2017年10月31日

【きみが来た場所 Where are you from? Where are you going?】喜多川泰



昭和五十一年夏
序章 平成二十三年夏
Candy
大波にのまれる小舟 昭和二十年七月
振り子
覚悟 昭和二十年九月
受け入れよう
愛するものがいればこそ 昭和二十年七月
鏡に映る自分
出会い 昭和二十五年
集中
確率 昭和四十四年
原因と結果
希望の塊 昭和四十五年
大切にするから
二つの使命
再会
Another story別の物語の始まり 平成二十九年一月

これまでも何冊か読んでいて、そのテイストが気に入っている喜多川泰の本をまた一冊。ちょっと不思議系の入る物語である。冒頭に家系図が載っていて、最初は意味がよくわからなかったが、読み終えてから改めて見るとその意味もよくわかって感慨もある。最後に乗せてくれていてもよかった気もする。

主人公は、塾を経営している松本秀平。大手自動車メーカーを退職して、自らの理想を体現する塾を開業するも、なかなか生徒が増えずに苦戦している。妻の涼子は、塾の運営を手伝おうとしていたが、2人目の子供を身ごもって断念。秀平の負担を減らすべく、秀平の実家で産む決意をして一時的に家を出て行く。

1人残された秀平は、ある日いつものホームで入ったコンビニで違和感を覚える。普通のコンビニとも異なる雰囲気で、和服姿の女性が応対し、そこで「ルーツキャンディ」という商品名の飴を買う。電車に乗り込むとその飴を口に入れる。すると昭和20年7月の朝鮮半島でのある家族の物語を体験することとなる。敗戦濃厚となる中で、一家の大黒柱である義雄は、家族を連れて清津へと向かっている。しかし、内地への船には乗れず、諦めて平壌に戻るも身重の妻は移動が負担となったのか母子ともに亡くなってしまう・・・

目が覚めた秀平は、あまりにもリアルな夢に驚き、そしてそれが自分の祖父の体験したことだと気がつく。さらにもう一度同じ体験をし、秀平はどうやら不思議な飴を舐めると祖父や父らの過去を疑似体験できることがわかってくる。塾の経営は困難で、家族を抱えて不安に押しつぶされそうな日々を送る秀平は、こうして飴を舐めては父や祖父たちの過去を体験する。それは困難に満ちた日々であった。

一種のタイムトラベルものだが、飴を舐めることによって父親や祖父の経験を夢で見ることができるという発想が面白い。特に祖父は激動の戦中を生き、家族とも死に別れ、そしてギリギリのところで生き別れるところを回避したりして生き延びている。父もそういう貧しい環境で育ち、高度成長期の日本で母と知り合い苦労をしながら秀平を育てていた。そういう親たちの姿から、秀平は何かを学んで行く・・・

人は誰もが自分の苦労は世界で一番大変なような気になるというもの。理想に燃えて大企業の安定した職を捨てて塾を開業した秀平もまた然り。困難の連続に心が折れそうになっている。しかし、当然ながら世の中にはもっと大変な思いをしている人もいるわけで、それが自分の身近な家族であればなおさら言い訳はできなくなる。そんなメッセージが心に響いてくる物語である。

考えてみれば自分の父親も田舎から中学を卒業してすぐに上京して住み込みで働き始めているし、その苦労は今の自分の比ではないと思う。「もっと大変な思いをしてきた人たちがいる」という事実は、何より自分が頑張ろうというモチベーションになる。本を読みながら自分もいつの間にか父親の話を思い出していた。

例によって時折胸が熱くなることしばしば。電車の中で読む時は要注意である。そして物語の根底に流れるエールに力づけられる。
この人の本は、本当に読む価値があると思う。読んで元気になることができる。できることなら子供にも読ませたいが、そういう気持ちが伝わるだろうかと思ってみる。生きるのが大変だと感じている若者なら、読んで見るべき一冊だと言える。

また他の著書も読んでみたいと思わされる一冊である・・・



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2017年10月04日

【見えない糸−物乞いの少年とキャリアウーマンの小さな奇跡の物語−】ローラ・シュロフ



原題:an INVISIVLE THREAD
1. 物乞い
2. 出会い
3. 一度だけ、チャンスをください
4. 誕生日プレゼント
5. 切り刻まれたグローブ
6. 友だちの約束
7. 母の歌
8. 悪い夢
9. 茶色の紙袋
10. 大きな食卓
11. 大人になった日
12. はじめてのクリスマス
13. ほろ苦い奇跡
14. レシピが教えてくれること
15. 新しい自転車
16. 予想外のひとこと
17. 暗い森
18. 最後の試験
19. 人生最高の贈り物
エピローグ モーリスより愛を込めて

これはある白人の女性と貧しい黒人の子供との交流を描いた物語。小説なのかと思っていたら、実話を描いたものだと言う。

主人公の女性はUSAトゥデイの広告営業担当重役を務めるローラ・シュロフ。ある日、ニューヨークはマンハッタンの街角で1人の黒人の少年から声をかけられる。
「すみません、小銭ありますか?」
それは決して釣り銭に困っていたわけではなく、小銭でもいいからもらおうと言う物乞いの言葉。ローラは一旦は無視して歩き去るが、何かがローラの足を止め引き返させる。そしてローラはモーリスと名乗ったその少年にマクドナルドのハンバーガーを奢る。

なんとなく別れがたく、ローラはさらにハーゲンダッツを奢り、モーリスのリクエストに答えてゲームセンターで遊ばせる。こうして不思議な出会いをしたローラと11歳のモーリス。その後、なんとなくモーリスが気になったローラは、再びモーリスと出会った場所へ行き、そしてモーリスと再会する。またハンバーガーを食べ、そしてそれから毎週月曜日に会う約束をする。こうしてローラとモーリスの奇妙な関係は毎週続くことになる。

合間に語られるのは、ローラとモーリスの境遇。ローラも決して裕福な家庭で育ったわけではなく、むしろ中流だが、しかし父親が酒乱という問題を抱えたところであった。父親の暴力に怯えて母と兄弟姉妹と少女時代を過ごす。そして航空会社に勤めたいという希望を持ちながら、努力して現在の地位を築いている。なかなかの苦労人である。

一方のモーリスは悲惨な生い立ち。祖母と母とがいるが、周りの人間は皆薬物中毒。定職についている者は皆無。狭いアパートに何人もの人々が生活している。まともな食べ物などなく、物乞いをして食いつないでいる。とりあえず学校へは行っているが、そうしないと行政からの支援が受けられないからである。抜け出すことのできない負の連鎖がそこにはある。

2人が出会った1980年代のニューヨークは、「ホームレスと物乞いは自転車に乗った子供や乳母車を押す母親と同じくらい見慣れた風景だった」状態だという。今でも格差が問題になっているが、当時既にそういう格差がありふれていたということなのだろう。薬物依存症でアルコール依存症の父親は、モーリスに暴力を振るおうとして制止に入った母親に刺されて家を出て行く、一緒に殴られた妹は鼓膜が破れるという壮絶な生活環境でモーリスは育っている。

そんな環境下にあって、モーリスは薬物とも犯罪ともギリギリのところで関わり合うことなく成長し、まともな仕事につき、結婚して家族をつくる。それもこれもローラとの出会いの結果である。それがなければ間違いなく、薬物をやり犯罪にも手を染めていたであろう。ローラがなぜモーリスと関わり、手を差し伸べたのか。それは慈悲ではなく、自分自身の育った環境の影響もあったのかもしれない。

モーリスとの関係は、モーリスだけではなくローラ自身にもまた必要なものだったと本人は語る。多分、そうなのだろう。そのほんのささやかな出会いが、これほど人の人生を変えるものなのだということがよくわかる。単に「良いことをした」ということに止まらない物語である。ストーリーとともに、いろいろと考えさせてくれる一冊である・・・



