2020年02月06日

【世界「倒産」図鑑−波乱万丈25社でわかる失敗の理由−】荒木 博行 読書日記1119



《目次》
戦略上の問題編
「過去の亡霊」型
Case01 そごう 「勝利の方程式」が逆回転して倒産
Case02 ポラロイド 「分析体質」が行き過ぎて倒産
Case03 MGローバー 非効率体質を改善できずに倒産
Case04 ゼネラルモーターズ 政府頼みの末に倒産
Case05 ブロックバスター 重要なタイミングを逃して倒産
Case06 コダック 希望的観測を抑え込めず倒産
Case07 トイザラス 新規事業の入り方を間違えて倒産
Case08 ウェスチングハウス 技術を過信して倒産
「脆弱シナリオ」型
Case09 鈴木商店 事業意欲が先行し過ぎて倒産
Case10 ベアリングス銀行 不正取引にとどめを刺されて倒産
Case11 エンロン 「不正のトライアングル」に陥り倒産
Case12 ワールドコム 自転車操業の果てに倒産
Case13 三光汽船 ギャンブルに勝ち続けられず倒産
Case14 エルピーダメモリ 「業界のイス取りゲーム」に負けて倒産
マネジメントの問題編
「焦りからの逸脱」
Case15 山一證券 プロセスを軽視し過ぎて倒産
Case16 北海道拓殖銀行 焦りに追い立てられて倒産
Case17 千代田生命保険 見たいものしか見ずに倒産
Case18 リーマン・ブラザーズ リスクの正体をつかめず倒産
Case19 マイカル 風呂敷を畳み切れず倒産
「大雑把」型
Case20 NOVA 規律が効かな過ぎて倒産
Case21 林原 雑な経営管理により倒産
Case22 スカイマーク 攻め一辺倒が裏目で倒産
「機能不全」型
Case23 コンチネンタル航空 経営を単純化し過ぎて倒産
Case24 タカタ 経営者が現場を知らずに倒産
Case25 シアーズ 現場不在の経営により倒産

 かつて『失敗の本質』を読んで感じたが、学びというものは成功体験の中だけにあるのではない。失敗の中にもその原因を探ることによって学びを得られることもある。あの『ビジョナリー・カンパニー』シリーズも第3弾で失敗を扱っている(『ビジョナリー・カンパニーB〜衰退の五段階〜』)。この本は、そんな企業の失敗を集めた一冊。

 企業の倒産もその理由は様々。ここではそれを「戦略上の問題」および「マネジメントの問題」に大別。さらにそれを「過去の亡霊」「脆弱シナリオ」「焦りからの逸脱」「大雑把」「機能不全」と5つのタイプに分類して解説している。よく知っている企業の例もあってわかりやすい。まず採り上げられるのはそごう。かつて勢いのあったデパートだが、土地を担保に独立法人化によって成長。しかしその勝利の方程式も地価の下落によって逆回転。トップ以外に誰も実態がわからないという状態になってしまう。指示されないと何もできない社員。大いに感じるところがある。

 新たなテクノロジーの出現によって、一瞬にしてビジネスが崩壊してしまう。今はそんな怖さがある。ポラロイドがその例として挙げられる。イノベーションのジレンマの典型事例であるが、そこから得られた教訓は重要である。
 1. 既存事業と同じ尺度で新規事業を測る危険性
 2. 市場にない新しいビジネスはほとんど分析することはできない
 3. 新しいビジネスこそ実践を通じて学習していく姿勢を大切にする

 似たような例として、ビデオレンタルのブロックバスターが挙げられる。同社は一大店舗網を築いて成功するが、ビデオの衰退に伴って消えていく一方、店舗を持たずにDVDを郵送で貸し出すというビジネスモデルで登場したNetflixが台頭する。それがインターネットの進展に伴い、今はビデオ配信でさらに拡大、成長しているのが象徴的である。

 失敗事例の中には鈴木商店という戦前の企業もあるが、これは古すぎて参考にならない。北拓の事例は、営業部隊が必死に取ってきた案件に審査部隊がNoと言い難くなって不良債権を量産したとされるが、それは現在でもスルガ銀行の例のようにまったく変わっていない。千代田生命の例では「シングル・ループ・ラーニング」という考え方が紹介される。「見たいものを見る」今の自分の考え方を一切疑うことなく、既存の物の見方の中で考え続けることは、何にでも当てはまる。

 NOVAは前金ビジネスの失敗例。前金で安堵して贅沢に走るというのは誠に愚かしい。このくらいであれば、ちょっとまともな感覚の持ち主なら回避できる。林原の例は、『破綻−バイオ企業林原の真実』『林原家』と読んで知っているのでさらりと流す。タカタはほとんど直近の事例なので、改めての感がある。経営と現場に距離があったとのこと、やっぱりこれは大事なことなのだろう。

 最後に「戦略的」とは、「考える論点の多さ」×「考える時間軸の長さ」という考え方が紹介される。なるほどと思うが、数々の破綻事例を見てくるとなおさらそう思う。自分の会社は大丈夫だろうか。破綻事例だからこそ、参考になるところ大である。もって他山の石としたい一冊である・・・




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2019年10月30日

【偏差値37なのに就職率9割の大学】堀口英則 読書日記1088



《目次》
はじめに 「就活」は逆転のドラマ
第1章 どうしようもない大学だった
第2章 ますます狭まる「狭き門」
第3章 改革、発進
第4章 学生を選べる大学に
第5章 「訓練」は半年
第6章 人生は変えられる
おわりに 特別付録「就職は親で決まる」

 著者は、金沢星稜大学の就職課課長(今も同じ地位なのかはわからない)。もともとリクルートで新卒採用広報を担当していたというが、縁があって現在のポジションに転職。以来、改革を重ねて現在、金沢星稜大学は就職率91.3%(2013年-本書執筆時点-)という好成績を収めるまでになったという。そこに至る経緯を綴った一冊である。

 金沢星稜大学なんて、正直言ってこの本を手に取るまでその存在すら知らなかったのが正直なところ。地方の、しかも経済学部だけの単科大学でもあり無理からぬところはあるだろう。しかも著者が就任時の偏差値はなんと「37」。はっきり言って「名前が書ければ入れる」というレベルの存在自体が問題とも言える大学である。当然、就職率も悪い。4年生の7割が7月時点で未内定状態だったという。

 学内はTシャツにジャージ姿、キティちゃんのサンダル履き、ファッションタトゥーの学生が闊歩していたという。みんな「不本意入学」で、コンプレックス・劣等感の感情がよその5倍も強かったらしい。少子化による定員割れも目前に迫る中、著者は改革の手段として「入口戦略」ではなく、「出口戦略」、すなわち就職戦略に着手する。

 目指すは一流企業就職。なかなか無謀に思えるが、著者は下記の対策をとっていく。
1. 打席数を増やし、空振りを減らす
2. 3年の秋から週一で就職ガイダンス
3. 遅刻3回、欠席3回で支援打ち切り
4. 見た目を徹底的に磨く
「1」の取り組みは、とにかくひるむことなくチャレンジであり、数撃つのではなく、金沢星稜大学で行なっている企業説明会(つまり企業も採用してもいいと考えている)に行かせるなどの試み。手取り足取りといった感があるのは、やはり偏差値37だからだろうか。

 内定の取れる学生は、「見た目爽やかで清潔感がある」「笑顔で挨拶ができる」「素直で打たれ強い」「親世代と話すことに慣れている」「地頭の良さ」であるという。進路支援センターの一角に床屋まで作って服装、髪型、ネクタイの締め方からリボンまで指導したという。挨拶がしっかりできて、マナーもあって受け答えができればとにかく第一関門は突破できる。学生たちもびっくりだっただろう。

 さらに入り口での評価を上げる取り組みも面白い。経済大学ゆえに、公務員・金融機関に学生を輩出させること、男女比率を9:1から5:5に上げることを狙い、授業料免除の国家公務員対策講座を設け、入試もそれまでの一教科のみから三教科試験に変える。これは第一志望に落ちた優秀な学生を捕まえるためで、一生懸命三教科以上勉強してきた学生に一教科のみの受験ではやる気もなくなるだろうという配慮のもの。現在は男女比率6:4で学生のレベルも上がっているようである。

 就職課も「学生が集まる就職課」をモットーに取り組んでいるという。興味深かったのは、就活には親・家族の協力が欠かせないということ。「お金がかかること」「アルバイトはさせない」「コネの話をしない」「公務員試験を受けてみろ、家から通える会社にして、は禁句」ということを親も理解しないといけないとする。なるほど、と色々参考になる。

 地方の三流大学でも、創意工夫と熱意によっていくらでも戦える。上場企業の内定を勝ち取ったある学生が、関東の有名私大に進んだ高校時代の友人に「おまえ、マジアの上場企業、受かったん?」と驚かれたというエピソードは、著者も痛快だったであろう。どんな環境下にあってもやろうと思えばなんでもやれる。そんなことを教えてくれる一冊である・・・




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2019年09月19日

【東京大田区・弁当屋のすごい経営 日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に】菅原勇一郎 読書日記1073



《目次》
1章 中小企業の事業承継は先代が元気なうちに
2章 数字で語る玉子屋
3章 嫌いだった弁当屋を継いだ理由
4章 社員の心に火を灯せ
5章 玉子屋の未来

 およそ都内に住んでいれば、黄色い色の「玉子屋」の配達トラックを見たことがないという人はいないかもしれない。ましてや地元の大田区であれば京浜東北線の線路脇の工場を見たことがある人は多いと思う。その姿は、なんと1日最大7万食を供給可能であり、年商は90億円のお弁当屋さんである。12時必着をルール化しており、配達ポイント1万ヶ所に及ぶという。テレビでも取り上げられたことがあり、その実態をもっと知りたくて手にした一冊。

 著者は玉子屋の2代目社長。子供の頃は弁当屋が嫌で、大学を出て銀行に就職。その後マーケティング会社に移り、2代目として入社したという経歴の持ち主。入社した時から経営をすべて任されたという。そんな自身の経験から事業承継については、後継者を決めているならなるべく早く全権を委任した方が良いと語る。いろいろな事業承継の形はあると思うが、先代が身近にいるならこういうパターンもいいかもしれない。

 社長就任後、全社員と個別に飲んで話をしたという。こういう話もよく聞くが、やはり「雲の上」に踏ん反り返るのはよくないであろう。それまで外にいて感じていた女性向けのメニューの開発等の改善点を実施。就任時およそ2万食だった配達数を8年で6万食超に伸ばす。原価率53%、廃棄率0.1%は驚異的ともいえる数字であるが、リターナブル容器に加え、回収時のコミュニケーションを通じての努力で成し遂げているようである。

 そんな会社も順風満帆ではなく、食中毒事件によって廃業の危機に瀕したこともある。こうした危機はどこの会社にもあるかもしれない。この危機を乗り切った社長は、「いいもの美味しい物を食べてもらいたいと心から思うようになったという。元銀行員であった著者は、「いい会社」とは財務内容は当然だが、「三方よし」を満たしている会社こそがいい会社であるとする。その内容は、「健全経営」「従業員が満足して働いている」「提供するサービスにお客様が満足している」というもので、これは我が社も大いに見習いたいことである。

 また、人材に対する考え方も中小企業には大いに参考になる。初めから優秀な社員を採用するのは困難であるがゆえに、「人材は入社してから育てれば良い」とする。採用にあたっては、「(失敗を)他人のせいにするタイプはダメ」だという。「自分レベルでなく他人レベルで頑張る」ということを実践するには、そういう性根の人はダメだというのは頷けることである。社内では、一つの班は一つの会社とみなし、権限と責任を渡す。こうしたやり方が、スタンフォード大学のMBAコースの教材にまで採り上げられる経営にツナ買っているのだろうと思わせられる。

 最後に著者が応接に飾っているという「事業に失敗するこつ」が紹介されていて、これがなかなか参考になる。
1. 旧来の方法が一番良いと信じていること
2. もちはもち屋だと自惚れていること
3. ひまがないといって本を読まぬこと
4. どうにかなると考えていること
5. 稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること
6. 良いものはだまっていても売れると安心していること
7. 高い給料は出せないといって人を安く使うこと
8. 支払いは延ばす方が得だとなるべく支払わぬ工夫をすること
9. 機械は高いといって人を使うこと
10. お客はわがまま過ぎると考えること
11. 商売人は人情は禁物だと考えること
12. そんなことは出来ないと改善せぬこと

 さすがに成功している企業の話は得るものが多い。同業ではないが、大いに参考にしたいと思わせてくれる一冊である・・・



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2019年06月01日

【the four GAFA−四騎士が創り変えた世界−】スコット・ギャロウェイ 読書日記1034



原題: the four GAFA
《目次》
1章 GAFA――世界をつくりかえた四騎士
2章 アマゾン――1兆ドルにもっとも近い巨人
3章 アップル――ジョブズという教祖を崇める宗教
4章 フェイスブック――人類の1/4をつなげた怪物
5章 グーグル――全知全能で無慈悲な神
6章 四騎士は「ペテン師」から成り上がった
7章 脳・心・性器をターゲットにする
8章 四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」
9章 NEXT GAFA――第五の騎士は誰なのか
10章 GAFA以後の世界を生き残るための「武器」
11章 少数の支配者と多数の農奴が生きる世界

 GAFAとは、アメリカの新興4大テクノロジー企業(Google、Apple、Facebook、Amazon)のこと。そのGAFAの台頭について語った一冊。単に「こんな企業だ」と紹介するだけでなく、そこから考えられることを考察していてなかなか面白い本である。

 GAFAについて、著者は「人類を幸せに導く四騎士」なのか「ヨハネの黙示録の四騎士」なのか、その判別はつけていない。この本では、ただ「四騎士」とだけしている。そして前半は各企業の事業の様子、現状分析、市場を守る戦略などが紹介される。改めて各企業ともそのすごさを実感させられる。例えばアマゾンは、当初は「本屋」としてスタートしたかもしれないが、今は運輸業にもマルチチャンネルにも参入し、ウォルマートを最大の負け組にしてしまっている。何かを買おうとする時、すでにグーグルさえも凌駕している(そういえば私もアマゾンで「検索」している)。

 アップルはサムスンなどの台頭もあって苦戦しているのかというイメージがあるが、確かにマーケットシェアでは14.5%しか占めていないが、利益シェアは驚異の79%だという。これはスティーブ・ジョブズが「テクノロジー企業」から「高級ブランド企業」へ転換を図ったことによるもので、22世紀まで存続する可能性が高いとしている。四騎士の中でも創業者と創業時の経営陣がいなくなっても好調を維持している唯一の企業というのがその理由である。

 フェイスブックは、特に人に「認知」させる部分で大きな影響を有している。「人類の1/4をつなげた」というのは、私も長年音信不通だった友人をみつけた経験があるだけに納得である。フェイスブックが何かを提案し、グーグルはその方法を提示し、アマゾンは「いつ」それが手に入るかを教えてくれるというたとえは面白い。

 グーグルについては、「神」にたとえる考え方は「目から鱗」感がある。我々は誰にも知られたくないことでもグーグルには打ち明けているはずだと著者は語る。それは確かにその通りで、私の「検索履歴」も人には見られたくない(ものがある)。グーグルへの質問は、その1/6がこれまでに質問されたことがないものだという(確かに人に見られたくない「検索履歴」についてはその通りである)。すべての疑問に答えてくれる=「祈れば答えが帰ってくる」のはまさに「神」に他ならない。

 そんな四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」は、
@ 商品の差別化
A ビジョンへの投資
B 世界展開
C 好感度
D 垂直統合
E AI(データが武器)
F キャリアの箔付けになる(優秀な人材が集まってくる)
G 地の利(スタンフォード大学などが近くにある)
であるとする。これは何かの参考になるかもしれない。

 なぜ「人類を幸せに導く四騎士」と言い切れないのか。それは例えば時価総額1,650億ドルのインテルの雇用人数が107,000人であるのに対し、時価総額4,480億ドルのフェイスブックのそれは17,000人であることにある。著者はこの状況を「アメリカは30万人の領主と3億人の農奴の国になる」と警告している。タックスヘブンを利用し、全世界的に節税をしている問題もあり、なるほどこれは手放しで称賛できないところである。

 GAFAに続く第五の騎士について、著者は色々と例示しているが、ここにはNetflixは出てこない。すでにNetflixを加えて「FAANG」なる言葉が登場しているが、この本の執筆時にはわからなかったのかもしれない。「次」に加えて個人としてもどう生き残って行くのかも著者は語る。
@ 心理的成熟(自分の熱意をどうコントロールするか)
A 好奇心
B 当事者意識
C 新しいものを受け入れる
D 組織ではなく人に誠実に
E 好きなことではなく、得意なことでキャリアを築く
F 不満を口にしない
全部ではないが、上記が心に止まったことである。

 GAFAについての本であるが、「四騎士が作り変えた世界」をどう生きるかの観点からも示唆に富む一冊である・・・

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2018年10月11日

【「不思議な会社」に不思議なんてない】荒木 恭司 読書日記962



第1章 期待を超える感動を
第2章 「お客さまが感動させる」社員を育てる
第3章 変化に即応した会社だけが生き残る
第4章 やはり一番大切なのは「社員」
第5章 島根から全国に元気を!

 中小企業に勤務していて、常に業績改善を考えている身としては、うまくいっている他社の例は大変興味深いところ。この本は、営業エリアは所得・人口ともに最下位エリアの山陰であり、業種は建設業という不況業種、それにも拘わらず躍進を続けているという島根電工(株)を取り上げたもの。近年はそのノウハウを活かし、業界活性化を目的としてフランチャイズを全国展開しているという。それだけで興味津々である。

 その躍進の中心となっているのは、「住まいのおたすけ隊」という地元でCMをも流している「小口工事」であるという。一般家庭向けにコンセント一個から小口工事を引き受けているという。小口工事の7割が5万円以下というから、本当の小口工事である。もっとも提案営業も絡めているらしいが、それが生きるのも「私たちは建設業ではなくサービス業」という認識が大きいだろうと思う。

 そんな島根電工も、元は普通の建設業らしく公共工事の受注等を中心としていたという。それが小口工事に舵を切ったのは、公共工事の縮小によって存続が危うくなったことだという。現社長である著者が、ヤン・カールソンの『真実の瞬間』を読んで気が付いたというが、これは確かに意識を変えてくれる本である。そして著者自ら先頭に立って小口工事へと邁進したという。なんとなくヤマト運輸の宅急便の誕生プロセスと似ていると思わされる。

 目指すところは「満足」ではなく「感動」。「そこまでやってくれるの」という感動を求めるのだという。「お客様を恋人と思え」という指示はわかりやすくていいと思う。それゆえに、簡単な依頼の場合、「この程度ならお金はいただけない」と現場の社員が判断したら無料でやるという。それを支えるのは社員教育。ひたすら「お客さまのために」と自発的に考えて行動できるようになるには社員教育は大事だろう。それがリピート率90%になっているのだと思う。

・仕組みがあっても「文化」がなければダメ
・ヒットをたくさん打つ人間を育てる監督を作る
・研修にかけるお金は絶対に惜しまない
・部下を研修に行かせないと恥という文化
こうした考え方が躍進を支えている。

 「顧客第一主義だけど、社員とその家族が一番、そして関係する会社の社員とその家族が二番、お客さまは三番」という考え方は理に適っていると思う。
1. それは社員にとって幸せだろうか
2. 取引先企業にとって本当にいいことなのか
3. お客さまが求めていることだろうか
こうした問い掛けが文化を作っていることは間違いない。

 社員が辞めず、出産育児後100%復帰、ほぼ全員参加の社員旅行、息子を会社に入れて誇らしそうな社員の話等々が眩しい。我が社もこういう会社を目指したいと思う。
そういう思いを抱く人には一読の価値ある一冊である・・・




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2018年06月08日

【トヨタ物語−強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ−】野地 秩嘉 読書日記928



プロローグ ケンタッキーの名物
第1章 自動車会社ができるまで
第2章 戦争中のトヨタ
第3章 敗戦からのスタート
第4章 改革の始まり
第5章 倒産寸前
第6章 かんばん
第7章 意識の改革
第8章 クラウン発売
第9章 7つのムダ
第10章 カローラの年
第11章 規制とショック
第12章 誤解と評価と
第13章 アメリカ進出
第14章 現地生産
第15章 リアリストたち
第16章 トラックに乗り込んだ男
第17章 21世紀のトヨタ生産方式
第18章 未来
エピローグ 誇り

トヨタ自動車は、誰もが知る日本を代表する自動車会社であり、「かんばん方式」「ジャスト・イン・タイム」などのトヨタ生産方式とともに数多くの本も書かれている。今更感もある中、それでも面白そうな予感を得て手に取った一冊である。

冒頭、トヨタのケンタッキー工場の様子が紹介される。アメリカは、フォード・システムを生んだ国。両者の違いがアメリカ人労働者ポールの説明に現れている。アメリカ人の担当者は、初めてトヨタに転職してきて、不具合が生じてラインを止めるよう指示された時、クビを覚悟したという。アメリカの生産方式では、ラインを止めることは害悪で、止めた者はクビになる。ところがトヨタでは、原因を究明するためには、一作業者であってもラインを止めることが許される(というか推奨される)。アメリカ人担当者の感動がそのまま伝わってくる。

そして、トヨタの歴史を遡る。トヨタ自動車の創業者は豊田喜一郎。自動織機を発明した豊田佐吉の息子である。豊田佐吉は自動織機を発明したが、その真髄は織機のスピードを上げたことではなく、不具合が起こった瞬間に機会を止める装置をつけたことだという。不良品を出さないために機械が止まる重要性を佐吉の機械から受け継いだのが、トヨタの生産システムの肝となる。「自働化とは機械に人間の知恵を付与すること」という考え方が、根底に流れる。

挙母工場が建設され、トヨタの歴史が語られる。それはそのまま日本の自動車産業の歴史。まだアメリカには足元にも及ばない。戦争で中断し、戦後しばらくまで主にトラックの生産が中心。まだ乗用車を作る技術も、またそれを買う消費者も揃っていない。初めて生産されたクラウンは、普通のサラリーマンが10年働いて買える価格だったという。

戦後、飛行機のエンジニアが流入したことが自動車産業にとっては良かったという。飛行機は、鉄道や船などと同様、「プロに向けて設計すればいい」もので、これに対し自動車は「素人が運転する」ものという部分はなるほどと思わされる。そして飛行機を作った経験がある国(欧米各国や日本)と、作ったことのない国(中国、韓国)の自動車は設計思想が違うという意見も考えてもみなかった意見である。

さらにアメリカと日本の労働者の違いも興味深い。アメリカの「ワーカー」は時間給で、考えずに作業し、時間が来れば仕事をやめる。時間を売っているからタダで残業はしない。仕事中も目が合えば「やぁ」と手を上げたりタバコを吸ったりするが、日本の労働者は何かやっている仕草をする。手を止めるのが害悪と考える日本人らしい。ただし、アメリカの労働者もエンジニアはキャリアアップのため、空いている時間に勉強したりしている。こうした描写が個人的には面白く感じた。

そしてやはり興味深いのは、大野耐一を中心とした「トヨタ生産方式」についての話。本のタイトルにもある通り、それは「考える人間を育てる」ことが中心にある。「トヨタ生産方式の本質とは、かんばんを使うことでもなく、アンドンを整備することでもない。常識とされていたことを疑い新しい方法を考えること」という説明が心に響く。これは何にでも当てはまることだろう。

トヨタ生産方式はトヨタにとどまらず、提携先にも及ぶが、その指導は上から目線で講義することではなく、人間と人間の間に信頼感を醸成することとする。トヨタ生産方式とは「意識改革」であり、以前からやっている仕事のやり方を見直すことだとする。その歴史から長々と語られるトヨタ生産方式は、まさに世界企業となったトヨタの原動力であり、力の源なのであろう。それは生産にとどまらず、流通にも適用されるが、考え方は何にでも応用できるものである。

働く人々の話も、アメリカでのリコール事件と公聴会の様子も、実に感動的な話が次々に出てくる。読み物としても、わが国を代表する企業の話としても興味深く面白い。厚い本であるが、実に読み応えのある一冊である・・・



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2018年05月29日

【投資レジェンドが教えるヤバい会社】藤野 英人 読書日記925



第1章 会社の性格は社長で決まる!
第2章 ブラック企業はこう見抜け!
第3章 社内結婚が多い会社は儲かっている!
第4章 産卵後に死んでしまうサケではなく、メンドリを探せ!
第5章 会社を見分ける3つの基準

著者は投資信託会社の社長であり、「ひふみ投信」のファンドマネージャー。30年近くにわたり企業調査を続け、6,500人以上の社長に会い、成長企業を発掘してきた方だという。そんなファンドマネージヤーが明かす企業を見分ける法則というのが本書である。そんな法則の代表的なのが、「スリッパの法則」で、私もどこかで見聞きしたことがあるが、それは「社内でスリッパに履き替える会社は儲からない」というもの。こうした法則にそって会社の特徴が説明されて行く。

会社の本質は、社長の話し方はもちろんであるが、社長室の調度品の選び方や置き方など細かいところに表れるのだという。また、サラリーマン社長の会社は成長が期待できないとするが、それはサラリーマン社長は短期志向で会社を経営しがちで長期的な視野が欠落しているのだという。これはさもありなんと思うところである。

「ビジョンの浸透に尽力している会社は買い」− 夢を熱く語れる社長かどうかが投資の際に重要というのもよく理解できる。人の心を打ち、従業員がその会社で働くことにやりがいを感じられることが大切なのは言わずもがなであろう。
「過去の苦労話ばかりする会社は成長が止まる」というのも頷ける話である。上記の裏返しであり社長の向いている方向が大事なのは言われるまでもない。

「社長のネガティブ・シンキングは業績の良し悪しとは関係ない」ということは、ダイソーの矢野社長を例に語られる。
「大成功している社長は例外なく《ケチ》で《メモ魔》で《細かい》のだとか。これも分かる気がする。

「自社サイトの社長挨拶の主語が『私』『私たち』の会社は伸びる」−自社サイトに関する法則はいつくか目にした。「社員が多く写っている」「役員の写真が載っている」などであるが、我が社はどうかと考えてみたくなる。こうした法則は、絶対法則ではなく一般的な傾向を表すもの。絶対のものではなく、その理由が大切。

「スリッパの法則」も、スリッパを履くことに合理性があるかどうかが重要なのであり、単に「スリッパを履いているからだめ」というものではない。「晴れているのに傘立てに傘がいっぱいある会社は成長しない」のは、日常の整理整頓ができていないことが窺われる。同様に、「会議室の時計が5分以上ずれている会社に投資してはいけない」も社員が何事にもルーズなところの現れであるとする。

単純に法則を覚えれば良いというものでもなく、大事なのはその根底にある理由だろう。そうした会社の特徴から、後半は著者の主張する「ナオコの法則」なるものが説明される。これは、「ナカマ」「オコナイ」「ココロ」の頭文字を取ったもので、それらはまたそれぞれ、
「ナカマ」− ステークホルダー
「オコナイ」− コーポレートアクション
「ココロ」− ビジョン
のことだとする。さらに「お客様大切度」「従業員大切度」「家族大切度」「事業仲間大切度」「株主大切度」「地域社会大切度」「指導力大切度」に分類される。

よくよく考えてみれば、皆「その通りだろう」ということばかりなのであるが、こうして法則にまとめたのが面白いし、それこそ多くの会社を見てきた著者ならではなのだと思う。自分の会社は果たして良い法則の方に入っているか、チェックしてみるのも面白いと思う。そして当てはまらなければ、良い改善の機会かもしれない。

中小企業に努める身として、大いに参考にしたい一冊である・・・




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2018年05月09日

【アマゾンが描く2022年の世界 −すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」−】田中 道昭 読書日記917



序 章 なぜ、今アマゾンに注目が集まっているのか
第1章 アマゾンの大戦略を5ファクターメソッドで読み解く
第2章 なぜ、アマゾンは「現実世界」に参入するのか
第3章 アマゾンの収益源はもはや「小売り」ではない
第4章 ジェフ・ベゾスの宇宙戦略
第5章 アマゾン、驚異のリーダーシップ&マネジメント
第6章 アジアの王者「アリババの大戦略」と比較する
第7章 ベゾスは真の顧客第一主義者か、それとも利己主義者か
おわりに これから日本、米国、そして世界で起きること

アマゾンと言えば、インターネットの本屋さんというのはもう一昔前の話。気がつけば今は実にいろいろなものを売っている。もともと面倒臭がり屋の私としては、何かを買う際にはまずアマゾンで売っていないかどうかを確認するように(そして大概売っているので買うように)なってしまっている。実に便利な「何でも屋」である。そんなアマゾンについての本ということで、興味を持って手にした一冊。

冒頭、いきなり近未来(と言っても2022年11月)の世界が描かれる。そこは「アマゾン365」という無人コンビニ。そこのオープンスペースで架空の人物佐藤さんは仕事をしている。そこではサイトで購入した衣服の試着もでき、有名レストランの宅配も利用できる。今話題のアレクサが搭載された眼鏡をかけ、今の気分にあった音楽をリクエストする。実家の母はクラス会に来て行く服をアレクサと相談して決め、そんなアマゾンはユニクロを凌駕するSPAに成長している・・・

こんな未来予想図はまだまだ続くが、SF世界の話ではなく、すぐそこにある現実というところがすごい。今やアマゾンのターゲティングも「0.1人セグメンテーション」という、「その人の今」にターゲットを絞っているという。宅配便ではヤマト運輸の値上げ要請を飲んだものの、いずれ対抗手段を講じてくると予測する。「品揃え」「価格」「利便性」という顧客第一主義の重要な三要素を念頭に、アマゾンはビッグデータ×AIをフル活用したユーザーエクスペリエンス(顧客の経験価値)を提供する。

今テレビでもアレクサのCMをやっているが、無人コンビニ「アマゾン・ゴー」音声アシスト端末「アマゾン・エコー」の展開を始めており、確実に冒頭の近未来に向けて歩みを進めている。本来、どちらかになるコストリーダーシップ戦略と差別化戦略を両立して進め、死角がない気がする。「会員にならないと自分が無責任だと思うような存在にしたい」とジェフ・ベゾスが語るプライム会員に、いつの間にか私もなっている。

そんなアマゾンの大戦略が語られる一方で、ジェフ・ベゾスの人物像も描かれる。どうやらスティーブ・ジョブス同様変わった方らしい。大きなビジョンを掲げた長期的視点と高速PDCAを回す超短期の視点と両極端な人間で、「エイリアン」や「火星人」などという評価もあるようである。そしてアマゾンの事業だけでなく、個人で宇宙事業にも手を出しているという。AI時代における人の仕事とは、異質な知性を創造することとする。数字を武器にし、早く失敗して早く改善することを説く。低利益率の戦略は、それゆえに競合企業の参入を防ぐ。ものすごく優秀な人物だと思う。

しかしその一方で、急成長する中国三強IT企業の1社であるアリババとの比較では、欠点も指摘される。トップのジャック・マー氏は「中国のためにインフラを整備する」という公共的な目標を掲げ、人物面で世間の尊敬を集めている。アリババ自体もアマゾンと比べてCSRに力を入れている。アマゾンは逆に地域社会とコンフリクトを起こし、小売店舗に大きな被害を出している。「要塞(=アマゾン)の中での買い物は私たちを幸せにするか」という著者の問いは興味深い。

アマゾンについて書かれているが、後半は問題点も辛辣に指摘しており、単なる礼賛本ではない。アマゾンvsアリババに対抗する新経済圏を創造する担い手としてメルカリに期待を寄せるなどの記述もあり、アマゾンのというよりも、アマゾンを中心とした近未来についての本と言える。これからどうなって行くのか、消費者の立場からは興味深い。

アマゾンについて、その現状と向かう方向を確認し、そして世の中の動きを予測する。そういうことを考えてみることができる。単に楽しみにするばかりでなく、自分の仕事に何かヒントにならないかと考えてもみたくなる。そういう意味で一読の価値ある一冊である・・・





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2010年08月26日

【はとバスをV字回復させた社長の習慣】宮端清次 読書日記96


はとバスをV字回復させた社長の習慣

はとバスをV字回復させた社長の習慣

  • 作者: 宮端 清次
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



1章 倒産寸前の社長に指名されて
2章 V字回復をもたらした8つの習慣
 その1 最初に宣言する
 その2 目標はシンプルなのがいい
 その3 朝一番で現場に行く
 その4 組織を逆ピラミッドにする
 その5 NGワードを決める
 その6 お客様第一主義の徹底
 その7 苦情はラブレターと思う
 その8 「選択と集中」よりも「絞り込み」
3章 リーダーはろうそくになれ!
 
著者ははとバスの元社長。
実は知らなかったのだが、はとバスは10年ほど前に赤字に転落し、銀行融資がストップすれば倒産という事態に追い込まれていたらしい。
そこに送り込まれたのが著者。
そして、1年で黒字化しなければ辞めると宣言して、見事公約を実現。
4年間の在籍中に業績を回復させたという。
これはそんな社長が、はとバスで行った改善をまとめた本である。

この社長、驚いた事に元都庁の職員。
そしてはとバスは東京都が筆頭株主であり、その社長は大株主の東京都とJTBが交互に送り込んでいたのだと言う。
つまり、この方は立派な「天下り」なのである。
東京都の交通局長を務め、大江戸線の開通に尽力し、はとバスに天下りする。

しかし、この方はただお神輿に乗っているだけの人ではなかった。
率先垂範、お客様第一を唱え、朝一番からバスに乗り込んで行ってお客さんに挨拶をする。
自腹を切って月に3度バスに乗り、お客様の立場に立って考える。
社長室を撤廃し、社長車を共有にして往復3時間の電車通勤をする。

運転手、バスガイドといったお客様と直接接する社員とコミュニケーションを取り、提案を受け入れ実行して行く。
そうしてとうとう約束の期限に黒字化を達成する。

こうした仕事振りを示し、リーダーに必要な条件として以下を上げる。
 1 仕事ができること
 2 人間的魅力を持っていること
 3 心身ともに激務に耐え得る体力
さらに「情熱と正義感」だという。

実績に裏打ちされた言葉だけに説得力がある。
こうした人が天下りするのなら誰も文句は言わないだろう。
やる気に火がついた従業員が、次々とヒットツアーを生み出していったという。
仕事をするとはどういうことなのか。そんなヒントに溢れてる。
なんだか、はとバスに乗りたくなってしまった一冊である・・・


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2010年05月30日

【ちっちゃいけど世界一誇りにしたい会社】坂本光司 読書日記70


ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社

ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社

  • 作者: 坂本 光司
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 単行本



プロローグ 会社は、人の幸せに貢献するためにある
第一章  小(お)ざさ(東京・吉祥寺)−なぜ、四〇年以上、早朝から行列がとぎれないのか?
第二章  ハッピーおがわ(広島・呉)−自ら末期がんになっても、本当に困っている人に「な
    くてはならないもの」を届けたい
第三章  丸吉日新堂印刷(北海道・札幌)−障がいのある人が目を輝かせて納品にくる「点字
    付きペットボトル再生名刺」で、一枚につき一円を盲導犬協会などに寄付する
    仕組みを開発
第四章  板室温泉大黒屋(栃木・那須塩原)−リピーター率七三%! 四五〇年以上続く旅館に
    現代アートを取り入れ、“人生の最期に「もう一度行きたい」と思われる宿”に
第五章  あらき(熊本・城南)−店を売る覚悟をした数年前から、世界が認めた「ワインが
    語りかけてくる」酒屋へ!
第六章  高齢社(東京・秋葉原)−持病のパーキンソン病に負けずに、「高齢者に働く場と
    生きがい」を届けたい
第七章  辻谷工業(埼玉・志木)−商店街の小さな町工場で生まれる「世界一の魔法の砲丸」
    と職人魂
第八章  キシ・エンジニアリング(島根・出雲)−「脳障がいの愛娘を救いたい」の一心で、
    世界から評価される福祉機器をつくる    

著者は法政大学大学院教授。
企業研究を行っている人で、すでに「日本で一番大切にしたい会社」シリーズを出版している。これも内容的には同じであるが、出版社が違うためであろうか、タイトルだけが変わった感じである。

取り上げられている企業は全部で8社。
いずれも小さな規模の中小企業である。
利益を追求するのが民間企業の使命であるにも関わらず、ここに登場する8社はいずれもガツガツした利益優先の企業ではない。
経営者の温かく、そして強い思いによって導かれた心打たれる企業である。

こうした企業を探し当てては取材し、紹介している著者のスタンスもまた立派。
世の中、本当にこんな企業ばっかりだったらさぞかし住みやすいであろう。
本当のユートピアとはこうした企業が増えれば増えるほど実現していくものではないだろうか。

紹介されている企業は以下の通り。
1. 小ざさ−吉祥寺で「幻のようかん」を販売する会社
2. ハッピーおがわ−身障者・高齢者向けの福祉衣料寝具製造会社
3. 丸吉日新堂印刷−エコ名刺制作
4. 板室温泉大黒屋−リピーター率73%の現代アート老舗温泉旅館
5. あらき−世界が認めた「ワインが語りかけてくる」酒屋
6. 高齢社−高齢者限定の派遣会社
7. 辻谷工業−オリンピック3大会連続金銀銅独占した砲丸製造企業
8. キシ・エンジニアリング−世界から評価される福祉機器製造

どの企業にも創業や操業にまつわるエピソードがあり、いずれも胸が熱くなるものばかり。
経営者の熱い思いにリードされているがゆえに、優良企業になったのであろう。
こういう企業が一社でも増えて良い世の中になってほしいものだと思わせてくれる一冊である・・・



posted by HH at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする