2020年01月07日

【「開成×灘式」思春期男子を伸ばすコツ】柳沢 幸雄/和田 孫博 読書日記1109




《目次》
第1章 学校
第2章 勉強
第3章 人間関係
第4章 大学受験
第5章 家庭生活
第6章〈対談〉ギフト(天賦の才)を伸ばす教育とは?

 世の親の常であるように、私も子どもの教育には関心を持っていて、この手の本のタイトルを見れば一読してみようという気になるというもの。開成と灘という東西の名門高校の校長先生に25の質問をしてそれぞれについて回答してもらおうというもの。なかなか面白い試みであると思う。開成も灘も「戦前からの伝統校」「私立中高一貫男子校」「校風が自由」「東大に毎年多数の合格者を輩出」という共通点がある。両校の校風を知るという興味も持てる本である。

 東京大学に毎年多数の合格者を輩出していると言っても、何か特別のものがあるのでもないようである(謙遜なのか本当のところはわからない)。特にガリ勉ばかりというわけでもなく、開成は「自立と自律」を備えた大人へと育つ学校だとしている。灘はあえて放任主義をとっていて、制服もない。制服がないとなると、毎日何を着て行くか考えるのが面倒な気がする。しかし、服選びは子どもにさせるべしとする。全部親が用意すると、それは制服があるのと同じだとする。なるほどである。

 中高一貫校ってどうなのかと個人的には思う。受験という試練が自分にはいい経験だっただけに、疑問に思うところである。しかし、担任団が6年間持ち上がりで受け持つため、特定の担任と生徒が一対一の関係になりにくく、相性が悪くて苦労することがないとする。そのあたりは「そういうこともある」という程度だろうか。それでも高校入試が一応あって、「外の空気」が入る仕組みもあるらしい。

 流石に校長先生だけあって、教育について大いに頷かせられる考え方が随所にある。
 1. 成績が悪いからと部活をやめさせたところで、空いた時間を勉強に使うわけがない
 2. 社会にセクハラ、パワハラがあるように、学校にもいじめがあるという前提で考える
 3. 部活なしで中高の青春時代を何に使うのか
 4. 親の想像力の中で子どもの幸せを縛らず、自由に選ばせる
 5. 親の夢、親の意向もあるだろうけれど、親は結局、諦めざるを得ない
 6. 英語は情報交換の道具、大事なのは論理の構造
 7. 母親にとって保護者同伴時代からの卒業の時、手本を見せて生活力を養う
 8. 保護者は名脇役、時には斬られ役・敵役
 9. 精力善用・自他共栄

 携帯電話やパソコンなど新しい情報ツールとの付き合い方については、闇雲に否定するのではなく、付き合い方を教えるというところは面白い。あるネット中傷被害を受けた芸能人の手記を授業でテキストとして使うことをしたらしい。もっともいけないのは「制限する」ことだと思うので、この試みはさすがだと思わされる。我が家の子供たちに対する指導という点で参考にしたいと思う。

 開成でも東大よりハーバード大を志望したりする生徒が出てきているらしい。これからの時代、こういう考え方も出てくるのだろう。そういう動きに対応しながらもそれがすべてでないという柔軟性も大事なのだろう。2人の校長先生の回答を読みながら、我が子に対してどういう対応を取るべきか、いろいろと考えるヒントとさせていただいた。特に母親に対して、男の子から子離れするべしという意見には大いに賛同した。妻にも是非とも読ませたい一冊である・・・


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2019年06月14日

【やる気と能力を120%引き出す奇跡の指導法】藤重 佳久 読書日記1040



《目次》
第1章  音楽は「自己表現」
第2章 「やる気」がすべてのエネルギー
第3章 「社会に通用する人間」を育てる
第4章 「指導者」としての考え方

 著者は、現在活水学院吹奏楽団音楽総監督。プロの演奏家から始めは福岡県の精華女子高校の吹奏楽顧問に転身し、全日本吹奏楽コンクール19回出場(うち金賞10回)、全日本マーチングコンテスト16回出場(全回金賞)という華々しい実績をあげて定年退職後に現職に転身し、赴任してすぐに全日本吹奏楽コンクールと全日本マーチングコンテストに初出場という実績を残している方。こういう方の指導理論というものには大変興味を惹かれるところである。

「音楽とは、演奏者の感性の中にある表現の元となるイメージが音となって表現されるもの」とする。その表現の始まりは「意思表示」であり、具体的には「あいさつ」だとする。「あいさつは心のキャッチボール」というが、こういう基本はシンプルであっても実に重要なのだろうと思う。演奏する曲には生徒に自分で歌詞をつけさせ自分の声で歌わせるという。これで正しい音程、リズム感を養えて、さらに作曲者が何を表現したいのかという洞察力を鍛えることにもなるらしい。

 音楽の技術的な指導もいいが、他のことにも応用がきく指導の方が参考になる。
1. 「いい音」を聞かせる
2. 生徒同士で教え合う文化
3. 目標 (「全国大会を目指す」)が人間を成長させる
4. 笑顔は心のビタミン
5. いい無理(自分から進んでやろうとしている無理)はしても良いが、悪い無理(やらされている無理)はしない

 指導者が何よりも初めにやらなければならないことは生徒の向上心を引き出すことだとする。音楽の究極的な表現は愛情の表現であり、思いやりが音楽の質に直結するという。それゆえに音楽の指導を通して生徒の人間力を養うのだとか。そして音楽の本質さえ見失わなければ「我流」を貫き続けてもブレることはないとする。こういう考え方だからこその実績なのだと思う。

 そのほかにも、
1. 「押し付ける」のではなく、「引き出す」
2. 1分あれば練習できる
3. 個人練習こそ個性を持たせる
4. 認める、褒める、励ます
5. 長期的な目標は立てず、目の前の目標を超える
6. 集中力、忍耐力、協調性と思いやり
 
 こうした考え方の根底にあるのは、「人間関係を築く上で大切なことは音楽にとってもやはり大切なこと」という考え方。これは音楽に限らず、広く当てはまるような気がする。

 結局、人を育て上げて一流にするということは、何であれその根底にある考え方は似たようなものなのかもしれない。技術だけではなく、その根底にあるものをしっかりと捉えるようにしたいものである。自分でも学び取れるものがあるように思える一冊である・・・


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2019年04月15日

【なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか】山本 崇雄 読書日記1017



《目次》
第1章 「教えない授業」とは何か
第2章 英語で実践する「教えない授業」
第3章 「教えない授業」への道のり
第4章 「教えない授業」は大学入試に通用するか
第5章 「教えない授業」が学校を変える
第6章 家庭での「教えない」教育
付記:先生が「教えてくれなかった」こと 佐澤真比呂 両国高校3年

 「教えない授業」とはよく考えれば矛盾した言葉であるように思う。なぜなら「授業」とは教え授けることであるはずだからである。しかし、そんな疑問も読み始めてすぐに解消される。「教えない授業」とは、「大人がマニュアルを作り、要領のいい生き方を教えるのではなく、「教えない」ことによって自立を促していく教育」であるとする。

 著者は高校の先生。震災の被災地を訪問した時、「人間にはゼロからスタートしなければならない時が来る」のだと実感。そこで「教師がいなくても学び続ける子どもたちを育てなければならない」と考えたのがスタートだと言う。そこから「教えない授業」を始めるが、中高一貫校のため、中一で始めた生徒たちが高校2年生になった時の修学旅行でその成果が現れる。

 生徒たちは自分たちで話し合い、旅行会社の担当者と直接交渉し、自分たちのプランを提案。旅行会社の担当者からの安易なアクティビティーの提案は拒否し、OBである京都大学教授と連絡を取って京都を回るプランを考えたという。そして著者は学年主任にも関わらず、この修学旅行では一度もマイクを持って生徒の前には立たず、その役目は生徒の修学旅行実行委員長が代行したという。なるほど素晴らしい。