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2017年09月22日

【自分を鍛える! 「知的トレーニング」生活の方法】ジョン・トッド



原題:TODO’S SELF-IMPROVEMENT MANUAL
プロローグ ものを「考える頭」には限界がない 
第1章  いい習慣≠作れば疲れないで生きられる!
第2章  集中力・記憶力が格段にアップする「短期決戦」法!
第3章  緻密な頭を作るための読書法!
第4章  こうすれば自分の「持ち時間」が最大限に生きてくる!
第5章  一目置かれる人の「話し方・交際術」
第6章  頭・体・気力を鍛える一番の方法
エピローグ あなたも自分の壁≠破れる!

著者は約200年前のアメリカの牧師・著作家であるという。そして当時、アメリカで大ベストセラーとなった自己啓発書が本書であるという。そんな昔の自己啓発書が今も再販され続けているというのは、それだけ中身も濃いと言えることなのかもしれない。そんな興味から手にした一冊。

この本は、新しい希望に満ちた国として進取の気分と宗教的・道徳的な信念が1番支配的だった時代のアメリカで書かれたという背景があると解説はいう。「先人のいいところを学ぶ、それが一番簡単な自己実現法」とするが、それは事実だろう。

中身を読んでいくと、なるほどその通りという言葉が続く。
1. ひたすら努力することをせずして、決して人より抜きんでることはできない
2. 人間の偉大な業績というのは、ささやかな、しかし継続した努力の賜物
3. 謙虚な人の方が、生意気な人間よりも同胞からはるかに思いやりや善意を受けやすい
「努力」も「謙虚」も現代でも重要ワードである。

習慣については力を入れて説明されている。
1. 習慣は第二の天性なり
2. 同じこと、同じ仕事を毎日同じ時間に繰り返すようにする
3. ただひたすら毎日、例外なく規則的に繰り返して入れば楽しいものになる
4. 今日できることを明日に延ばすのが習慣になると、将来性ある優れた計画を台無しにしてしまう
聖書を完訳したマルティン・ルターは、「毎日一節も訳さない日は1日もない」と語ったが、その偉業はこの勤勉な習慣によってなされたものである。

その他にも自分で大事にしたいと思うような教えが続く。
1. 時間厳守
2. 早寝早起き
3. 「速く行う」より「入念に行う」
4. 自分置かれている境遇に満足するようにする
5. 相手の欠点を注意するのが友情と思ったら大間違い
6. 10冊のななめ読みより1冊の本を徹底的にマスターする
7. 復習の積み重ねは信じられないほど効果的な進歩を生み出す

特に読書については入念である。
1. 読書は充実した人間をつくり、会話は機転の利く人間をつくり、執筆は緻密な人間をつくる(ベーコン)
2. 読書は精神の糧
3. 読書によって成長しようと考えているなら、まず丁寧に読む。量より質
4. 読みながら考え、読み終えてからも考える。読書にかけた時間の1/4を考察に充てる
5. 人に語ることで、その本のエッセンスは確実にものにできる

まだまだ続く。
1. 時間に強欲になることは一番の善徳
2. 毎日少しずつやることが大切
3. 中傷は必ず自分の元へ返ってくる
4. 妬みを買うような話は避ける
5. 人と話をする時は明るく振舞うこと
6. 冷たい刃ほど切れる(冷静な議論ほど効果的)
7. たとえ少しでも繰り返し≠ノ優る自己鍛錬法はない

一見、当たり前のように言われていることが多いが、考えてみればそれはこの本が歴史の評価に耐えてきたからこそなのかもしれない。当時は新鮮で、その後広まって今では当たり前のようになってしまったということなのかもしれない。自分自身、今心掛けていることも入っており、それはそれでこれからも続けたいと思う。改めて意識するには、いいきっかけとなった一冊である・・・



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2017年07月28日

【ダメなときほど「言葉」を磨こう】萩本欽一



第1章 どんな逆境も言葉の力で切り抜けられる
第2章 子育てこそ言葉が命
第3章 辛い経験が優しい言葉を育む
第4章 仕事がうまくいくかは言葉次第!
第5章 言葉を大切にしない社会には大きな災いがやって来る
第6章 言葉の選び方で人生の終着点は大きく変わる

欽ちゃんの本はすでに2冊読んでいる(『負けるが勝ち、勝ち、勝ち! 「運のいい人」になる絶対法則』『ダメなやつほどダメじゃない』萩本欽一))。いずれも読んで共感できる部分が多く、また今まで知らなかった欽ちゃんの人柄に触れるところもあり、そのテイストが気に入っていたため、改めてもう一冊と手を出した次第。

前2冊が、「運」を1つのキーワードとしていたのに対し、この本は欽ちゃんが「運」だけでなくもうひとつ大切にしてきたものとしての「言葉」にスポットライトを当てている。「良い言葉には幸運を手繰り寄せたり人生を好転させる力がある」とするが、自分自身、小学生の頃から名言の類をメモってきた経緯もあって、素直に頷ける部分である。そして冒頭から良い言葉が並ぶ。

「人を説得したいときはあえて一歩引く言葉を」
会社で議論することの多い私としては、「はっ」とさせられる言葉である。力づくで説得しようと言葉を尽くしても、人はなかなか説得できないものである。
「迷ったら『遠い』と『辛い』を選ぶ」
物理的な距離や心理的なハードルがあったり、ちょっと大変かなという方を選ぶとするが、これはなかなか大変であるが、その通りなのだろうことは間違いないと思う。

「苦労は工労と思え」
これはモノは考えようの良い例だと思う。
「オンリーワンより少ない中でナンバーワンになる」
大企業から中小企業に転身した自分としては、痛いくらいに共感できる言葉である。

「不幸な出来事を不幸な言葉で語らない」
「喜びは短く、悲しみも短く」
「決められたことをより少しだけ多くやるのが『努力』」
「交渉事は自分の利益より相手の気分が良くなる言葉を」
短いながらも、実に含蓄のある言葉が続く。

一言ではないが、オリンピックについての意見には考えさせられるものがあった。
「オリンピックで大事なことって、そもそも競技を楽しむこと。それを経済効果とか復興アピールとかいろいろなものと関連付けて本来の精神を忘れている気がする」
言われてみればその通り。こういう感覚というのは自分自身もしっかり持ちたいと思う。

「みんなが右を向いていたら左を向こう。だってみんなが集まっているところには運がない」
アマノジャッキーな私としては、当然左を向くが、それを「運」という考え方を理由にしているのは欽ちゃんらしい。
「思考が言葉を変えるように、言葉もまた思考や行動を変えて行く」
まさにその通りだと思う。

過去読んだ2冊と同様、この本にも欽ちゃんならではの優しさが溢れている。読んでいて勇気付けられること、しばしばである。やはり言葉って大事だと改めて思う。
そう認識するとともに、「欽ちゃん本」にますます惹かれて行くところがある。まだまだ読んでいない本もあるし、次のを早く手にしたいと思わされる一冊である・・・



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2016年04月03日

【株式会社タイムカプセル社-十年前からやってきた使者-】喜多川泰



・株式会社タイムカプセル社
・嶋明日香@大阪・心斎橋
・重田樹@東京・原宿
・森川桜@北海道・苫小牧
・芹沢将志@NY・Manhattan
・波田山一樹@東京・国分寺
・その先の光
・再スタート

著者の本は近年集中して読んでいる。
『書斎の鍵-父が残した「人生の奇跡」』『賢者の書』『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』である。
なんとなくビジネス書っぽいのであるが、教訓めいていてそれでいてちょっと心にじんわりと響いてくるという内容の物語が多く、はっきり言って心地よい。
この本も迷わず読もうと思ったのは、そんな実績があるからに他ならない。

タイトルを見て、なんだかタイムマシン系の物語かと思っていたが、実はそうではない。
株式会社タイムカプセル社とは、学校行事などでよくやるタイムカプセルについて、中のものを指定された時に届けるということをビジネスとしている会社ということである。
社会人も経歴が長くなってくると、「そんな事業採算に合うのか」などとすぐ考えてしまうが、そんな疑問を見越してか、そこはきちんと回答を与えてくれる。

主人公は、どうやら事業に失敗し、妻子にも去られた中年男の新井英雄。
心機一転再就職の面接に訪れたのがタイムカプセル社。
あっさりと採用された新井は、年下の上司内川海人の下で働くことになる。
タイムカプセル社に依頼された中で、本人宛に届かない手紙を届けるのが初仕事。

10年前に中学校の卒業記念として「10年後の自分」に宛てた手紙のうち、宛先不明で郵便配達できないもの5通。
内川と新井はともに5人を訪ねる出張に出る。
「10年前からやってきた使者」というから勘違いしてしまったのであるが、要は10年前の自分からの手紙なのである。

年を取ってからの10年と、若い頃の10年とではその変化の大きさで大きく異なる。
最初の届け先である25歳の嶋明日香も、彼氏と別れ人生の目標を失って友達の部屋に居候し、バイトで日々食いつないでいる。
そこへ届けられた10年前の自分からの手紙。
そこには無邪気に自分の明るい未来を信じ、夢を語る15歳の少女がいる。

誰でも似たような経験はあるかもしれない。
あるいは大概の人は、15歳の自分が考えていたことなど忘れてしまっているかもしれない。
月日が経つうちに、壁に当たったり、人間関係に悩んだり、ままならない諸々にいつの間にか気持ちが変わっていってしまうという事はよくある事だろう。
そんな時、無邪気に未来を信じていた過去の自分の姿は、忘れていたものを思い返させてくれる。

自分はどうだっただろうと考えてみる。
こうしたタイムカプセルこそないものの、日記を書いているから、15年くらいは遡れる。
さすがに人生も中盤戦になった頃だったので、この本の登場人物たちのような劇的な変化はないが、やっぱり心に感じる事は多い。
いい所に題材を見つけたものだと思わざるをえない。

人生もすでに後半戦。
そしてその先には終盤戦も控えている。
自分はどんな未来を描き、日々を暮らしていくのか、ちょっと考えてみるのもいいかもしれないと思った。
そこに波乱万丈は求めないが、こうありたいと思うことを今の日記に綴っておこうかと思う。

やっぱり、読んで損はない。
これからも著者のことは、「迷わず手に取りたい作家」としてみていきたいと思わせられる一冊である・・・

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2015年11月10日

【書斎の鍵-父が遺した「人生の奇跡」】喜多川泰



遺言状
聖域
右手の秘密
乗り越えるべき試練
心の鍵
書斎のすすめ
 序章 なぜ心もお風呂に入らないの?
 第1の扉 書斎では「心の汚れ」を洗い流す 
 第2の扉 「人生の方針」は書斎で見つかる
 第3の扉 書斎で裸の自分と語り合う  
 第4の扉 読書で「運命の人」と出会える 
 第5の扉 書斎で「生きる力」が磨かれる  
 第6の扉 ブックルネッサンスで世の中が変わる 
エピローグ 最初の涙

著者は、すでに 『賢者の書』及び 『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』を読んでいる喜多川泰。
シンプルなストーリーながら、心に温かいメッセージが残って、個人的にとても気に入っている作家である。
タイトルからして、また期待して手に取った次第である。

物語の舞台は、2055年。
なんと40年後の未来。
されど、それはあまり物語には関係がない。
若干、今と違う社会であり、今よりちょっと進んだデバイスを使っているという程度。
あくまでも人間ドラマが(それも設定が現代でも全く違和感のない)主軸である。

主人公はある会社の営業課長の前田公平。
父が亡くなり、休暇をとって実家に帰省するところから物語は始まる。
公平は、生前父とはソリが合わず反発するばかりで、それがゆえに、「本を読め」という父の教えに反抗し、本を読まない人生を送っていた。
就職早々事故で研究職を断念し、営業職に就いていた公平は、いつもどこか引け目を感じ、営業の成績も今ひとつ。
そしてそれを事故の後遺症で動かなくなった右手を理由にしていた。

実家に帰れば、父は公平に遺言を残していた。
それによると、「離れ」にある書斎の鍵をしかるべき人に預けたので、その人物を探せというもの。
読書家だった父の書斎に興味は沸かなかったものの、行きがかり上探し始める公平。
手がかりは離れに置いてあった本。
こうして公平の探索が始まる。

例によって、興味深いストーリーが始まる。
そして随所に散りばめられた言葉。
「公平、心配するな。人生で手に入るものは才能で決まっているわけじゃない」
「他人の考え方を否定することなんてできるはずもない。自分の意見と他人の意見が違っているからといって、どちらかが絶対的に正しいなんてことはありえない」
「人間の行動は心に左右される以上、この『心の習慣』をよくしない限り、より良い人生になることはない。」

物語の中に、「書斎のすすめ」という一冊の本が登場する。
そしてこの本の内容になると、その部分のページの紙質が変わる。
そのメッセージは様々で、皆なるほどと思うものばかり。
(読書)習慣が人を磨く。
志があればどんなことでも楽しい。
感じ方次第で、何事もない1日も夢のような1日に変わる。
心を磨けばその人の周りにある全てが輝き出す。
あなたが幸せであることが誰かを幸せにしている。

時に目頭が熱くなり、電車の中で読むのは注意が必要。
シンプルだが、心に響く物語が展開され、そしていつの間にか読書がもたらす人生の恩恵が伝えられる。
この方の作品は、やはり読まない手はないと思わずにはいられない。
まだ他にも読んでいない作品がある。
また次の本も読んでみたいと、素直に思わせられる作家である・・・

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2015年08月30日

【巨大な夢をかなえる方法】



ジェフ・ベゾス
ラリー・ペイジ
ジェリー・ヤン
ディック・コストロ
ジャック・マー
シェリル・サンドバーグ
イーロン・マスク
トム・ハンクス
メリル・ストリープ
マーティン・スコセッシ
チャールズ・マンガー

サブタイトルに「世界を変えた12人の卒業式スピーチ」とある通り、これはアメリカの各大学で行われた卒業式における著名人のスピーチ集である。
アメリカの大学の卒業式は、かなり大がかりなイベントのようで、卒業生本人はもとより、家族も揃って参加するもののようである。
そしてそこでゲストとして招かれた人のスピーチが、注目されているようである。

そんな卒業式での著名人のスピーチを集めたのがこの本。
ビジネス界を中心に映画界の著名人が登場する。
卒業式のスピーチと言えば、かつてスティーブ・ジョブスが行ったスタンフォード大学でのスピーチがあまりにも有名だ。
その内容は、これから社会へ羽ばたこうとしている若者以外にもインパクトのあるものだった。
そんなことが記憶にあって、期待をこめて手にした一冊である。

最初に登場するのは、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス。
子供の頃、祖母をやり込めてしまったエピソードから、知識を振り回せば良いということではないという事を語り、そしてニューヨークで金融機関に勤めている時に、アマゾンのアイディアを思いついたことを語る。
たぶん高給取りだったのだろうが、そのアイディアに賭けて起業する。
こういう思い切ったことは、特に日本人には躊躇する人が多いかもしれない。

アリババグループの創業者ジャック・マーも、失敗を恐れてはいけないと語る。
「冒険には失敗がつきもの」
「人生は何かを達成するためではなく、何かを経験するためにある」
冒険せずに成功などありえないということは、よく理解できる。

アリババは、ビジネスがうまくいっている時にあえてビジネスモデルを破壊するということをしてきたらしい。
「屋根を直すとしたら、日が照っているうちに限る」という言葉は説得力がある。
・根気強く努力を続ける
・常に楽観的に考える
・変化を歓迎する
そんなメッセージは自分にも当てはまる。

サルマン・カーンの話は若者にはいいだろう。
自分の50年後を想像してもらう。
死を前にして人生を振り返る。
成功したこと、そしてやっておけば良かったと思う事。
そこにランプの魔人が現れ、50年前に戻してやると言う。
希望に満ちて社会に出ようとしている瞬間に戻れるならと想像する。
そして今がその瞬間だと語るのであるが、自分もそんな想像をしてみたいと思ってしまった。
80歳の自分から見たら、今の自分にもまだまだ可能性があるだろう。

たぶんスピーチはたくさんあると思うし、ここに採り上げられているのはその中でも選りすぐりのものだと思う。
だけど全部が全部良かったというわけではない。
トム・ハンクスやメリル・ストリープのは、あまり心に響かなかった。
まぁ実際に聞くのと読むのとはまた違うし、人それぞれの経験によっても響き方は違うだろう。
自分に合ったものを探してみるのもいいかもしれない。

自分だったらどんなスピーチをするだろう。
著名人でも成功者でもないが、その時語る言葉が持てるようにこれからも行動したいと思う。
そういう意識になれた一冊である・・・

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2014年01月08日

【置かれた場所で咲きなさい】渡辺和子



第1章 自分自身に語りかける
第2章 明日に向かって生きる
第3章 美しく老いる
第4章 愛するということ

著者は、ノートルダム清心学園理事長。
大学卒業後、ノートルダム修道女会に入り、アメリカに派遣されたという経歴を持つクリスチャンである。
そのためか、この本の内容は、キリスト教精神に満ち溢れている。

タイトルは、著者が若い頃、未知の岡山に学長として赴任して苦労し、自信喪失していた時に、一人の宣教師から渡された英語の詩から来ている。
この詩によって救われ、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせようと決心する事ができたという。
確かに、置かれた境遇を嘆いてみても始らないのは事実である。

ページをめくると、短いフレーズと解説。
一つ一つがキリスト教精神に彩られた言葉から成っている。
自分の心にヒットするものを探してみるのも良いかもしれない。

「苦しい峠でも必ず下り坂になる」
神は力に余る試練を与えないという説明が続く。
自分もそうであるが、今試練を抱えている人にとっては、慰められる言葉である。
「不平を言う前に自分から動く」
ちょっと暗いからと不平を言うよりも、自分から進んであかりをつける。
昔は蛍雪を頼りに本を読み勉強をしていたものであるが、それに比べればちょっと暗いとすぐ不平を言う。
なるほどと思う。

「人に恥じない生き方は心を輝かせる」
「親の価値観が子供の価値観を作る」
「子供は親や教師の『言う通り』にならないが、『する通り』になる」
なかなか深い言葉であり、親としては肝に銘じたい。

「順風満帆な人生などない」
「人生にポッカリ空いた穴からこれまで見えなかったものが見えてくる」
「時間の使い方は、そのまま命の使い方になる」
「自分のいのちに意味を与えることで、苦しい状況でも生きていく事ができる」

「あいさつは『あなたは大切な人』と伝える最良の手段」
「日々遭遇する小さな苦しみを笑顔で受けとめ、祈りの花束にして神にささげたい」
嫌な事でも笑顔で耐えれば、それによって神様に魂を一つ救ってもらうというマザー・テレサの言葉を言い伝えるものである。

こうした言葉の数々は、クリスチャンであろうとなかろうと、己に役立てられるものだと思う。
この手の言葉は読む人の置かれた状況によって、心に響く言葉も違ってくるかもしれない。
一度は一通り読んで心を清めるのに良いかもしれない。

薄い本でもあり、一読して損はないと思う・・・

    
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2013年12月22日

【探そう!ニッポン人の忘れもの】



1章 ふれ合い
2章 おおらかさ
3章 感謝の言葉
4章 心のこり
5章 ひたむきさ
6章 あのときの風景

著者の名前を確認しようと思ってみたら、名前がない。
ふしぎに思って中を見てみると、ずらりとさまざまな人の文章が並ぶ。
テレビ番組「めざましテレビ」、「とくダネ!」の呼び掛けに2,640通もの応募があり、その中から厳選された作品が本作に納められているというわけである。

一人400字詰め原稿用紙一枚という制約の中で、さまざまな人の想いが綴られている。
思い出の形は人それぞれ。
落とし物であったり、おつかいであったり、家族のあつまるこたつであったり。
普通の人には何でもない物が、その人にとっては、忘れ得ぬ思い出であったりする。

間違えて乗ってしまった急行電車。
困っていたら、本来の停車駅ではない駅で30秒だけ停車して留まってくれた車掌さん。
今、問題を起こしているJR北海道だが、もうそんな事はどこでもやってくれない気がする。
古き良き時代の良い雰囲気が読む者にも伝わってくる。

3歳か4歳で、妹と二人だけで遊んでいて、いつの間にか家から遠く離れてしまい泣いていた姉妹。
見かねたおばさんが寄ってきて、持っていたボールの住所から家まで送ってくれる。
我が家を見ても、ご近所でもまず子供だけで遊ばせていないと思うと、あの頃は良い時代だったのだろうかと思ってしまう。

深夜の事件連絡をした警察官。
かける相手を間違えてしまったが、電話に出た見知らぬご婦人は恐縮して謝る警察官に、「こんな時間に働いていただいてありがとうございます」と返答したという。
自分もかくありたいと思わせられるエピソードである。

実にあっという間に読めてしまう本であるが、自らのエピソードに重ね合わせて読んでみるといいかもしれない。
心密かに自分の原稿を書いてみるのも面白いのではないかと思ってみた一冊である・・・
   
    
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2012年08月05日

【仕事が夢と感動であふれる5つの物語】福島正伸



著者は経歴を読んでも漠然としていてよくわからないが、他人の成功を応援することを生きがいとしている方のようである。
各地で公演活動を行い、そしてその中で出会った方々の5つの話を中心にしたのが本書である。

最初の話は、倒産した乗馬クラブで引き取り手のない馬車馬を引き取った女性の話。
周りの誰もが無謀と言う中、引き取られなければ処分するだけという運命の馬を引き取り、執念で事業へと結びつけていく。
2つ目は家族に支えられて、飲食事業で成功に至った日本一のパパの話。
3つ目は毎日一つずつ元気になる言葉を紹介し、職場に明るさと成功をもたらした部長の話。
4つ目は神輿担ぎで気難しいご近所さんの心を動かして、地域に溶け込んだ飲食店店長の話。
5つ目は存続の危機に立たされた鉄道を、周囲に菜の花を植える事で菜の花鉄道として復活させた人の話。

以前読んだ同じ著者の【どんな仕事も楽しくなる3つの物語】は読みながらウルウルしてしまったが、この本に納められている5つの話も似たようなところがある。
この手の話が好きな向きにはそれだけで満足かもしれない。

この本の、というより著者が継続して発信しているメッセージは、「叶えられない夢はない」という事。
どんな夢でもやれる事をすべてやれば、すべてやり尽くす前に実現してしまうと言う。
本書に添付されている講演を納めたCDでも述べられているが、なかなか耳の痛い言葉である。

「夢」などと大きく構えてしまうとなかなか手の出しにくいところもあるかもしれないが、「身の周りで取りあえずやってみたい事」と置き換えてみれば案外可能になっていくのかもしれない。
5つの話はどれも普通の人ではできないような事を一発で実現したわけではなく、諦めずにやり続けた事が成果に結びついている。
凡人にも可能性を示してくれている。
そういう意味で元気の出る一冊と言えるかもしれない・・・



   
posted by HH at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 良い話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする