洗練されたミステリーをお望みの方には、はっきり言って駄作だが、ゲテモノ好きには堪らないかもしれない。
そんな人にはオススメの一冊である・・・
    
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2013年08月20日

【謎解きはディナーのあとで3】東川篤哉



第1章 犯人に毒を与えないでください
第2章 この川で溺れないでください
第3章 怪盗からの挑戦状でございます
第4章 殺人には自転車をご利用ください
第5章 彼女は何を奪われたのでございますか
第6章 さよならはディナーのあとで

シリーズ第3弾である。
いつものように主人公は、東京は国立市に居を構える宝生グループの令嬢宝生麗子と彼女に使える執事影山。
次から次へと起こる難事件を、執事の影山が推理して解決していく。
お馴染み風祭警部もいつもの調子で登場する。

第一話の舞台は恋ヶ窪。
個人的に国立周辺には馴染み深く、それだけでもこの物語は興味深い。
ある立派なお屋敷で一人の老人の死体が発見される。
事件か自殺か。
風祭警部と麗子のお約束のやり取り。
そして家に帰った麗子から話を聞いた影山が謎解きをしてみせる。

第三話はちょっと趣向が変わる。
宝生家の宝「金の豚」を盗むと怪盗レジェンドから挑戦状が舞い込む。
さすがに宝生家が舞台となると、風祭警部を呼ぶわけにもいかず、新たに宝生家のかかりつけの私立探偵御神本光一が呼ばれる。
さすが風祭警部の代役だけあって、その役割を見事果たす。

最終話はこれまた国立市西三丁目というローカルな場所が舞台。
宝生家ほどではないそこそこ立派な屋敷で主が殺害される。
いつものように推理を働かせる影山。
「失礼ですがお嬢様は無駄にディナーをお召し上がりなっています」
麗子を小馬鹿にする影山のモノ言いもお約束である。
気になるのはこの最終話のタイトル。
もうこれでおしまいというわけであろうか。

何が面白いと言われてもうまく説明はできない。
東野圭吾のガリレオのような唸らせられる推理が出てくるわけでもない。
抱腹絶倒のコメディというわけでもない。
だが、どこがと説明できぬ面白さが、この本にはある。
これで終わりとなると、ちょっと寂しいものがある。

テレビドラマの方はまったく観ていないが、本はこれからも読んでいきたい。
リラックスして読めるこのシリーズは、東野圭吾とはまた違った面白さがある。
できればまだまだ続けてほしいシリーズである・・・

    
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2012年08月07日

【謎解きはディナーのあとでA】東川篤哉



第一話 アリバイをご所望でございますか
第二話 殺しの際は帽子をお忘れなく
第三話 殺意のパーティにようこそ
第四話 聖なる夜に密室はいかが
第五話 髪は殺人犯の命でございます
第六話 完全な密室などございません

「謎解きはディナーのあとで」シリーズの第2巻。
身分を隠して国立警察署に勤務する宝生グループの令嬢麗子。
そして上司である風祭モータース御曹司の風祭警部。
そして麗子に影のように付き添う執事兼運転手の影山。
前作からのメンバーそのままで今回も事件に遭遇する。

パターンは大概同じ。
事件現場に駆けつけた風祭警部と宝生麗子のお決まりのやり取り。
風祭警部のとんちんかんな推理を宝生麗子が軽くいなす。
それにしても、どうして風祭は警部になれたのだろうか、とふと思うも、「でないと盛り上がらないから」という簡単な結論に落ち着く。

家に帰って豪華なディナーのあと、くつろぎながら宝生麗子は謎に包まれた事件のあらましを執事の影山に語って聞かせる。
すると影山がたちどころに事件の真相を推理してしまうのである。
毎度おなじみのパターンで、推理自体も感心するほどのものではないが、このライトタッチの雰囲気が、心地良さを感じさせてくれる。

推理自体はそれほどのものではない。
東野圭吾などとは比べ物にならない。
それでもディナーのあとの一時に(お金持ちのお嬢様ゆえにディナーなのである)、ちょっと聞いただけでそこまで推理できるか、と突っ込みを入れたくなってしまうのであるが、それを許したくなる柔らかい雰囲気がある。
むしろ、それほど精緻に事件を語れる麗子の解説能力の方が凄い気がする。

今回の事件もおきまりのパターンを踏襲。
しかしながら、第三話は旧友たちとのパーティ会場での出来事で、人は死なない。
いつもいつも殺人事件ではなく、こういう趣向もいい感じだ。
しかし、第六話は風祭警部が最後にどうして出て来たのか理解できなかった。
なんとなくもやもやが残ってしまった。
わかった人がいたら教えてもらいたい気がする。

気軽に読めるライトテイストのストーリー。
リラックスして読むにはちょうどいい。
コメディとミステリーが絶妙にブレンドされて、良い味わいのシリーズである。

     
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2012年05月07日

【謎解きはディナーのあとで】東川篤哉



第1話 殺人現場では靴をお脱ぎ下さい
第2話 殺しのワインはいかがでしょう
第3話 綺麗な薔薇には殺意がございます
第4話 花嫁は密室の中でございます
第5話 二股にはお気をつけください
第6話 死者からの伝言をどうぞ

小学校6年の娘が面白いと夢中になって読んでいたのを、ちょっと借りて読んでみた本。
最近ドラマ化もされている。
本屋の店頭では山積みになっているのをよく見かけたし、地元の図書館では予約数1を誇っている。
そういう本は取りあえず読んでみる主義である。

登場人物は、国立署の警察官である宝生麗子と、彼の上司風祭警部。
風祭警部は中堅自動車メーカーである風祭モータースの御曹司で、事件現場には愛車のシルバーメタリックのジャガーで駆けつける。
一応エリートなのだが、とんちんかんな言動で、部下の宝生麗子を煩わせている。
その宝生麗子は知る人ぞ知る宝生グループの令嬢で、なぜか刑事などをやっている。
言ってみれば、「こち亀」の中川圭一と秋本麗子のようなものであると言えるかもしれないが、お金持ちと御曹司とご令嬢というコンビはネタにしやすいもかもしれない。

さて、ご令嬢には執事兼運転手がついている。
この男影山が、実は物語の重要なプレーヤー。
仕事で家に帰った宝生麗子が、その日の事件について影山に語って聞かせる。
するとそれだけで、影山はスラスラと事件の真相を推理していく。
事件はそれで解決する、というのがこの物語の大筋のストーリーである。

毎回の影山と宝生麗子のやり取り。
雇い主のご令嬢を小バカにした言動が、子供たちにウケル要素かもしれない。
そして、それ以上にとんちんかんな風祭警部の存在が、コメディタッチで加わっていく。
推理自体は至極単純で、とても東野圭吾あたりのミステリーには太刀打ちできるものではない。
しかしながら、読んでいくうちに、これはこれで心地良さのようなものを感じてくる。

各章のタイトルの語調は、執事兼運転手の影山を意識しているものだろう。
影山の推理にも突っ込み所はあるのだが、それで良いのだという有無を言わせぬ雰囲気は、この語調にあるとも言える。
娘はすでに2巻に手をつけている。
付き合って読んでみるのも悪くないかもなと、思わせられる一冊である。

     
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