 そんな「教えない授業」であるが、興味があるのはその方法。「教えない授業」を実現するための最適な学習スタイルは「アクティブ・ラーニング」だとする。そこでは教師の役割は「ファシリテーター」となる。初めは通常の講義をやり、後半にディスカッションなどを取り入れるのが最初の一歩としては良いらしい。これが定着して来ると生徒は自分で学習を進めることができるようになり、時間が足りなくて試験前に「試験範囲が終わらない」ということがなくなるそうである。

 これは多忙な教師を救うことにもなり、生徒間でもいじめや孤立がなくなるという。確かに先生が教えることをひたすら覚える授業はやっぱり苦痛である。自分たちで考えるようになれば、つまらなく思えた授業も印象が変わるかもしれない。例示されていることもなんだか面白そうである。
 1. 「問い」から始まる授業
 2. 辞書を使うことが自立への第一歩
 3. 文法の学び方を知る
 4. 仲間と協働して学ぶ
 5. 自分で問いをつくり出す
 6. 「問い」からさらなる「問い」を生み出す
一度授業風景を見てみたい気がする。 

 「教えない授業」は学校だけにとどまらないという。例えば遅刻をしてもそれを叱るのではなくその理由を聞く。遅刻した事実だけを捉えて叱っても問題解決にならないというのはその通りだと思う。家庭でも「勉強しなさい」を言わないことから始めるのだとか。その代わりに親が勉強している姿を子どもに見せるべきだとする。これには大いに納得させられる。自分も部屋にこもって勉強するだけでなく、その姿を我が子に見せるようにしようと思う。

 子どもに伝えたい4つのキーワードもなるほどと思わされる。
1. Forgiveの精神
2. プラスマイナスの法則 : ±のバランスを取る
3. 100回の法則 : 諦める前に100回は挑戦してみる
4. 習慣を変えるwith : 勉強するのが難しいと感じるなら何かをしながら勉強することから始めてみる

 子どものタイプもいろいろあるが、確かに真面目に黒板を書き写すだけではダメだと思う。特に社会人になると「言われたことだけやっていればいい」というタイプの人が実に多い。怒られないためには賢いやり方かもしれないが、それだといつまでたっても「指示待ち族」のままである。どうしたらいいのかと考えていたが、こうした学校での取り組みがまずその1つの答えであると思う。

 特に教育関係者の方に読んでいただきたい一冊である・・・



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2019年02月03日

【0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書】落合 陽一 読書日記996



《目次》
プロローグ 人生100年時代の「新しい学び方」とは
第1章 Q&A・幼児教育から生涯教育まで「なぜ学ばなければならないのか」
第2章 落合陽一はこう作られた・どんな教育を選び、どう進んで来たか、生成過程
第3章 学び方の実践例・「STEAM教育」時代に身につけておくべき4つの要素
エピローグ ライフスタイルとして楽しむ学びから生まれるイノベーション

 著者は、最近著作が立て続けに出ている感のある落合陽一。自分も著者の作品であると意識して手に取ったわけではないが、気がつくと『超AI時代の生存戦略<2040年代>シンギュラリティに備える34のリスト』『日本再興戦略』を読んでいた。ビジネス書はテーマで選ぶことが多いので、それだけタイムリーな内容を発表しているという風に理解している。

 そんな著者の作品だから選んだというよりも、これも内容で選んだ一冊。人生100年時代はいいのだが、さてどう生きるのか。その中で学ぶということはとても重要だと思う。著者も冒頭で、「受験戦争に勝ち抜いて一流企業に就職というロールモデルが成り立たない」と語っているが、それはもうとっくに実感している。これからの時代に必要なのは、「新しい学び方、そのための心構えを身につけること」とする。

 「どんな状況にあっても楽しく学び続けられる人、前提を無視しストレスを感じず、常に柔らかな跳躍ができる人が強い」という意見には素直に頷ける。「学ぶことをライフスタイルとして生活の中にどういった学びを取り入れていけるかを常に考えなくてはならない」ということはなんとなく理解できるが、具体的なイメージがちょっと難しい。本書は、Q&A形式で進んで行く。

 「なぜ学校に行かなければいけないのか」という問いかけはよくあるものだが、学校の勉強を「コンテンツ」と「トレーニング」に分けて考えるところは大人でもわかりやすい。「英語はいつから始めるべきか」という問いに対しては、「時期にこだわるより、まずは母語の論理的言語能力を鍛えよう」としているところはその通りだと思う。著者は自分の子供を余裕があれば職場や出張にも連れて行くというが、子供の世界の外側の領域を早いうちから見せてあげるという考え方も面白いと思う。

 そのほか、面白いと思った考え方は以下の通り。
 1. これから必要とされるのは、文系理系というフレームを外して歴史的考証や物理数学を駆使しながら自分でなんらかの価値を生み出すことのできる人
 2. 自分の中に柱となる複数の専門性を持つ(複数の柱)
 3. 学問を始めるのに適正年齢はない
 4. 貯金よりも借金ができる人を目指す
 5. ストレスと感じずにやりたいことをやる能力(アニマルスピリット)

 著者はこれからの時代に身につけておくべき4つの要素を紹介している。それは、「言語」「物理」「数学」「アート」である。個人的には、「言語」が特に大事だと感じた。「自分の頭で考えを深め、それを言語化する能力」であり、これは普段の会話の中で「なぜそれをやりたいのか」その理由について自分なりに思考して明確にすることで鍛えられるとする。これはまさに我が子に身につけさせたいと思うところである。

 これまではリスクを取らない安定思考の人間の方が有利とされてきたが、これからはリスクを取って何かをやってみようとする行為にリスクがなくなってきているという。失敗するのは当然くらいの感覚で学び続けることをやめず、チャレンジすることを恐れずに生きていくことが大事だと語る。こういう時代感覚にも遅れずついていきたいと思わされる。

 書かれていることがすべて正解だとは思わないが、やはり考え続けること、学び続けること自体は誤りではなく必要なこと。その為にはこういう考え方にも大いに触れておきたいところである。時代の先端を行く著者の考えに、こちらもついていきたいと思わせてくれる一冊である・・・


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2019年01月16日

【ふじようちえんのひみつ 世界が注目する幼稚園の園長先生がしていること】加藤積一 読書日記990



《目次》
1章 園舎自体が育ちの道具
2章 ふじようちえん式モンテッソーリ・メソッド
3章 幼稚園での子どもたち
4章 子育てに「正解」はない
5章 働く先生が幸せになること

 個人的に子供の教育についてはかなり関心を持っている。そのため、教育関係の本は手に取る確率が高い。とは言え、この本は幼稚園の本。子供も既に中学生になっていて、我が子の教育の参考にはならない。それでも何となく興味を持って手にした一冊。

 興味を持ったその第一の要因は、園舎。ふじようちえんの園舎は独特で、何と円形のドーナッツ型。現園長が各地で地震が続いている状況と園舎の老朽化を懸念して建て替えを決意。そうしてある建築士となんども打ち合わせをし、想いを伝えたものの、出来上がった設計に違和感を覚えて見送ったのだという。そうして佐藤可士和の存在を知り、自らアプローチしたのだとか。

 佐藤可士和と言えば、今や様々な分野で活躍しているデザイナー。建築士ではないが、この園長先生のセンスは凄いなと思う。そしてそれに応えた佐藤可士和の奇抜な園舎(最も実際の設計は知り合いの建築士が佐藤可士和と二人三脚で仕上げたそうである)。この園舎は日本建築学会賞を受賞したそうであるが、それで今では教育や建築、デザイン、メディア、行政等々様々に注目を浴び、世界から見学に訪れるようちえんになったようである。

 それだけ、という気もしなくもないが、しかし考えてみると、もともとこの園長先生には強い教育理念があって、それゆえに普通の設計では満足できなかったのだとわかる。その理念とは、モンテッソーリ教育を中心としたもので、その考え方はこの本で様々に紹介されている。園舎に影響したのは、「子供の本文は遊ぶこと」という考え方。ゆえに「毎日行きたくて仕方ない」幼稚園にしたかったとのことで、これが建物のコンセプトになっている。

 それをもとに、園舎全体が巨大な遊具となるように作られ、しかし元からあったケヤキの木は残されて木登りができたり、室内も壁をなくしてパーテーションで区切るものにしている。隣の教室の音が聞こえてしまうだろうと思うが、「雑音こそ日常」と考えて採用したようである。その他最後まできちんと締めないと閉まらない扉、流し台をあえて設けないことによって流しっぱなしを防ぐ水道などなど、そこかしこに園長の考え方が溢れている。


 こうした取り組みにより、「毎日行きたくて仕方ない」幼稚園が実現され多様である。ある園児は、土曜日の長時間保育が楽しくてせっせと幼稚園に通い、暇を持て余したお母さんが仕方なく働きに出ることになったという。そんなエピソードが微笑ましい。また、園長の考えは園児以外にも及ぶ。「お母さんに寄り添う」というのもそれで、子供に「早くしなさい!」と怒鳴ってしまったりすることに対するアドバイスとして、遅刻を治すには本人が遅刻して困る経験をさせるべしというのには大いに共感させられる(我が家の妻はいまだに理解できない)。また職員の採用基準を「熱意あるふつうの人」とし、担任クラスを持てるにも条件を設けている取り組みもなるほどである。

 著名なデザイナーに頼んで変わった園舎を建てれば、世界各国から見学に来る幼稚園が作れるというものではないだろう。その根底には園長のしっかりした考え方が流れているわけで、それを汲み取れるデザイナーがいたことでこの園舎ができたと言える。
 何事も突き詰めるということが大切なのだと思わされる一冊である・・・



ふじようちえん.jpg







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2018年10月31日

【考える力の育て方−世界で800万人が実践!ものごとを論理的にとらえ、目標達成できる子になる−】飛田 基 読書日記969



《目次》
CHAPTER 0 子どもの考える力を伸ばす親の習慣〜「指示する、答えを教える」から「問いかける」へ
CHAPTER 1 子どもの話を引きだす対話の秘訣〜自ら考え、問題と向き合うようになる
CHAPTER 2 対立した状況を解決する秘訣〜クラウドで、創造的なアイディアを出せるようになる
CHAPTER 3 ものごとを論理的に考える秘訣〜ブランチで、自分の行動を改善できるようになる
CHAPTER 4 学習の理解スピードを上げる秘訣〜ブランチで、勉強を楽しみながら成績が上がる
CHAPTER 5 大きな目標を達成する秘訣〜アンビシャス・ターゲット・ツリーで、夢を実現する
CHAPTER 6 「学び方」を身につける秘訣〜自律的に行動し、成長し続けることができる
CHAPTER 7 成長の階段を上り続けるために〜やりきる力を支える思考ツールの組み合わせ方

 日頃どんな本を読みたいかというのは、いつもいろいろと考えているが、「子育て」はその大きな対象の一つである。特に我が子には「自立」を求めているので、本書のようなタイトルを見てしまうと、手に取らざるを得なくなる。そんな経緯から手にした一冊。著者は、あのエリヤフ・ゴールドラット博士のTOCに感銘を受けて、ライフコーチに転任し、博士の設立したNPO法人の最高位資格を有する方らしい。

 そんな著者が、本書では子供の「考える力」を伸ばすことについて語っている。中心となるのは、3つの思考ツール。すなわち、「クラウド」「ブランチ」「アンビシャス・ターゲット・ツリー」であるが、正直言ってよくわからない。正確に言えば、言葉では理解できるが、応用できるかどうかわからないというところ。まぁ、本を読んだだけで理解・実践できたら著者の出る幕はないかもしれない。

「子供がなかなかいうことを聞かない」
「したくもないお説教を繰り返してしまう」
まるで我が家の妻の言葉のようだが、これらを含めて子育ての6つの悩みの原因は、
「大人が子どもにやるべきことを指示してしまう」
「大人が子どもに答えを教えてしまう」
ことであるという。「問いかければ人は答えを考える」とするが、これはその通りだと思う。ただ、子どもから返ってくる答え(「わかんない!」)が予想できてしまうが、その場合はどうしたらいいのだろうと疑問が湧く。

 CHAPTER 1では、「子どもの話を引きだす対話の秘訣」が語られる。その1つは、「困りごとを聞く」というもの。夢や目標は答えにくくても、困りごとなら話しやすい。「どんなことで困っているのか」と質問し、おうむ返しし、「他には」とひたすら聞いていく。困りごとを活用し、「どうやったら理想か」と考えさせていく。なるほどと思うところである。

 CHAPTER 3では、「ものごとを論理的に考える秘訣」として因果のつながりを考えさせる。起こった出来事をまとめた「出来事マップ」なるものは、どうしてその出来事が起こったのかを「最初のアクション」から「途中の出来事」、そして「起こった問題」まで因果関係から説明するもので、なるほどこれなら論理的に考えられると思わせてくれる。応用すれば、国語・数学・歴史などの勉強にも、円高ドル安とはと言ったことまで理解が進みやすくなるかもしれない。

「目標を達成するための5つのステップ」も興味深い。
 1. 大きな目標を定め、具体的な言葉にする
 2. 目標の前に立ちはだかる障害をリストにする
 3. 障害を乗り越えた先の中間目標を決める
 4. 中間目標を取り組む順番に並べる
 5. 中間目標達成の具体的な行動を決める
「手段ではなく、理想の状態を考える」というのは、確かにいいかもしれない。

 もっとも大事なのは、子供たちに「学ぶ楽しさ」を実感させることという言葉には激しく同意してしまう。そのための「コーチングサイクル」なるものが説明される。
「やって見せ、伝える」→「質問でサポートし、体験させる」→「グループで練習させる」→「1人で練習させる」→「自ら振り返ってもらう」→「フィードバックをする」→「評価させる」というものであるが、実際に著者の指導した子がボーイスカウトで発揮した具体例がわかりやすい。

「自分で考えて行動する」「うまくいかなかったら、また考えて行動する」「そうしてうまくできるようになる」言葉では簡単だが、実践するには経験が必要かもしれない。書いてあることは難しいことではない。著者は、スポーツ選手なんかも指導しているようであり、書かれているノウハウは子どもでなくても応用が効きそうである。ただ言われたことだけやっているサラリーマンなどは、いい対象だろう。

 読んだだけで、実践できるようになるものでもなさそうであるが、エッセンスは使えそうだと感じる。我が子相手に試してみたいと思う。
 大人になっても大事な「考える力」。
改めて我が子に身につけさせたいと思う一冊である・・・
 



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2018年02月01日

【絶対肯定の子育て】北方雅人/本荘そのこ 読書日記884



第1章 愛情の法則
第2章 私の育てられ方〔経営者編〕
第3章 子育てと「暗示」
第4章 私の育てられ方〔著名人編〕
第5章 伸びる言葉、萎える言葉

 「子育て」は今の私にとって、仕事と並んで関心の深いテーマである。「親はなくても子は育つ」という言葉はあるが、自分という親がいる以上、自分の子供の将来には責任を持ちたいし、やがて独り立ちした後、きちんと自立して生きていって欲しいし、そのためにはできる限りの事をしたいと思う。そしてその「してあげたいこと」の中心は、やはり「考え方」の育成である。

 そんな自分にとって、この本はなかなか示唆に富んだ本であった。まず、「子育て」とあるが、対象となる子供は小さな子に限らない。ここで例示されている例は、大人になって社会人として社会の荒波に揉まれている我が子にアドバイスする親がたくさん登場する。学校を卒業したら「子育ては終わり」ではなく、人生の先輩として、できれば教え導く、あるいはヒントを与えられる存在でありたいと思う。そんな参考になるのである。

 冒頭で、サイゼリヤの創業者である正垣泰彦の例が採り上げられる。正垣は自分のレストランを持つも、客同士の喧嘩から火災となり店が全焼するという悲劇に見舞われる。正垣はそこでの再建を諦めようとしたが、その時正垣の母が、「その場所でもう一度やってみなさい。降りかかる災難はすべて自分のために起こるもの、だから火事に感謝しなければいけない。あなたならきっとできる」と諭したという。自分にはとても真似できないアドバイスである。

 また、セコムの創業者飯田亮は、子供の頃父親は何か頼みごとをすると必ず「ダメ」と言ったという。一言目はダメで、子供が粘って交渉すると父親は条件を出す。それに挑戦してクリアすれば認めてもらえたという。飯田の兄弟は皆起業したりして成功を収めており、それは父親のこういう教育の賜物であるのだろう。まさに「この親にして」と感じる。

 紹介されているのはいい例ばかりではない。ニートになった子の場合、高校時代に人付き合いが苦手で、親に何度も「学校を辞めたい」と相談したという。そしてその都度、ダメだと言われたらしい。その結果、卒業はしたものの、そこで燃え尽きて引きこもりになってしまったそうである。こういう場合、どうしたらいいのだろうか。自分も間違いなく辞めないように説得すると思うが、それが正解とは限らない。実に考えさせられる。

 タイトルに「絶対肯定」とあるように、総じて相通じる考え方は、「肯定感」であるようである。子供の考えを尊重し、選択権を与えると子供は「自分は認められている」という自己肯定感を持つという。様々な成功者の例を見れば、この自己肯定感が大事であることがわかる。ホームズを立ち上げた井上社長は、母親から
1. 世界中の人があなたの敵になっても母さんはいつも味方よ
2. あなたは大器晩成よ
3. 何事も経験よ
と励まされ続けたのだと言う。このくらいなら自分にもできそうである。

 さらに参考になったのは、「暗示の子育て」とその3つのポイント。
1. 命令ではなく、良い点を認め、褒める
2. 繰り返し言う
3. 心からそう信じて言う
親は子供に常に寄り添い続けることはできない。子供はいつかどこかの時点で自立し、1人で困難に立ち向かわなければならなくなる時が来る。そんな時、その子を支えるのは親から育まれた自己肯定感なのかもしれない。

 自分のことは自分でなんとかするが、子供は子供で自分でなんとかできるようにならないといけない。いつまでも手元に置いて大事に育てたいと思うがそうもいかない。やがて自立して行く時に、子供の心にしっかりと「生きて行くのに必要な考え方・自信」を持たせてやりたいと思う。そんな自分にとって、この本で採り上げられている親のエピソードは実に参考になる。まだまだ時間はあるので、自分もそんな親になれるように参考にしたい一冊である・・・




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2017年11月20日

【すごい学習メソッド−勉強しなさいと言わずに成績が上がる!学校成績アップ日本一の塾長が教える、子どもが即やる気になる勉強法−】藤野雄太 読書日記860



第1章 子どもを勉強嫌いにさせている原因は、コレだ!
第2章 一度勉強嫌いになった子どもをやる気にさせる方法
第3章 全科目成績アップの土台をつくる、何がなんでも「国語力」
第4章 正しく答える力を身につける「トレーニング型勉強法」
第5章 必ず5科目合計100点以上アップする、最強の学習法
第6章 勉強のゴールは、自分の才能を発見して社会に貢献すること


子供を持つ親なら教育という事を考えないことはないだろう。私自身も当然、関心はある。ただ、「勉強しろ」とは言いたくないし、一度も言ったことがない。ではどうするべきか。常日頃そんな問題意識を持っているから、こういうタイトルを目にするとすぐ手が出てしまう。この本は、個別指導塾を経営する著者が語る「子どもが即やる気になる勉強法」の本である。

冒頭から著者は、「子どもは本来勉強が好きである」と語る。しかし、「日々の生活の中でやる気を削がれている」と言う。子どものやる気を削ぐのは、親の「勉強しなさい!」と言う言葉だと言う。我が家にも聞かせたい人物が約1名いる。勉強のために遊びを制限すると成績は伸びなくなるとする。逆に遊びでも好きなことに打ち込める子どもは勉強も頑張れるとすら言い切る。こう言う考え方は面白い。

著者の経営する個別指導塾は、成績がアップする割合が100%なのだと言う。一般的な塾で1/3程度であると言うので、かなり驚異的である。それももともと偏差値39だった著者が、それを70.9まで上げた自身の経験からきているのであろう。「苦手科目は捨てる」と言う大胆な指導法も面白い。子どもは苦手なことよりも好きなことに関心を持つのは当たり前。我が家の息子も歴史が大好きで、1人でどんどん学んでいるのを目の当たりにしているので尚更共感する。

1. 平均点以下のものがあっても気にしない
2. 早期の英才教育は子供をつぶす
3. 毎回のテストに一喜一憂すると長期的視点が持てなくなる
4. 欠点には目をつぶり期待の目で接する
早期の英才教育は、子どもが「ガス欠」になると言うのは、私も小学校時代に塾に通って成績の良かった同級生が、結局「普通の大学」に行っていた経験からよくわかる。

教科の中でも国語力が大事だと著者は語る。これは、『学校じゃ教えない「子供のアタマ」を良くする方法』でも別の方が主張していたが、やはり真理なのだろう。語彙力の違いが理解力の違いになり、点数の差となって現れるのだと言う。そんな語彙力を鍛えるには、「音読」「自由読書(なんでもいい)」「新聞書写」が有効だとする。自由読書のあと、本の要約を説明させたり、意見を聞いたりするのも良いそうで、これなどは親ができることだろう。

終盤は具体的な勉強方法が説明されているが、個人的にヒットしたのは英語の勉強法だろう。日本語と同様、まずは「音」から入るべきで、NHKのラジオ講座などを利用するのがいいとする。そうした勉強法に加え、親としてどうするべきかも興味を引く。親や先生に求められるのは、「子供に嫌われていないこと」だと言うが、そう言えば自分も嫌いな先生の授業には身が入らなかったものだと思い出す。「教育で大事なことは、生涯勉強する子どもを育てること」と言う意見には激しく同意する。全体的に著者の主張するところは、納得性が高い。

内容的には小学生の子供が対象といった感じがするが、子どもの教育にはとても大切なことが書かれていると思う。子どもに勉強させる前に、まず親からこう言う本を読んで勉強すべきと思わされる一冊である・・・


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2009年11月13日

【できるだけ塾に通わずに受験に勝つ方法】松永揚史 読書日記19



子供が生まれると最初はその成長を素直に喜ぶものであるが、しかるべき年頃になってくると親は教育問題を考えるようになる。
「お受験」などという現象には呆れてモノも言えないが、そんな考えは過ちなのか、と思えるくらい熱心な人は多い。

そう考えているところに出会った本がこれ。
タイトルがいい。
「できるだけ塾に通わずに」である。
「できるだけ」とついているのは塾をまったく否定していないからだ。
「いいものはいい、だめなところはだめ」そんな冷静さが伺えるタイトルが気に入った。

さて内容の方はこれが十分期待に応えてくれる。
商魂逞しく親の不安に付け込んでくる学習塾の実態。
教育コンサルタントとしての豊富な経験からそれを余すところなく伝えてくれる。
そんな塾の戦略に引っ掛かると親はともかく、子供は可哀相である。
子供としての大事なものを吸収すべき時期に塾通い。
失うべきものは多い。
それはよくある批判そのままである。

でもだからと言って何もしなくてもよいのか。
それに対しての筆者なりの回答をちゃんと示してくれる。
小学生からの男女別の基礎学習方法、塾の選び方、家庭教師のメリット・・・
一方で、趣味を持つことの大事さ、本を読むこと、身の回りのことをきちんとやる事、一見勉強とは関係ない事もとても重要だと説く。
このあたりは傾聴に値する。

何よりも大事な事は親がきちんと考え、自らも子供の為に汗をかくことだと思わせられる。
塾に入れてすべて任せて安心という態度では良いはずがない。
一つ一つの事例はわかりやすく、示唆に富む。
参考書や問題集の例も参考になる。
やみくもにわけのわからぬままとにかく塾に通わせなければ、などと思う親はまずこの本を読んで自分が勉強すべきだろう。

子供がいる親なら一度読んでおきたいものである・・・



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