2020年05月27日

【お前ならできる】小倉全由 読書日記1153



《目次》
序章 甲子園という舞台で力を発揮するには
第1章 チームをつくる
第2章 才能を育てる
第3章 逆境から学ぶ
第4章 人として一流であれ

 著者は日大三高の野球部監督。もう30年以上のキャリアがあり、甲子園出場14回、内優勝2回を誇る名監督である。自ら日大三高出身で、監督は関東一高を経て現職。そんな監督が、自らの考えを綴った一冊。

 日大三高の野球は、「打ち勝つ野球」だと言う。勝つ野球とか負けない野球とか、それぞれ特色があった方が良いと思うが、この点、実に明確である。目指すのは10-0で勝つ野球なのだという。そんな打ち勝つ野球に必要な打撃力を高めるには、自分のスイングを作っていくことが大事。それも豪速球を打つよりも緩くて簡単なボールを自分の正しいスイングで打ち返す練習が効果的だとする。野球少年にはいいアドバイスかもしれない。空振り三振は仕方ないが、見逃し三振は叱るというのも積極性を高めるだろう。

 チームの合言葉は、「練習は嘘をつかない」。よく聞かれる言葉であるが、その裏にあるのは、「だから練習しよう」だろう。冬に名物ともなっている15日間の強化合宿があって、かなり辛い合宿らしいことは行間からも伝わってくる。それでも監督、コーチをさん付けで呼ばせ、明るい雰囲気づくりをしているという。個人的にもチームスポーツを経験しており、これは非常に大事だと思う。ピリピリした雰囲気も大事かもしれないが、本当の実力は発揮できない気がする。

 監督就任前は、チームには理不尽なしきたりがいろいろあったという。食事の時も黙って黙々と食べ、ソースをかけるのも上級生にお伺いをたてる有様。洗濯、バッティング練習も上級生優先。それを1つ1つ変えていく。その陰には奥様のアドバイスもあったというが、食事もテレビを見たり話をしたりと家庭内でのように解禁。すると、管理人さんに「今日のおかずは?」と聞く子も現れ、食事も含めて楽しい雰囲気に変わったという。

 厳しいだけではなく、差し入れも部屋のみんなに分けるならOK。男女交際も最低限のルールさえ守ればOK。高校生だからエロ本を見たりもするが、モラルだけは守らせ、細かいことは言わない。チームスポーツはやはりチームの雰囲気作りがまず大事だと思うが、そんな思いを改めて強くさせてくれる。肉体的にも精神的にも高校生は成長期にある。そのあたりは大人とは異なる。高校野球の監督は、そんな大人作りの役割もある。

 監督としての指導については、ビジネスでも応用できそうな考え方もある。
1. 信頼関係はまず監督が選手のために全力を尽くすことから
2. 補欠選手にだってやりがいがあることをきちんと伝える
3. プライドや実績にこだわらず柔軟性をもって時代に即した指導法を導入する
4. 褒めることが自主性を伸ばし、やる気を出させる
5. 掃除をすることで生まれる連鎖と進歩
6. 感謝の気持ちの基本になるのが日々の挨拶
7. 責任を持たせれば人はぐんぐん成長する
 
 名監督だからと言って、野球だけ教えれるのがうまければいいというものでは当然ないだろう。それがこの本を読むとよくわかる。仕事とスポーツは似通った部分が多いと感じている。職場づくりはチーム作りに相通じる。そんなことを読みながら改めて実感する。ビジネス視点でも大いに参考になる一冊である・・・





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2020年04月21日

【猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯】アントニオ猪木 読書日記1143



《目次》
第1章 プロレス界「最大の謎」を猪木本人に問う!
第2章 猪木・最盛期「昭和」の弟子たち
第3章 猪木・現役晩年「平成」の弟子たち
第4章 新日本・前夜“若獅子”時代を知る男たち
第5章 外部から見た“燃える闘魂”の実像
特別インタビュー サイモン・ケリーが語るアントニオ猪木と「新日本・暗黒時代」の真実
アントニオ猪木1943‐2019完全詳細年表

 小学生の頃からのプロレス好きであり、最近はめっきり見なくなってしまったが、それでもこの手の本を見ればついつい手にしてしまう。「伝説の真相」というタイトルは大げさだが、様々な角度からのインタビューでアントニオ猪木を語った一冊である。

 はじめに猪木本人のインタビューである。ここで、第一回IWGPグランプリの決勝戦について、「昭和のプロレスのミステリー」とする。「舌出し失神事件の真相」と威勢はいいが、肝心の猪木の回答は「真相」には触れない。ただ、ハルク・ホーガンのアックスボンバーを受けて「言語障害が出た」と述べるに止まる。それはそれで悪くはないが、ならあまり大げさに煽り立てないほうがいいのにと、構成の下手さ加減に呆れる。

 1999年1月4日の小川・橋本戦も猪木が黒幕とされているが、それにも触れられない。肝心なところがぼかされている。だが、「今のプロレスは強くない奴がスターになる。カッコばかり気にして強さを求めない」という発言は、さすがだと感じさせる。「猪木イズム」であるが、それは「繋げなかった」と語るが、そもそも「猪木イズム」ってなんだというのもある。ありもしない幻を指しているような気がする。

 そんな本人が繋げなかったという「猪木イズム」を佐山聡は「タイガーマスクとは猪木イズムの結晶」と語っているところが興味深い。猪木イズムとは、プロレスでも格闘技でもないとするのはいかにも佐山らしい。入門した頃の親日道場は、練習はセメントの練習ばかりだったという。みんな強くて、その中でも猪木が一番強かったらしい。佐山は猪木に「お前を格闘技の第一号にする」とまで言われていたという。当時はなぜ異次元空中殺法から離れてしまったのかわからなかった。こういう内幕は面白い。

 周りのレスラーたちの話もまた興味深い。藤波は何と言っても新日本プロレス立ち上げメンバーでもあり、独立時の話は見えない未来に向かっていた雰囲気が漂っていてなんとも言えない。藤原は付き人から見た猪木の素顔を伝える。「パンツを自分で洗っていた」「UWF移籍を引き止めてくれなかった」。蝶野は猪木が風呂で使い終わった後水で流して綺麗にしていたと証言する。こういう見えないところのトップの意外な姿勢は大事だと改めて思う。

 武藤はちょっと猪木とは系統が違うレスラーであるが、「自分を裏切ったような人間でも受け入れる度量がある」と猪木を評する。古い頃を知るグレート小鹿は「アイデアの猪木、カネの馬場」と語る。スパーリングでは力道山も猪木に勝てなかったという話は実に面白い。そんな猪木ももう77歳だという。若い人たちは、アントニオ猪木など名前と「ダァー!」くらいしか知らないのではないかと思う。かつて熱中していた頃が懐かしく思える。

 アクラム・ペールワン戦はガチンコで、後日墓参りに行ったこと、モハメド・アリと結婚式で語り合ったことなど知られざるエピソードや、4人目の奥さんが最近亡くなったという近況のこと、やっぱり興味深いエピソードは読むと面白い。あの頃は面白かったなと改めて思う。かつて熱中したプロレス世代には、いい暇つぶしになる一冊である・・・




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2020年04月13日

【ラグビー知的観戦のすすめ】廣瀬俊朗 読書日記1140



《目次》
第1章 ラグビーをやっているのは、こんな人たちだ
第2章 ラグビーはこう見ると、よくわかる
第3章 「世紀の祭典」ワールドカップと、世界ラグビーの勢力図
第4章 僕がラグビーを大好きな理由

著者は、ラグビーをちょっと知っている人ならよく知っている元日本代表キャプテン。2015年のワールドカップで日本は南アフリカに奇跡的な勝利を挙げたが、直前の2013年にキャプテン交代となっていたので、ちょっと悔しかっただろうなと思えてしまう。それでも昨年のワールドカップ日本大会では影で活躍されていたことは知っている。そんな著者のラグビー本である。

第1章と第2章は、ラグビー初心者向けの解説で、ラグビーを知っている者には今さら感がある。それでも「各ポジションのキャラクターがわかればラグビー理解がグンと深くなる」なんて視点は、初心者向けには面白いかもしれない。「結婚するならフロントロー」なんて確かにその通りだと思うし、各ポジションの特徴をよく捉えていてこれはこれで面白いと思う。第2章は、「なぜパスを放るのか」「なぜキックを蹴るのか」等、「初心者向けの説明の仕方」という意味で参考になる。

第3章からは、ラグビーを知っている者でも楽しめる知識が満載されている。イギリスで起源となったフットボールのこと。サッカーとは「兄弟関係」にあることは、『ラグビーをひもとく』にも書かれていたが、この本ではさらにカップ戦の誕生なんてエピソードがあり、なんでワールド「カップ」っていうのかがわかる。ラグビーのワールドカップは長年のアマチュアリズムがネックになって第1回大会が開かれたのがようやく1987年になってからだったこと。この辺りは興味深い。

第3章の後半は、ラグビーワールドカップ日本大会の見所解説。もう終わってしまったが、改めて振り返ってみるのも面白いかもしれない。逆に大会前に読んでおくべきだったと改めて思う。第4章は、著者の経験の中から語るラグビーの魅力。最大の魅力は「多様性」だという。これはよく言われるが、ラグビーにはいろいろなポジションがあり、背が低くても高くても太っていても適したポジションがある。また、今私自身楽しんでいるように、改めてやったことのないポジションにチャレンジするのも面白いことである。

最後に著者がワールドカップに向けて準備していた「スクラムユニゾン」という活動は本当にすごいと思い。これは各チームの国歌やアンセムを歌っておもてなしをしようというもの。各地でこれをやって喜ばれ、評判になっていたが、これは誰でもできることではなく、日本代表まで務めた著者ならではのことだろう。試合に出られなかったのは悔しかっただろうし、残念だったと思うが、こういう裏方の活躍はそれ以上のものがあると思う。日本大会が世界に評価されたとしたら、著者は確実にその一翼を担っているだろう。

「にわかファン」が増えたのも記憶に新しいところ。ラグビー界を支えている著者の、初心者が読んでも経験者が読んでも一読の価値ある一冊。次のワールドカップの時にまた思い出したい一冊である・・・


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2019年11月21日

【オールブラックス圧倒的勝利のマインドセット】今泉清 読書日記1094



《目次》
第1章 フィールドで体感した「勝利」のイノベーション
第2章 頂点に立つ男たちの「凡事徹底」というポリシー
第3章 [貢献]勝ちたければ、あえて組織の歯車になれ
第4章 [リーダーシップ]ラグビーのヒーローは、自己を犠牲にできるプレーヤーである
第5章 [コミュニケーション]粘り強く意思を交換せよ
第6章 [戦略]圧倒的な準備で、貪欲に勝利を求める
第7章[マインドセット]「無死の心」がビッグプレーを生み出す

 著者はラグビーの往年の名選手。早稲田大学の現役時代はよくテレビでプレーを観ていたものである。ラグビーのW杯が日本で開催され、予想外の人気を博していまだに余韻に浸る中であるが、そんな中でブームに便乗したかの如きタイトルの本であり、タイトルだけで判断するなら絶対に手にしなかったであろう。それを手にしたのは、まさに著者が今泉清その人であったからである。

 著者は、早稲田の現役時代にオールブラックスのコーチに指導を受けたことをはじめとして、卒業後にはニュージーランドに留学もしていたという。そして自身が経験したオールブラックスの様々なことをビジネスにも通じるエッセンスとして紹介しているのが本書である。その内容は、ラグビーファンとしてもまたビジネスマンとしても興味深いものである。

 オールブラックスの強さの秘訣の1つは、「当たり前のことを愚直にやりきる凡事徹底」だという。パス、キャッチング、キック、タックルなどの基本スキルに徹底して磨きをかけるのだとか。これはラグビーをやる上でも大変参考になる。そして各人が意識しているのは、「勝つために自分の持っているスキルをいかにチームプレーに適合させるか」だという。自分だけとにかく頑張るというスタンスではないようである。

 基本はラグビーの試合に臨むスタンスであるが、ビジネスにも通じる考え方がいろいろと紹介される。
1. 自分が活かされたいと思うならば、まずは周りを活かす
2. ハードワークが成功のもと、努力は裏切らない
3. 絶対的な目標を持てば、ハードワークがハードワークに感じなくなる
4. 有言実行、リーダーが自ら手本を示す

 特に「キャプテン」と「リーダー」の違いが目からウロコである。すなわち、「キャプテン」はチームに1人だが、「リーダー」は誰がなってもいいということ。いつでもリーダーを引き受けられる、そういう準備を全員が整えていることでチームは最終的なゴール=勝利へと導かれていくとする。確かにその通りだと思う。

1. 指示されたメニューを受け身にただ寡黙にやる練習、目的も定めずに根性でやる練習はなんの意味もない
2. 強いチームは対話から生まれる
3. 自分の意見をはっきり主張しないと周りから評価も信頼も得られない
4. Under-Standなコミュニケーション
 Under-Standとは、まさに下から目線とでもいうべきものであろうか、うまいことを言うなと思う。

1. 論理的に筋道を立てて自分の持っている情報を相手と交換するコミュニケーション
2. できない理由でなく、できる理由を探せ
3. チームメイトを尊重できない人間はいざという勝負どころでチームに貢献できない
4. 型があるから型破りができる、型がなければかたなし

 技術論は少なく、コミュニケーションや考え方の説明が大半である。そしてタイトルにある「マインドセット」とは、「ものの見方や考え方の基本的な枠組み」だとする。これはビジネスにおいても最も根本的なことだと思う。個人的にはこれに「パッション」と「創意工夫」がビジネスマンの三種の神器だと思う。

 ラグビーの本であるかのようなタイトルだが、ビジネスにも十二分に通じる考え方が記されている。ラグビーファンならずとも、ビジネスマンにとっても有意義な一冊である・・・


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2019年09月11日

【挑む力 桑田真澄の生き方】桑田 真澄 読書日記1070



《目次》
桑田真澄の原点
メジャーリーグへ
早稲田大学大学院へ
野球を愛する皆さんヘ

一読してなんとなく既視感のある本だなと感じたが、野村監督の本もそうであるように著書が多くなるとあちこちで同じような話が出てくるものである。それゆえにこの本もそうかと思っていたら、実は『野球の神様がくれたもの』を改題し、大幅な加筆修正と再編集を行ったものだという。何となく損した気分になるが、それはそれでよしとしたい。

少年野球の頃は、練習では理不尽なイジメのような仕打ちを受け、それが原体験となって野球の指導のあり方を考える。PL学園では良き指導者に恵まれて頭角を現し、1年ながら甲子園のメンバー17人に選ばれる(ここでも妬んだ先輩からイジメを受ける)。この時、短時間のメンバー練習で「長時間練習すればいいというものではない」と合理的な練習に目覚める。

清原は初めから実力があり、上級生からも一目置かれていたという。しかし、桑田は雑用係の日々。こうしたスタートの違いが「謙虚に研究努力する」というその後のスタンスにつながったのかもしれない。人間やはり天狗になってはいけないということだろう。桑田は「学ぶ姿勢が大事」と気付き、「考えること」の重要性を認識する。理不尽な指導も「当時はあれが正しかった」と意に介さない。

読売ジャイアンツを退団し、メジャーに挑戦する。今は普通になっているが、桑田はジャイアンツでは事実上の戦力外扱い。そのまま引退すれば指導者への道もあったのかもしれないが、桑田はメジャー挑戦を選ぶ。読売ジャイアンツを退団して新しい挑戦をするにあたり自分自身に問いかけたのは、「野球が好きなのか、それともレギュラーやエースの座が好きなのか」ということ。これはなににでも当てはまることなのではないかと思う。

「ライバルは誰ですか」と問われると、「自分自身」と答えているという。その理由は「自分に勝てない人間が他人に勝てるはずがないから」だとする。このあたりはいろいろな考え方があるからなんとも言えないが、「気持ちで負けたら終わり」というのは間違いないと思う。「自分らしさが一番大事、自分には自分なりの長所があり、持ち味がある」という言葉には気づかされるものがある。

さらにバランスの大事さも説く。野球においては、「トレーニング・食事・休養」のバランス。若い選手には「野球・勉強・遊び」のバランス。自分に置き換えてみれば「仕事・勉強・趣味」だろうか。一度読んでもその時々で心に引っかかる言葉は違うものなのかもしれない。そういう意味では、二度読んでも損をしたとは思えないところがある。

やはりどんな分野であれ一流になるだけの人の言葉には、学ぶべきことが多いと実感させられる一冊である・・・

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2019年04月18日

【決断=実行】落合 博満 読書日記1020



 野村克也元楽天監督の本も良く読んだが、それに次いで「出たら読みたい監督の本」として挙げられるのが、落合元中日監督の本であろう。数えてみれば、読むのはこの本で6冊目である。
 落合監督と言えば、中日の監督就任時に「現有戦力で戦う」と言って補強せずに優勝してしまったことがまず挙げられるが、「初めから特別な能力を持っている人などいない」と語るのは、その表れかもしれない。プロで成功した選手でも「素質だけに頼った人よりも死に物狂いでプレーした人が圧倒的に多い」とする。凡人には励みになる言葉である。

 冒頭では、「ただひたすらに仕事に取り憑かれろ」と語る。「どんな仕事でもそのうちに経験が生きることがある」とする。要は「若いうちの苦労」ということだろうが、みんなおんなじようなことを言っている。それゆえに真実だと思うが、働き方改革喧しい咋今の風潮はちょっと心配な気がする。監督になって「自分ができることを伝えるのではなく、できなかったことを勉強」したというが、こういうスタンスも大いに学びたい。

 監督は、現場では独裁者であり、次々と決断しなければならない。したがって野球を深く勉強するが、その際自分と異なる意見や考えを否定せず、なぜそう考えるのだろうと分析しておくことが大事だとする。落合ほどの大選手でもまだ勉強し、さらに人の考えも否定しないというスタンスは、自分のような凡人はよく学ばねばならないところである。

 1. 諦めた者が負け、諦めさせた者が勝ち残る
 2. 選手やチームを客観視できる目
 3. 大切なのはいかに基本的な練習に根気強く取り組むか
 4. 好奇心は自分を成長させ、感性を豊かにする
 野球について語っていても、気がつけば野球以外にも当てはまりそうなことである。

 野球と言えば「チームプレー」であるが、9対10の敗戦の話は大いに心に残った。そのようなケースでは、9点も取った打線は「なぜ10点も取られるのか」と投手陣に反感を持つ。勝てないチームは点が取れている時は打撃陣が、抑えている時には投手陣が大きな顔をするからいつまで経っても「試合に勝つ」という根本的な問題を解決できない。投手陣は9点取ってもらった試合は8点に抑える、野手陣は5点取られたら6点取り返してやろうとプレーするのが勝てるチームだとする。

 当たり前のようであるが、チームプレーとはそういうことだと思う。チームで勝つということを考えた時に当たり前の理屈である。これは会社の組織でも大いに言えることだろう。
 一流の監督の言葉には、野球のことを語っていても、ビジネスマンに大いに当てはまることが多い。学ぶべきところが読むほどに出てくるから、次々と手にしてしまう。「また次も」期待して手にしたいと思わせてくれる一冊である・・・





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2018年08月28日

【落合博満バッティングの理屈−三冠王が考え抜いた「野球の基本」−】落合 博満 読書日記949



第1章 野球は理屈で考えよう
第2章 目とバッティング
第3章 軸足の使い方
第4章 下半身のメカニズム
第5章 上半身のメカニズム
第6章 スタンスについて考える
第7章 大きく速いスイングを身に付けよう
第7章 大きく速いスイングを身に付けよう
第9章 野球選手のためのトレーニングとは
第10章 いくつかの“どうすればいいか”を解決する
第11章 写真で確認する正しい技術と動き
第12章 腕とバッティング
第13章 バッティング技術が向上する練習法
第14章 相手バッテリーを丸裸にする
第15章 机の上でも野球をやろう
第16章 技術も上達させる野球の考え方
第17章 選手と指導者は二人三脚でレベルアップを目指そう

 何の分野であれ、成功者には学ぶべき点がいろいろあると考えているが、特に野球選手の本は得るものが多いと感じている。野村監督の本はその最たるものであるし、落合の本もしかり。そしてこの本は、その落合が書いたガチガチのバッティングの本であるが、別に今から野球が上手くなりたいと思うわけではないが、何か得るところがありそうな気がして手にしたものである。場合によっては、野球をやっている中学1年の息子に読ませてもいいかと考えたのである。そしてやっぱり一読してその考えは間違っていなかったと実感したのである。

 はじめに「野球は理屈で考えよう」とくる。何でもそうであるが、「考えてやる」ことはとても重要であると考えている。「考えてやる」とはすなわち「理屈通りにやる」ことに他ならない。最初にこの言葉が来る時点で、さすがだと思う。そして「バッティングの基本はセンター返し」なのだそうである。これは、「ボールを打つ時は両肩を結んだ線と平行に打ち返すことがもっとも理に適っている」というもの。ノックを例に説明されるとわかりやすい。

1. 両目でボールを捉え、正しいコンパクトなスイングで打とう
2. ティーバッティングや素振りも実戦に即して行う
3. バッティング練習とは、ボールを打つことではなくひたすらバットを振り込むこと
4. いいバッティング評論家を目指そう
5. スランプになったら基本に戻る。基本とは食事と睡眠
すべて技術的なことではあるが、難しいことは何1つない。私はラグビーをやっているが、技術に関しては相通じるものがあると感じる。

 「肘を抜く」なんてちょっと意味のよくわからない言葉も出て来るが、意外な考え方を知ることも多い。例えばカーブの打ち方は、特別なものはなく、ただカーブを「ストレートよりも遅い球」として「ストレートを待ってスピードの遅いボールを打つ」としている。その前提として、「どんなスピードのボールに対しても自分のミートポイントで打つ」という基本があるのだが、こういう考え方は自分にとっては初めてである。

 さらに大魔神佐々木のボールをどうしたら打てるかと聞かれ、落合の答えも目から鱗。それは「どうせ打てないならフォークはすべて見逃す。それで3球続けてフォークを投げられたらごめんなさい。ストレートだけを狙ってそれを確実に打つことを考える。」なるほどであるが、私だったらどうやったらフォークを打てるのかだけを考えてしまう。

 一貫して感じるのは、「野球に対してストイックである」ということ。徹底的に、それこそ本が一冊書けるくらい考えて工夫し、バッティングについて極めている。だからこそあれだけの実績が残せたのであろう。このスタンスはビジネスでも応用できるものである。「野球人生は常にオン。本当のオフはユニフォームを脱いだ後に一生味わえる」という言葉も深いと思う。自分も自分の生きていきたい分野において、かくありたいと思う。

 純粋にバッティングの本なのに、バッティング以外にも学びの多い一冊である・・・




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2018年08月15日

【ラグビーをひもとく】李 スンイル 読書日記945



序 章 フットボールとレフリーをひもとく
第1章 オフサイドをひもとく
第2章 スクラムをひもとく
第3章 ラック、モールをひもとく
第4章 タックルをひもとく
第5章 ラインアウトをひもとく
終 章 「ラグビー憲章」をひもとく

若い頃、ラグビーをやっていて、最近シニアチームで再びラグビーをやるようになって感じていることは、「ラグビーは進化している」ということ。それゆえに、「もう十分わかっている」とは思わずに、積極的に本を読んだりして知識のアップデートをしているが、そんな矢先に紹介されたのが本書。著者は、自身ラグビー経験もあり、今は関東ラグビーフットボール協会の公認レフリーでもあるライター。読んでみて目から鱗の一冊である。

ここに書かれているのは、知っていそうで知らない事、よくわかっていない事の諸々。まずはラグビーの発祥伝説にスポットライトを当てる。それはよく知られた「エリス少年伝説」。曰く、「エリス少年が、サッカーの試合中に興奮してボールを持って走ってしまったことによって始まった」というもの。ラグビーをやる者であれば誰もが知っているエピソードであるが、実は事実は少々異なるらしい。

そもそも、原型の「フットボール」は村の祭りとして村全体の敷地を利用して行われていたものらしい。それが、祭りからゲームとして各地で行われるようになり、そうするとルール整備の必要が出てきて、それがサッカーになり、ラグビーへと進化したのだという。どうやらサッカーとラグビーは「親子」ではなく、「兄弟」関係が正解のようである。そんな「へええ」が続く。

ラグビーのルールはわかりにくいとはよく言われる。そのルールであるが、実は「ルール=規則」ではなくて、「ロー=法律」なのだという。事実、競技規則の英語版は「Laws of the Game」となっているという。そしてイギリスのLawは慣習法。すなわち慣習によって上書き保存されていく方式である。みんながラグビーというゲームをしながら不都合や新しいアイデアに際し、協議して変えていくもので、だからこそ毎年のように変わるのだとか。

ラグビーの審判がなぜ、アンパイアではなくてレフリーなのか。アンパイアは、白か黒かを判断するのが役目で、レフリーのそれは「仲裁」。だから白か黒かの判断ではない。ラグビーでも白か黒かを判断する役割もあって、それを担うのが「タッチジャッジ」。最近は「アシスタントレフリー」が登場しているが、外からメインレフリーが見えなかった反則を指摘したりしているのはそういうわけだと知る。だからラグビーには「アドバンテージ」があり、反則があったかなかったかを判断(ジャッジ)するアンパイアが裁くのではないのである。これも「へえぇ」である。

「オフサイド」はわかりにくい反則の1つ。ラグビーにおける「サイド」の意味から始まり、そこから派生して、なぜ得点を取ることを「トライ」というのかが解説される。それにはやっぱり「へえぇ」な理由があって、だからトライ後のゴールは「コンバージョン=転換」ゴールと呼ばれているのだとわかる。スクラムには5本のオフサイドラインがあるなんて、言われてみればなるほどであるが、意識しているプレーヤーは少ないと思う。

こんな調子で、スクラムやモール・ラック、ラインアウトが紐解かれて語られていく。わかっているつもりでわかっていなかったことがボロボロと出てくる。なぜラインアウトはラインから「投げ入れる」のに「アウト」なのか。言われてみればの世界が続く。ラグビー経験者でも知らない人がほとんどではないかと思う。

読んでわかるのは、ルール(ロー)に秘められたラグビーの精神。それは素人が読むより経験者が読むべき内容。理解することによって一層プレーが楽しめ、また観戦も楽しめる。「もう十分知っている」とは言わずに、経験者こそ読むべき必読の一冊である・・・



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2018年06月06日

【幸運な男 伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生】長谷川晶一 読書日記927



序 章 偽りの引退
第1章 萌芽 − 1993年・ユマキャンプ
第2章 覚醒 − 強心臓ルーキーデビュー
第3章 脱皮 − 高速スライダーができるまで
第4章 飛躍 − バルセロナ五輪出場
第5章 酷使 − 6月の全694球
第6章 暗闘 − 長引くリハビリ
第7章 復活 − カムバック賞獲得
第8章 異変 − 再びの手術
第9章 岐路 − 1年間の執行猶予
第10章 転身 − 第二の人生の始まり 
第11章 奮闘 − それぞれの、それから
第12章 幸運 − 彼は本当に「悲運」なのか?
終 章 最後の一日

その昔、「野球小僧」だった頃は、プロ野球の情報は隅々まで目を通していたと思う。贔屓のジャイアンツや阪急ブレーブス以外の球団でも、ある程度の選手名は把握していたと思う。それがラグビーの世界に転じてから、たまに新聞に目を通す程度になってしまい、以来ジャイアンツを含めて、野球選手については疎くなってしまった。この本の主人公である伊藤智仁についても、この本を手にするまで知らない有様だった。

その伊藤智仁の物語は、いきなり現役引退の日から始まる。引退イベントに向かうも、実は心の中で復活の夢を描いていたという。彼は一体、どんな投手だったのか。1993年のユマキャンプからそれは始まる。その年、社会人野球からドラフト1位で入団した伊藤は、野村監督の度胆を抜く。野村監督は、今でも先発ピッチャーの歴代No. 1に伊藤智仁をあげているという。このキャンプで野村監督は、伊藤を絶賛する。

そしてシーズンが開幕。伊藤は初登板で見事勝利投手となる。伊藤の武器は、「高速スライダー」。その切れ味は、名捕手古田も「No. 1」と絶賛し、名選手立浪をして「打てない」と語らしめるもの。その高速スライダーは、甲子園の夢破れて高卒で入社した三菱自動車京都製作所で、同僚にたまたま習ったという。もともと肩関節の可動域の広い体質に長い腕といった特徴が、うまくはまったようである。

高速スライダーという大きな武器を手に、伊藤はバルセロナ五輪に選出され、それがスカウトの目に止まってドラフト1位でヤクルトの指名につながる。デビュー以来、順調に活躍していたが、7月の登板時、肘に異変が生じる。それが暗転のきっかけ。それから長いリハビリ生活が始まる。活躍したのはわずか2ヶ月半だったにも関わらず、松井秀喜を抑えてこの年の新人賞を取ったのだからやはりすごいと言える。

一旦、カムバックしたものの、活躍は長く続かず、再び怪我の再発。結局、伊藤のプロ野球人生は怪我との戦いだったようである。投手成績としては、37勝27敗25Sであるから、大したものではない。しかしながらこうして本に書かれるということは、俗にいう「記録より記憶に残る」ピッチャーだったからに他ならない。

その勇姿は、今でもYouTubeで見ることができる。篠塚との対戦など、本で書かれているシーンを映像で確かめられる現代は、実にありがたい。人間の真価は、苦境にあるときにこそ出るのかもしれない。実力世界のプロにあって、ボールを投げられないと言うもどかしさはさぞかしだったであろう。その中で、「異常の正常」と言う考え方は、似たような状況にある人には参考になるかもしれない。

著者は、スポーツライター。たまたま伊藤のデビュー戦をスタジアムで観戦し、引退試合もその場にいたと言う。ぜひ、自分の手で伊藤智仁の物語を書きたいと言う気持ちがあったのだろう。それが全編にわたって行間に溢れている。つくづく、現役時代に見てみたかったと思う。知らなかった名投手の野球人生。ファンでなくともじっくりと味わえる一冊である・・・




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2018年05月23日

【日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう「観戦力」が高まる本 もっと楽しく観るためにあなたが持つべき視点とは!?】斉藤健仁 読書日記922



CHAPTER 1 戦術・システムから見る日本ラグビーの現在地
CHAPTER 2 「観戦力」と「駆け引き」を極めるために持つべき視点
CHAPTER 3 世界最高の指揮官に学ぶラグビーの戦術・システム

個人的にラグビーをずっとやって来たこともあって、スポーツの中では間違いなく一番好きなのがラグビーである。しかしながら、私が現役時代だった頃から20年が経過し、ラグビーも随分変化して来た。昔の古い知識をアップデートしたくて手にした一冊。内容はと言えば、タイトルにある通り日本代表を手本にした現代のラグビーの戦術・システムの解説である。

日本代表と言えば、2015年のW杯で強豪南アを破り、史上最大の大番狂わせと言われ、予選では何と3勝を上げ、残念ながら決勝トーナメント進出はならなかったものの、それ以前の成績から比べると奇跡のような結果を出したのも記憶に新しい。その立役者であるエディー・ジョーンズヘッドコーチは日本代表を辞め、今はイングランドのヘッドコーチに転身している。新しいヘッドコーチはジェイミー・ジョセフ。著者による解説はジョセフHCについての説明から始まる。

ジョセフHCは、スーパーラグビーのハイランダーズを率いて優勝を成し遂げたプロコーチで、日本代表の戦術はハイランダーズも取り入れていた「キッキングラグビー」になるとする。キッキングラグビーは、世界のラグビーの動向の1つであり、体格に劣る日本代表には適しているとする。ニュージーランド流の「ポッド」と合わせることで、効率的に進められるとする。

この「ポッド」なるものも現代流の1つで、20年前には当然なかった考え方。「2-4-2」の「3ポッド」、「1-3-3-1」の「4ポッド」がある。これに「9シェイプ」とか「10シェイプ」とかのスタイルが加わるのであるが、用語からしてオロオロしてしまう私などからすると、丁寧な解説が有難い。さらには「T-システム」と呼ばれるアグレッシブに前に出るディフェンスシステムのことなど、目新しい概念の解説が有難い。

そうした基本概念の解説の後、日本代表の実際のゲームにおいてこれらが解説されていく。ゲームは2016年のテストマッチから昨年の対世界選抜、ワラビーズ、トンガ、フランスらとの試合が振り返られる。それらは昨年11月の試合もあり、事例が湯気が出るほど新しいのも有難い。さらに基本解説として、「トライの定義」から始まり、各プレーに渡る基礎講座もあるので、初心者にとっては「観戦手引き」にもなるかもしれない。

それらの基礎講座は素人向けではあるものの、我々のようなオールドタイマーにとっては、例えば「ブレイクダウン」「チョークタックル」などの新しい概念の説明もあるから、密かに学び直すのに持ってこいとも言える。昔は膝から下に行く「チョップタックル」と抱えて倒す「スマザータックル」しかなかったから、ターンオーバーを狙うチョークタックルなんてものは実に目新しい。昔はタックルと言えば、「チョップタックル」であったから、これも時代(というよりルール)の流れである。

最後に奇跡の大番狂わせの南ア戦が振り返られる。考えてみれば、エディーさんはやっぱり大したものだったんだと改めて思わされる。ラグビー初心者にもまた再学習者にも程よい内容の教科書である・・・





posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする