2017年05月22日

【ニュースで学べない日本経済】大前研一



序 章 今求められる教養は「本質を見抜く力」
第1章 世界と日本経済の「3大リスク」
第2章 校長経済国家・地域に注目せよ
第3章 染色体が異なる21世紀の企業たち
第4章 日本経済「低欲望社会」をどう生きるか?
第5章 迫りくる危機にどう立ち向かうか?

 定期的に読んでいる大前研一本である。今回は、まさにタイトルにある通り、ニュースを見ているだけではわからない物事の裏側を大前研一が語った一冊。
まずは、「過去の経済原理が通用しなくなった今、どうすべきか」と問われる。アベノミクスのアドバイスをしている人たちが根拠としている経済原理はすでに過去のもの。「低欲望社会」の日本には当てはまらない。金利がつかなくてもひたすら貯金をする我々日本人の姿は、世界の7不思議の一つと言い切る。中原圭介氏も同じようなことを言っているが、そんなことはニュースを読んでいてもわからないとする。確かにその通り。

 なぜかと言えば、ニュース記者も物の見方が非常に局所的で、問題がどこにあるのかを理解していないからだとする。
ならどうすればいいのであろう?
著者は、「疑問を持ち、調べ、質問する能力を身につけよ」と答える。
「自分で世界を見て、自分で解決策を考える。」
言うほど簡単ではないが、意識はしたいと思う。

 今、世界経済が抱えるリスクは3つ。
1. 中国経済の減速
2. アメリカの利上げ
3. 地政学リスク
中国の第13次五カ年計画はすべて絵に描いた餅という。こういうことは、なかなか素人的には難しい。話題となったAIIBであるが、日本は参加すべきではないとする。それは、「儲からない」「リスクが高い」「国内事情が優先する」と言った理由らしい。

 こうした経済ニュースが、著者によって諸々語られる。
1. 還流マネーが世界の金融市場を荒しまわる
2. 独裁的指導者の時代
3. オリンピックは景気回復に結びつかない
4. グローバル企業のM&Aと節税の実態
このあたりは、なんとなくわかっていることも多い。

 「法人税は90%にすべき」という考えには仰天する。だが、その理由として、法人税率を下げて投資と賃金に回った国はないと聞くと、そうなのかと思う。90%にすれば、「国に持っていかれるくらいなら」と設備と人件費に回すと言う。理屈から言えばその通りかもしれない。
「日経を読むと世界が見えなくなる」という指摘もドキリとさせられる。日本のトップ企業と言っても、世界市場では「その他」のレベルであるというのがその理由。なるほどである。

 ただし、すべて同意というわけではない。「日本の持ち家率は世界でも類を見ない」と言うが、「持ち家派」の自分としては、それが悪いとも思えない。「日本人の染色体に宿る病魔」と言うのはいかがかと思う。
新卒一括採用の日本企業では、例えばIIT(インド工科大学)の優秀な生徒は取れないと言う。みんな40,000〜160,000ドルくらい取るらしいからで、難しい問題だが、このあたりは考えないといけないのかもしれない気がする。

 地方創生の3つのモデルは、
1. 自給自足経済=「地産地消」
2. 道州制
3. 都市国家モデル
とする。特に「イタリアには大企業がない」と言う指摘に驚かされるとともに、中小企業でも卑屈になる必要はないのだと思わされる。

 最後は著者らしく、「若者よ、好きな場所で好きな仕事をしろ!」と檄を飛ばす。著者らしいと言えば、著者らしい。
相変わらず、読めば刺激が得られる。こう言う刺激は受け続けないといけないと思う。考える力を養い続けるためにも、著者の言動にはこれからも注目していきたいと思わされる一冊である・・・



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2017年04月11日

【大前研一 アイドルエコノミーで稼げ!】大前研一



第1章 アイドルエコノミーで、新しいビジネスを想像せよ 大前研一
第2章 ネスレ日本のイノベーション 高岡浩三
第3章 日本交通のスマホアプリ戦略 川鍋一朗
第4章 印刷業界を変えるアイドルエコノミー

 大前研一の本となれば、ほぼ無条件で読んでいる。内容はいろいろだったとしても、共通しているのは、どれも読んで損はないからである。そう思って手にした一冊だが、何と内容は4章に分かれていて、肝心の大前研一の担当は第1章のみ。ちょっと騙された感が漂うが、どうも「ATAMIせかいえ」という勉強会をベースにしているようだが、この本のどこにもそんなことは書かれていないのでわからない。実に不親切、不正直な本と言わざるを得ない。

 それはそれとして、タイトルのアイドルエコノミーであるが、近時あちこちで取り上げられていて、ちょっとしたブームになっている。アイドルエコノミーとは、自分ではリソースを持たず空きリソースを見つけ必要としている人とマッチングするビジネスで、AirbnbやUberがその代表として、これもあちこちで紹介されている。

気がつけばその方にもいろいろと登場しているようである。自宅のトイレを貸すAirpnp、自宅をリフォームしたい人と建築士、設計士、業者をマッチングするHouzz、システム開発のUpwork。Airpnpなんて真面目に考えているのだろうか、商売として成り立つのだろうかと思わざるを得ないが、考えるものである。

 こうした空きリソースを利用した新しいシェアリングサービスは確実に拡大して来ていて、現状5つに分けて説明されている。
1. 場所−家、部屋、土地、駐車場、オフィススペース、結婚式場、イベント会場・・・
2. 稼働−倉庫、印刷所、クリーニング、料理教室、トイレ・・・
3. 専門家の空いた時間−フリーランサー、ガイド、医者、子守、ドッグシッター・・・
4. 物−ファッショングッズ、道具、カメラ・・・
5. 乗り物−タクシー、自転車、自動車、プライベートジェット、プレジャーボート・・・
確かにいろいろある。

 個人的に面白いと思ったのは、空いているオフィスの貸し借りであるShareDesk、駐車場の空きを利用したakippa、個人の空き時間を利用したプライベートレッスンの「サイタ」、宅配クリーニングのリネットなどである。第4章で紹介されるラクスルも面白い。そのほかにも高額な工作機械など、購入した後に自社だけでなく近隣の企業にも使ってもらい稼ぐことで、固定費に対する限界利益を上げることなどその発想が参考になる。

 こうしたアイドルエコノミーの台頭をただ礼賛するだけではなく、「その脅威に既存のプレーヤーはどういう対策を講じるべきか」を大前研一は論じる。
1. 自らがアイドルエコノミーの領域に乗り出す
2. アイドルエコノミーのプレーヤーをうまく活用する
3. 圧倒的な製品・サービスの魅力を提供することで顧客に常に選ばれる立場に立つ
(リッツ・カールトン、日本交通、ロイヤルホスト、ライザップetc)
反対の立場からのものの見方も大いに参考になる。

 第2章からは、論者が変わる。ネスレジャパンはネスカフェアンバサダーの成功を中心に語られるが、我が家にもあるそれはあまりコーヒーとしては美味しくなく、「成功」と語られるのには抵抗感がある。日本交通はスマホアプリだが、これはまだ利用したことがないため、便利なら普及してほしいと思う。ラクスルは最近ネット広告が目につくが、これはなかなか面白いアイディアだと思う。

 それなりに悪くはないと思うが、こちらは「大前研一の本」だと思って読んでいるだけにちょっと裏切られ感が強く、素直に読めないところがあった。「羊頭狗肉」と言ったら言い過ぎであろうか。次は事前によく中身を確認しようと思わされた一冊である・・・ 


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2016年12月31日

【日本の論点2017〜18】大前研一



01 セカンドライフは8万時間の自由時間がある。何をしますか?
02 巨大ビジネス創出!わが新・経済理論「アイドルエコノミー」
03 直伝!「アイドルエコノミー」実践法
04 日本を大好きになる外国人旅行者が日本経済を底上げする
05 ビールだけじゃない、日本企業のグローバル化が“周回遅れ”の実態
06 世界的な大企業で続発!データ偽装問題はなぜ起こるか?
07 怨念を残すような“選択と集中”が東芝の不正会計を生んだ
08 ゴーン社長が三菱自動車を買う真の狙い
09 東証一部上場するも、見えない郵政三社の未来絵図
10 アベノミクスの景気浮揚効果を阻む“低欲望社会”の現実
11 伊勢志摩サミットで“後味の悪さ”しか残せなかった安倍首相
12 ホンハイの買収申し出を受け入れたシャープの甘い認識
13 日本には核兵器を開発するだけの能力があるのか
14 なぜ老人ホームや介護施設で“虐待”が増加しているのか
15 世界を席巻するポピュリスト旋風はどこまで広がるのか?
16 ドナルド・トランプの過激発言はなぜ米国民に受けたのか?
17 「世界一」だけをつくるイタリアの地方創生法
18 中国バブル崩壊から「世界大恐慌」へ飛び火する可能性
19 パナマ文書は氷山の一角、今後も続く税逃れの手口
20 大国のリーダーが一目置くメルケル首相のリーダーシップ
21 蔡英文・新総統誕生、中台関係はどう変わるか
22 “アイドル”スー・チー氏はミャンマー国民を満足させられるか?
23 ロシアはなぜ、IS掃討を名目にシリアに軍事介入したのか?
24 “Change”“Yes We Can”-オバマはアメリカをどう変えた?

昨年、『日本の論点2015-2016』を読んだが、その続編というべきか最新版が登場。早速手にした次第である。世の中は当然ながら動いており、その時々において著者のような著名人の意見を知ることは自分の考えを養う上でとても参考になることである。

2016年の世界は、トランプ米大統領の誕生、イギリスのEU離脱、ヨーロッパにおける反EU・移民排斥運動の高まり、プーチン・ロシア大統領やエルドアン・トルコ大統領のような強権的指導者が国民から強く支持され、タイで軍事政権が正当化されるなどの動きが見られた。時代はG2からG1、そしてG0へと移行しており、今やグローバリズムの理念を指導する者がいなくなっているとする。

国内では、安倍総理が「同一労働、同一賃金」を唱えているが、これを国内でやれば地方は壊滅するとする。なぜなら、体力のある会社はマーケットの大きい東京へ集まってくるからであり、それは地方の衰退を意味するからであるとする。アベノミクスの矛盾が確実に顕在化するだろうと著者は予測する。

そうした中、他人任せでなく自ら人生設計をコントロールすることが必要であるとする。そのためには、例えば老後にやりたいことを20個書き出せと言う。一人でやることを10個、仲間と一緒にやることを10個という具合にである。リタイア後にやりたいことがあったら今すぐに始めるのが正解で、何の準備もしていなければ気力も体力もついてこないし、一緒に楽しむ仲間もすぐにはできないと言う。なるほど、これは真剣に試みてみる必要があると思う。

一転して、世の中の現状について著者がコメントをしていく。もっとも参考になったのは、「アイドルエコノミー」である。この「アイドル」とは、「働いていない」とか「使われていない」「空いている」と言ったアイドリングタイムのアイドルである。代表例として、タクシー業界のUberとAirbnbが挙げられる。いずれも需要と供給を結びつける仕組みであり、世の中に台頭してきているからわかりやすい。

上記の例以外にも、専門家の空き時間をマッチングするUpwork、住宅を改修したい人と住まいの専門家を橋渡しするHouzz、オフィスの賃貸会社(事務所のサブリース)WeWorkなど聞いたこともないサービスの紹介もあって参考になる。さらに高額な機械も、複数社でシェアできれば中小企業でも導入できるなど、そのアイデアはさすがである。今や中小企業と言う概念さえ有害で、「世界中のアイドルを使えば大企業!」と胸を張っていける時代だと言う。我が社の商売でも応用化できないか考えてみたいと早速思うところである。

また、フォルクスワーゲンや東芝など世界的大企業のデータ偽装(粉飾)事件が起こったが、これは選択と集中による内部抗争が原因だとする。選ばれるための利益水増し、粉飾の正当化であるとするが、このあたりは何とも言えない。ただ、選択と集中ではGEというお手本があり、@再生するAパートナーを見つけて合併B事業の売却のいずれかから適切に対処するべしと説く。

著者が常々主張している「低欲望社会」の話はここでも登場し、日銀がいくらバズーカをぶっ放しても効果はないとする。市場のマネタリーベースを増やすという100年前のケインズ経済学は今の日本では当てはまらず、個人金融資産の1%が市場に出てくる政策をひたすらやるべしとする。具体的には資産課税と付加価値税であり、税制はこの二本立てにし、それによって所得税・法人税・相続税も不要になるとする。これは個人的には興味のあるところである。

社会問題となりつつある介護問題は、抜本的解決には移民を認めるか施設を海外に持っていくしかないとする。従来の著者の主張であるが、移民は認めたくない私としては、施設を海外にという方が好ましい気がする。ただ、自分が海外に行きたいかと考えると、そうはしたくないと思うのであるが・・・

その賛否はともかく、著者の投げかける世の中の問題を受け止めるのは、知的好奇心が大きく刺激されるところである。知らないことを知る機会になるし、自ら考える材料にもなる。こうした本には積極的に目を通して行きたいと思うところである。大前研一の本に読んでハズレのものはないと考えているが、これは世の中の定点観測としてシリーズ化していってほしいと思う一冊である・・・


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2016年08月04日

【0から1の発想術】大前研一



基礎編「0から1」を生み出す11の発想法
 1. SDF/戦略的自由度
 2. アービトラージ
 3. ニュー・コンビネーション
 4. 固定費に対する貢献
 5. デジタル大陸時代の発想
 6. 早送りの発想
 7. 空いているものを有効利用する発想
 8. 中間地点の発想
 9. RTOCS/他人の立場に立つ発想
 10. すべてが意味することは何?
 11. 構想
実践編「新たな市場」を作り出す4つの発想法
 1. 感情移入
 2. どんぶりとセグメンテーション
 3. 時間軸をずらす
 4. 横展開

 0から1を生み出すということは、簡単なようでいて非常に難しい。1を5にする方がまだ優しかったりする。個人的に常日頃そんなことを感じているから、こういうタイトルの本、それも著書が大前研一となると、何をさておいて読まずにはいられない。まず前半は、0から1を生み出すイノベーションのための11の考え方が紹介される。

 まずはじめに出てくる「戦略的自由度」とは、「戦略を立案すべき方向の数」とされる。具体的には、ユーザーの目的を満足させる方法をできるだけたくさん抽出し、その中から競争相手が追随できない戦略的に優位になる方策、かつ持続できる方策を講じるということとされる。「ユーザーが何を求めているか」をより具体的にイメージしていくことが肝のようである。

 「アービトラージ」は金融用語でもあるが、ここでは「情報格差」のこと。「ニュー・コンビネーション」はこれまでになかった新しい組み合わせ。足し合わせたことで価値と価値がいかに変化するか。「固定費に他する貢献」は、「平日の観覧車にどう人を集めるか」の例がわかりやすい。「早送りの発想」は、小さな兆しをとらえて高速の早送りを行い、来るべき未来を創造することとされる。

 「空いているものを有効利用する発想」は、ユーバーやAirBnBが例としてわかりやすい。「中間地点の発想」は、新幹線の品川駅の発想。ただし、日本人が得意な会議で相対峙する意見の折衷案を出すこととは違うとされる。RTOCSは、「他人の立場に立つ発想」で、これは著者の本を読んでいるともうお馴染みだが、「自分がもしも○○の立場だったら」とする考え方で、これは4、5人でアイデアを出し合ってブレーンストーミングした方が発想が広がるとする。

 「構想」はそのまま。ウォルト・ディズニーがフロリダのワニのいる湿地帯にディズニーワールドを構想した例が挙げられる。実践編に移り、「感情移入」は、一言で言えば「情熱」だろうか。「自分がやっている仕事が好きだ」という一点で何度も立ち上がったステイーブ・ジョブズが例示される。「処理型ビジネスマン」からはほど遠いという指摘に、ドキリとする。「自分は大丈夫だろうか」と。

 普通のサラリーマンであれば、「横展開」などは使えるかもしれない。他業態での成功事例を利用するというもので、これは案外できそうな気もする。最後に著者は「最後の1回の勝利」を強調する。0から1を生み出そうとするなら、「8勝7敗の発想」は捨てて、14回負けても最後の1回で勝利すればいいという執念が大事だという。要はそうなのだと納得する。ここにあるノウハウを表面上真似てもうまくいかないだろう。ヒントにしつつ、諦めずに努力し続けることが肝要かと思う。

 何より実践。そしてそのためのヒントがこの本に書かれている。そんな理解をした一冊である・・・
 
【講義映像】



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2016年06月15日

【大前語録】大前研一



第1章 ビジネスマンを奮い立たせるための42か条
第2章 最強のリーダーになるための24か条
第3章 人生を強く生きるための22か条

大前研一の本は、やはり出るたびに要チェックであるが、それだけの価値はやっぱりある。一読したところ、どうやら過去あちこちで語った言葉を整理してまとめたという内容で、物によっては記憶に残っているものもある。しかしながら、それでもこういう形でまとめてもらうのは、それはそれで価値があると思う。

・日本には「大器晩成」という言葉があるが、実際にはそういう人はあまりいないと思う。私に言わせれば、それは最初にサボっているだけだ。
はじめにまずグサリとくる。私自身、「最初にサボっていた」意識はないが、「のんびりスタートした」認識はある。

・当たり前のことを当たり前にやっていたら、当たり前の結果にしかならない。どこかに当たり前でないエキセントリックなところがないと、他より抜きん出ることはできない。
・悪魔の主張をする-反対を表明する勇気を持つことが、ビジネスマンにとっていかに必要かを痛感している。
この2つは今の職場で主張し、実践できている。それに強い自信を与えてくれる。

・腐った鯛は単なる腐った魚。
このシンプルな言い切りがいい。これに続けて「倒れる大樹の陰にいたら潰される」とあるが、いつも「無難」を選ぶ人に突きつけたくなる。

・宵越しのメールは持つな。メールの返事はすぐに出す。
・与えられた仕事を与えられた通りにやっているだけの人には名札≠ェつかない。名札≠ェつかなければ値札≠烽ツけられない。
・上司が「A」と言ったら、「A+B」の仕事をこなさなければならない。
こうした仕事におけるスタンスは、改めて意識したいところである。忘れかけた頃に思い出させてくれるという意味でもありがたい。

・仕事には面白い仕事のやり方と、面白くない仕事のやり方がある。
・成功する人はどんな仕事でも厭わずやるが、成功しない人は仕事を選ぶ。
改めて自分の仕事ぶりはどうだろうかと、自問してみたくなる。

・企画力のない人間は、どうにかひねり出した1つのアイデアにいつまでも固執し、別の発想をしてみたり、同じ発想を別のモノやコトに当てはめてみる柔軟な発想ができない。
これは自分でもドキリとさせられるところがある。改めて柔軟な発想を心がけてみたい。

・参謀は3年先を読み、3年後の成功をみなに約束する力を持たなければいけない。
・参謀たる者は「イフ」という言葉に対する本能的な恐れを捨てなさい。
「企業参謀」で紹介されていた考え方だが、常に意識したいところである。

・考えるべきは、「ライバルに勝つ」ことではなく、「顧客ニーズ」である。
・会社というものは「顧客に奉仕すること」以外の目的を持ってはいけない。
・戦略とは、自社(Company)の相対的な強みを、顧客(Custmer)のニーズを満たしうるように用いて、競争相手(Competitor)よりも優位な差別化を達成しようとするための努力の結晶である。
これは今の仕事で大いに役立つ考え方である。

・人間というのは我慢している間に頭が、フリーズ≠オてダメになる。
いろいろ「我慢」してきただけに、フリーズ≠オてないか確認しないといけない。

・社会や企業環境が激変すると、今までとは違う処世術や人生観の類を求めがちだが、本当に必要なのはむしろどんな状況でも変わることのない生きる姿勢だ。
言ってみれば、「信念」であるが、これは常に気持ちの中にあるから大丈夫である。

・家庭内の唯一の安全装置は対話だ。禁止するよりも、それを前提に子供との対話を活発にしたほうがいい。
これはその通りだと強く思う。

全体として、すぐに読み終えてしまうが、中身は本の厚さに反比例して重い。こう言うタイミングで出版され、こう言うタイミングで読めたことは大きいと思う。読んで頷くだけではなく、すぐにでも実行したいところである。

改めて大前研一は、自分にとって影響力の大きな人だと思わせられる一冊である・・・



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2015年04月30日

【日本の論点2015-2016】大前研一



前著『日本の論点』を読んだのは、まだ半年ほど前であるが、現代の問題点はタイムリーに把握していたい。
そんな意味で、「積ん読」リストから早目に引っ張り出したのがこの本。

今の日本にとって、最大の課題は何かというと、「約1000兆円を越える巨額な国家債務をどうするかという問題に尽きる」と冒頭で述べられる。
自力で解決するには、「超倹約」か「超増税か」あるいは「両方か」しかないとする。
そのくらいは素人でもわかる。
だが、具体的にどう解決すれば良いのか。
それをこの本を読んで考えて欲しいということらしいが、まさにこちらも望むところである。

内容は、25のテーマを取り上げ、それぞれについて論評する形となっている。
傾聴に値する意見ばかりでなく、個人的には違うと思うものもある。
それはそれで、思考トレーニングになっていいと思う。
たとえば、日本を活性化させるアイディアとして、東京の大規模開発を挙げている。
通勤時間を15分短縮させられれば、約4,000万円を有効活用できるとする。
なかなかの意見だと思うが、そのためにウォーターフロントに住みたいとは思わない。
時間はかかっても、東京西部の今の住環境に満足しているものとしては、「人生はロジックだけではない」と言いたくなる。

アマゾンの成功を基に、ネット通販の王道を語る。
(ポータル、クレジットカード、物流を抑えること、豊富な会員がいればポイント還元サービスも可)
ソニーの不振原因、フランス人COOを迎えた武田薬品、日産飛躍のためにはゴーン退任がベストシナリオなどは、分析力のない身には新鮮な話である。

一方で、この方は従来から「移民・原発推進」派であり、この点ではここでも主張はかわらない。
個人的にはどちらも反対であり、大前研一氏のロジックもまったく納得できるものではない。
そこはこちらも胸を張って主張したいと思う。
ただ、「業界再編すれば電力は安定し、コストは下がる」という意見は、実に参考になる。

大前研一氏は、経済界の人だと思うが、マレーシアのマハティールやシンガポールのリー・クアンユーなど内外の政治家にもアドバイスしているから、その活躍の範囲は経済界に留まらない。
国家のあり方に対する意見も参考になる。

シリア戦に巻き込まれる可能性のある集団的自衛権、安倍流『普通の国』の危うさ、お金をムダにしない「ドイツ連邦制」の仕組み、自民党外交は政治家の“属人的な外交”になっていることから生じる問題等々はやはり、知られざる内容であり、大いに勉強になる。
「考える」ことが重要なのは言うまでもないが、そのために必要なのは、「事実を正確に知る事」。
大前研一氏の本は、「事実を知る」ということと、そこから「どう考えるか」という両面で学びは大きい。

日常生活を送りながら、考えることを続けていかないといけないが、これからも大前研一氏の本は手放せない。
そんな思いを新たにさせてくれる一冊である・・・
     
    
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2014年10月03日

【日本の論点】大前研一



大前研一の本は、やはり定期的にチェックしておきたいもの。
昔から得るところは大きいのは、今も変わりない。
この本は、タイトルにある通り、現在の日本が抱えている様々な問題について、著者が独自の意見を述べているもの。
それだけで興味深い。

冒頭は著者とジャック・アタリ氏との対談。
膨大に膨れ上がった我が国の累積債務について、独特の資産課税と付加価値税による解決策を提示している。
個人的には、いかがかと思うが、こういう提案自体は考える要素として実に参考になる。

以下20の提言がなされているが、どれもこれも参考になる。
1. 全国に広がる空き屋を自治体が整備して、バケーション用の別荘のように貸し出す
これは以前から著者が提案している「心理経済学」に則って、小金持ちがお金を使う仕組みをつくろうと言うもの。
貯め込むのではなく、人生をエンジョイしようというものだ。

2. クオリティ国家10を見てこい
スイスを例に挙げて、国民一人当たりGDPは世界トップクラスで、グローバル企業も多数輩出。
その様子は確かに何かのヒントになりそうである。

3. 3,500万円を墓場に持って行くのではなく、「お金を使ったら人生は豊かになるし、子や孫からも感謝される」方向に変える。
4. 下請けなのに強い台湾企業を見習う
5. 新しい日本のお家芸を探す
6. 観光立国を目指すなら、「一泊二日」発想から脱却して「滞在」型を目指す
8. 「競争させない教育」の弊害
9. 日本の企業や若い世代は、世界の農業最適地に飛び出せ
10. 「病気を定義」し、病院への入場を制限し、救急車は有料化
11. 憲法96条は占領軍の最悪の置き土産
12. 「都構想」「道州制」が世界マネーを呼ぶ
13. 「日本版一国二制度」
14. 日本の地方分権、足りない人材は世界から補う
16. 歴史的役割を終えた省庁は解散
19. 日本人の被爆恐怖症は偏っている

どれも指摘されるとなるほどと思う事ばかり。
情報量も違うのかもしれないが、ここにあるような論点は、普通の人でも意識としてもっておきたい事だろう。
膨れ上がるばかりの国家債務に対し、消費税を少し上げる程度しか対策を打ち出せない政治家。

救急車の有料化なんて言ったら、共産党あたりから「弱者切り捨て」と真っ先に批判が出てくるだろう。
だが、膨れ上がる医療費と救急車をタクシー代わりに使う現状からすれば、ごく当たり前の解決策なのだろう。
と言っても、すべて有料化せよというのではなく、運ばれた内容によって、「これは仕方ない」というものは無料で良いとしている。
当然やるべき事なのかもしれない。

大前氏は、もともと原子力専攻だけあって、原発は賛成派だ。
安全対策は当然であるが、ここは個人的に受け入れ難い内容だ。
ただ、大した事ない被爆量を大げさに扱っているという指摘は傾聴すべき事だと思う。
是非はともかく、これらの提案を一度は自分の脳みそで考えてみるのも悪くないと思う。
問題意識を持つという意味で、一読の価値ある一冊である。
   
     
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2013年11月26日

【稼ぐ力】大前研一



第1章 日本企業は今、何に苦しんでいるのか
第2章 これからの日本企業に必要な人材とは
第3章 世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか
第4章 産業“突然死”に備えるケース・スタディ
第5章 求む!日本と日本企業を強くする新世代人

久々に手にした“大前研一本”である。
サブタイトルに「仕事がなくなる時代の新しい働き方」とあるところが目についた。
さすがに元日本一のコンサルタントなだけに、その主張するところは今でも鋭い。
ただすべて同意できるかというとそうでもない。
冒頭に述べられている「毎年、数十万人規模の頭脳労働者の移民を受け入れるべきだ」という主張は、移民大反対論者の私としては、同意しかねるところがある。
ただ考え方は理解できる。

ユニクロが「世界同一賃金」を導入して話題となっていたが、個人的には疑問に思っていた。
国家によって物価水準だって違うからだ。
そんな漠然とした疑問に対し、もっと高いところから問題点を指摘してくれていて、こういうところはさすがだ。

“大企業のリストラはなぜうまくいかないのか”
“「人の数」だけ仕事が増える”
“本社部門がやるべき仕事を定義しなおせ”
今日本の企業が抱えている問題的を、実にわかりやすく解説してくれる。

“安倍政権「育休3年」はなぜ間違っているか”
→なるほど、言われてみればその通り。
“人にできないことをやるのが「仕事」”
“「仕事がなくなる」なら自分で創ればいい”
“多くの経営者はいくらでも採用したがっている”
→仰る通りでひと言の反論も出てこない。

“仕事の定義ができていないから、意味のない書類作りなど不要な仕事が山ほどある”
“これからのホワイトカラーは、時間ではなく、仕事で縛る”
“欧米の企業は、「社内でやる必要のない仕事は、一刻も早く外に出す」という発想”
“やりがいは誰かに与えてもらうものではない、自分でやりがいのある仕事に変えていくもの”
→「世代別稼ぐ力を鍛える」章には、はっと気付かされる事が並ぶ。

しかしそれにしても、この本にはページをめくるごとに発見がある。
世の中の最新の動きがよく網羅されている。
「東大の秋入学の無意味」と言ったちょっと前に話題になった事を一刀両断にするかと思えば、「TED TALKS」と言ったプレゼンHPや学生SNS「すごい時間割」などの話題など、知らなかった事を知らされる事が並ぶ。

「稼ぐ力」とあるものの、その前にまず「学ぶ力」がつきそうである。
会社ではベテランの域に達し、仕事でもそれほど苦労しなくなってきた。
だが、それではいけないと気付かされる。
いつ何時、“船が沈没する”かもしれない。
その時になって慌てぬ様、自らを磨き続けないといけない。

そんな身が引き締まる気にさせてくれる。
やっぱりこの人は凄いし、この人の本は折に触れて読んで、血肉にしようと改めて思う。
  
    
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2013年03月30日

【大前家の子育て】大前研一



日本一のコンサルタントである大前研一の子育てという事で、やっぱり二児の父としては気になって手に取った一冊。
ただ過去にも大前研一の子育て本『親が反対しても、子供はやる』は読んだ事もあり、その続きかと思っていた。
しかし、読んでみたら内容は一緒。
タイトルを変えての再販モノであった。

それでも読んだと言っても結構前の話であり、もう一度読むのも新鮮だった。
また、巻末に二人の息子さんの感想も載っており、再販モノとはいえ、プレミアムがついていると言える。

大前研一氏の本は随分読んでいて、ご本人もかなり変わり者だったとは感じているが、子育てにおいてもやっぱり独自の価値観を持っている。
特に学校教育に重きを置いていないところは、大いに共感する部分である。
「勉強するよりファミコン(ちょっと古くなりつつある表現だ)をやれ」というのは極論に近いが、それでも時代は変化しており、親も子供から学ぶ事が多くなっている時代である事も確か。
親の意識変換という意味でも至言だと思う。

氏は世界中を股にかけるコンサルタント。
大勢の外国人を見ているから、日本人の良さも悪さもわかる。
そういう意味で、ともすれば受験重視、就職重視になりがちな我々には多くの気付きを与えてくれるものがある。
本当に必要なものは、自分自身が自立してしっかりと生きていける力。
それがベースになっている。

「子供の将来を定食メニューで考えない」という事は、多くの親たちが考えねばならない事だろう。
食事の時はテレビをつけず、かわりに親子でディスカッションするところなどは是非真似してみたいところだ。
自分に対する責任、家族に対する責任、会社に対する責任、社会に対する責任、その4つを果たすようにするという基本的な教えは、我が家でも参考にしたいと思う。

学校や塾などに任せるのではなく、子育てこそ何より真剣にやらないといけない親の義務。
稼いで食べさせればそれで良いというものではない。
改めてそう思うが、同じように考える人であれば、読んで参考にすべき一冊だと思うのである・・・




   
posted by HH at 15:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月06日

【大前研一洞察力の原点−プロフェッショナルに贈る言葉】大前研一


     
第1章 答えのない時代に必要なこと
第2章 基本的態度
第3章 禁句
第4章 考える
第5章 対話する
第6章 結論を出す
第7章 戦略を立てる
第8章 統率する
第9章 構想を描く
第10章 突破する
第11章 時代を読む
第12章 新大陸を歩く
第13章 日本人へ

大前研一と言えばその著書は100冊を越えているらしい。
私ももう何冊も読んでいるが、この本は過去の発言を集めた、いわば「大前研一名言録」とでも言うべきもの。
ツイッターで発表したら好評で、それが書籍化へとつながったのだと言う。
それで一冊の本になってしまうわけであるから、大変なものである。

中味については、名言をそれぞれテーマに分けて記載する形をとっている。
一言一言については良い悪いもない。
さすが日本一の経営コンサルタントの言葉だけあって、けちのつけようがない。
ただ読み手がそれをどう受け取るかは、その時々の置かれた状況や過去の経験や諸々の事どもによって変わってくるかもしれない。
以前は何とも思わなかった言葉が、あとで触れるとずしりと応える、なんて事はままあるだろう。

「面白い仕事と面白くない仕事というのはない。面白い仕事のやり方と面白くない仕事のやり方があるだけだ。」
かつてこの言葉に触れ、考え方を変えた記憶がある。
今は常に意識している。
周りを見渡してみると、この言葉を教えてあげたくなる人たちがいる。

「人生を変えられるタイミングは何度でもある」
文脈によっては同じ言葉でもニュアンスが変わる事がある。
この言葉は違う文脈で使われているが、取り出してみて、この言葉だけにしてみると胸に残るものがある。

「私の辞書に明日まで待つという言葉はない」
確かにその通りだし、その言わんとしている事はよぉくわかる。
だが日常生活では明日まで待ちたい事だらけだ。
明日まで待ってうまくいったりする事があるから尚更だ。
特に交渉事で相手に決断を迫る場合は、拙速は必ずしも得策ではない。

「そもそも“discuss”という言葉は、否定を意味する“dis”と、恨むと言う意味の“cuss”が合体した言葉です。要するに反対したり反論したりしても『恨みっこなし』というのがディスカッションの本来の意味なのです」
日本人はこれが理解できていないから、ディスカッションが不得手なのだろう。

「幕末の改善を江戸幕府のペースに任せていたらどうなったか。彼らも改革をやるつもりだった。しかし幕府側の言う『最大の努力』というペースでは、日本はおそらく欧米列強の植民地になっていたでしょう」
今の日本の政治家にこれほど聞かせたい言葉はない。

「私が息子たちに強調したいのは、『自分に対する責任、家族に対する責任、社会に対する責任、日本人として日本と言う国に対する責任−この4つの責任だけは自覚していろ。あとは自分の好きな事をやれ、自分の人生は自分で決めろ』ということだ」
子供たちにも意識させたい事だ。

数え上げればきりがない。
こうした言葉をヒントとしていかに自分の血肉に変えるか。
それをできるのは自分自身しかいないわけで、そうした一助にするために一読するのもいいかもしれない・・・

      
posted by HH at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする